「スクリーンが待っている」（西川美和）小学館

「すばらしき世界」という大傑作を公開した西川美和による、制作過程などを綴ったエッセイ（オマケ付き）。

まあ、映画なんて完成したものが全てと言われればそれまでで、制作過程なんてどうでも良いよと言われたらそうですか、としか言えないですが、「すばらしき世界」に胸を打たれた人にはオススメです。

これ、帯に「立派な映画作りの教則本です」なんて書いてありますが、まあその面もあるだろうけどそんなことに興味が無い人も十分読めるエッセイ。まあ、西川美和は直木賞の候補にもなったことがあるんで、文才もあります。

思った以上に悲喜交々。まあ、文才があるからそう思わされたのかもしれませんけど。

是枝裕和が「俺、友達いないんだよ」と言ってる話は笑った。実現しなかったけど、故八千草薫出演を巡るところは感動的。

西川美和はどうやら「新幹線大爆破」が大好きで、笠松則通のような人間がかつての映画作りの精神を背負ってて、そして読むと役所広司のお気に入り映画がわかります。