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観終わって、思わず拍手したくなった。 「ある職場」(舩橋淳)


Facebook及びInstagramからの転載。

昨年、「空白」という日本映画がありました。正直、作り手が何を主張したいのかよくわかりませんでした。挙句、涙を誘う感動作のような終わり方をするので「それで良いの?」と思いました。困ったことに、吉田恵輔という元々力量がある映画監督なので、それなりによくできてるように観える。「それなりによくできてるように観える。」こういう日本映画がいま非常に多いです。事実、「空白」はヨコハマ映画祭の1位になり、キネマ旬報でもベストテンに入りました。

で、「ある職場」はその対極にいる気がします。作り手からの主張が明確で、キレイゴトも無い。「気持ち良い終わり方」なんかしません。

ハラスメントのその後を描いた映画。少しだけ、ハラスメント当時のシーンがありますが、実際のハラスメント描写は直接描いてません。思いやりを感じました。

書こうかどうか悩みましたが、もう10年も前の話だから書くことにしました。ちょうど10年前、私は当時いた会社でかなり悪質なパワハラにあっていました。それも、1日ではなく何ヵ月にも渡りました。

特殊な状況下でした。本社とは離れた作業場で10人くらいで働く状況で、そこにいる人以外誰も知りませんでした。相手も悪かったです。「仕事ができる上司」でした。

同じ職場にいる同僚からは散々「訴えるべきだ」と言われました。無数の円形脱毛症ができてガリガリに痩せ細ったので家族にも隠せなくなり、両親には「そこまでされて仕事に行く必要はない」とまで言われました。

すると、私には想定外の出来事が起こりました。全く別の理由で会社が経営難になり、複数の自宅待機社員を出すことになりました。私もその一人になってしまい、挙句、私がいたプロジェクトすら消滅したのです。3ヵ月ほど自宅待機して、バカらしくなって辞めました。

なんか、映画と関係無いことを書いてしまいましたが、そんな経験をしてる私が太鼓判を押すので、ぜひ映画館に足を運んでほしいです。

私の尊敬する黒沢清監督が、「今の日本映画には、色々あったけど良かった良かったみたいな映画が多過ぎる」と、かつて審査員を務める映画賞で言いました。この映画はそうでは無いです。持ち帰るものがたくさんあります。まるでサスペンスみたいな緊張感にも溢れてます。観終わってノドがカラカラになりました。


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