20200510「名前はまだない」

20200503

ア・プリオリに微分されたし子どもより以前のゼロイチまでの筋電

また張り切ってしまったわたしが写っているzoomの外で苺腐る

20200504

三日目のシーツに居心地の悪さあり呼吸を止める手紙も白紙

20200505

この春は吹き飛んでしまった風邪をただなおそうとして寝ているうちに

畳敷に寝転んでいる運動会youtubeから風も吹くかな

20200506

夜半に惑う間に子は生まれ落つ着信音鳴りウイスキーを注ぐ

立夏すぎこれから暑くなるというまだからっぽの命の軽さ

誰の手に抱かれても怯えてる子よ、なにもかも新しい今日がなつかしく

20200507

吾輩は名付けることにもその根拠を求めるかつて猫だったもの

父母のクラスタコード鳴る家に軋むグラスに日本語割れる

意味ではないものをなげつけろマシュマロの軌道はかるく跳ねるメロディ

20200508

500円でマスクを作り足し過ごした我が家も守られた憲法の日に

走りゆく少年に物ぶつけたし戯れに想像の夏蜜柑ちぎり投ぐ

20200509

スマホ越しに乾杯するノンアルで電波にゆれて酔ったつもりで

ただひとつの現実ならば私にもあった田舎役者の最後の舞台

病院なのにフォアグラ出るの?貧しさも絢爛なれ飯も旨かれ

20200510

今日までの書かれなかったことまでもなかったことにしないで宇宙

宇宙とはいわないまでも未だ広い庭、人影をみて隠れていたの




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