こんな企画なのだった・1

まずは目下に迫っているものについて書く。
KAC Performing Arts Program 2018/ Contemporary Dance 『シティⅠ・Ⅱ・Ⅲ』

とみせかけて、それより早いものがあるのだった。

KAC Performing Arts Program 2018/ Contemporary Dance  ダンスを語る言葉:「ダンス&プロセス」試演会

KAC Perdorming Arts Programというのは、京都芸術センターの舞台芸術事業につく冠。主に"Contemporary Theater"、"Contemporary Dance"、"Contemporary Music"、そして"Traditional Performance"がある。この区分けの妥当性は、2019年の今となっては疑問の余地もある気がする。そのうえ、必ずしもこの枠ですべての舞台芸術事業を実施するわけではない(たとえば、あとで触れる「演劇計画Ⅱ」や、「T.T.T.(トラディショナル・シアター・トレーニング)」←こっちに触れる予定はない。理由は担当していなかったから。)ので、ちょっとややこしい。

今回の試演会は、振付家・ダンサーの余越保子さん、山下残さんをファシリテーターに迎えた企画。若手作家3組の、創作中のダンス作品を試演していただき、これに対するフィードバックを行う会。

余越さんからご提案いただいた「ダンス&プロセス」という形式をお借りして実施し、3月に行う予定の振り返りの会(仮称)←3月の会のタイトルがまだ決まっていないなんて!!…というのは置いておいて、その会で、「試演によって得られたもの」「試演の形式」について振り返りを行い、より望ましい創作のプロセスや場の開き方について考えよう、というもの。

京都芸術センターでは、一昨年にも試演会の企画を行っていて、その反響と反省もふまえて「ダンスを創作するために必要な場」について、昨年から思いを巡らせていた。
とはいえ、自分はダンスが専門の作家ではないので(ダンス作品に関わったり作ったりしたことはあるけど)、まぁまずは実際に作っている人にとってどうかだろう、と思い、昨年度から関西圏の若手(主に20代~30代くらい)のダンサーや振付家の方に、折に触れて色々と意見を聞いてみていた。

しかし、実際にヒアリングしてみると、結構思っていたのとは違う状況も発見されたのだった。
たとえば、僕が思っていたよりは、「振付家になりたい」という人はそう多くない。ダンサーをやっていきたい、踊りたい、活躍したい、という延長線上に「振付」や「作品をつくる」という作業があるというパターンで創作している人も、結構多いようなのだった。

いち作家の僕(筆者は業務以外で演劇などの作品も作ったりもしている。この連載では詳細にはしないけど、もしかしたらどこかで触れるかもしれない)としては、自身の振付作品をつくる欲望は、出演したい、人前でなにかやりたい、という欲望とはちょっと違うところにある。それは、コンセプトやアイディアを形にしてみたいとか、社会の中に小さくとも実装してみたい、ということが根っこにあるものだと思っていた。ので、そうではない人も多い…というか、かなり多くの人が違うのか…と、まぁまぁ驚いた。

思い込みと実際のギャップを挙げればきりがないが、そのうちもうひとつを挙げるとするなら、「言葉」についてのことだった。
この3年間は、僕にとっては「ダンスについて語る」ことの困難と豊かさについて考えさせられた期間でもあった。
そして、思った以上に「ダンスを語る」ことと「ダンスの場や状況について語る」ことは、混ぜて語られてしまうことが多いようにも感じた(あるいは、その弁別なんか最初からありえない、という仮説も取りえる、ということにも、途中で気付いた)。

2019年現在までに、ダンスで発話や言葉を扱う事例なんて山ほどあるし、先人の方々、同時代のみなさんのさまざまな試行や成果、歴史があるので、京都芸術センターの事業で今更そのことを取り立ててどうのこうの言うつもりはない。
しかし、「ダンスの前にある言葉」「ダンスとともに、あるいはダンスの中にある言葉」「ダンスの後でそれを語る言葉」などについて、さまざまなシチュエーションがありうるということくらいは、ざっくりと触れておいてもいいのかもしれない、とも思っている。

この「ダンスを語る言葉」というシリーズでは、主に「ダンスの後でそれを語る言葉」のバリエーションについて、いくつかの小さな催しを行うことになる予定←2019年3月にまだ(予定)なんて平気で言ってしまうなんて本当に恐ろしい。もっといろいろな角度でプログラムを持ちたいのだが、上司に「谷さん欲張ると倒れるよ」「『シティ』は大丈夫なのか」と言われて思いとどまった。
なお、思いとどまったのに、先日ウイルス性の腸炎になって3日くらい臥していた。思いつくままに進めていたら確実に崩壊していたので、リスクヘッジは大切だと思った。

試演会については、やってみないとわからない部分、パブリックな議論をしてから話すほうがいいこともあるかもしれないので、私見はいったん控える(この記事を書いていく中で、どこかで触れることになるかもしれない)。

そして、たとえば「ダンスの前の言葉」について考えることがあるとするなら、それが冒頭の『シティⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に関係してくる。

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