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学校教育における部活動とクラブ活動の違い

部活動における体罰や傷害事件
教員の働き方改革とそれに伴う部活動の地域移行
小学生スポーツの全国大会に是非

学校教育やスポーツ、部活動に関わる話題や議論で溢れる昨今

これらの問題を断片的ではなく、もっと深いところから捉えられえるようになりたいと思い、学校教育やスポーツ、部活動などに関わる制度や調査データを概観するようなことをしていきたいと思います。

ここでは、学校で実施されている部活動の位置づけを教育制度(学習指導要領)から見ていきたいと思います。

部活動とは何か?

一言でいうと「教育課程外に実施される生徒の自主的・自発的活動」です。

 教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものとする。特に,生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化,科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等,学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際,学校や地域の実態に応じ,地域の人々の協力,社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い,持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする。

中学校学習指導要領(平成29年告示) 第1章 総則  第5 学校運営上の留意事項

上記の中学校学習指導要領の文言の中には、部活動は教育課程外の活動であることは明記されていませんが、中学校学習指導要領解説 保健体育編において、部活動に関する記載箇所には「教育課程外で行われる部活動」という言葉がはっきりと出てきているので、部活動は、教育課程外の活動であるといえます。

教育課程外ということは、授業として実施されない活動(課外活動)なので、学校を卒業する上で必ず取り組まなければいけない活動ではありません。

それは、「自主的、自発的な参加により行われる部活動」という文言からも読み解くことができます。

クラブ活動とは何か?

部活動と似た言葉でクラブ活動というものがあります。
こちらは、小学校学習指導要領に「特別活動」という科目の一部分として記載されています。

クラブ活動の目標は以下の通りです

 異年齢の児童同士で協力し,共通の興味・関心を追求する集団活動の計画を立てて運営することに自主的,実践的に取り組むことを通して,個性の伸長を図りながら,第1の目標に掲げる資質・能力を育成することを目指す。

 小学校学習指導要領(平成29年告示)
第6章 特別活動 第2各活動・学校行事の目標及び内容〔クラブ活動〕

第1の目標とは、特別活動という科目の目標です

 集団や社会の形成者としての見方・考え方を働かせ,様々な集団活動に自主的,実践的に取り組み,互いのよさや可能性を発揮しながら集団や自己の生活上の課題を解決することを通して,次のとおり資質・能力を育成することを目指す。

⑴ 多様な他者と協働する様々な集団活動の意義や活動を行う上で必要となることについて理解し,行動の仕方を身に付けるようにする。

⑵ 集団や自己の生活,人間関係の課題を見いだし,解決するために話し合い,合意形成を図ったり,意思決定したりすることができるようにする。

⑶ 自主的,実践的な集団活動を通して身に付けたことを生かして,集団や社会における生活及び人間関係をよりよく形成するとともに,自己の生き方についての考えを深め,自己実現を図ろうとする態度を養う。

小学校学習指導要領(平成29年告示) 第6章 特別活動  第1 目標

つまり、クラブ活動というのは、小学校で実施される教育課程内の活動です。

教育課程内なので、教育課程外に実施されている部活動とは違い、小学校を卒業するまでに履修(学習)しておかなければならない内容となっています。

おわりに

クラブ活動とは、小学校で実施される 授業の1つである。

一方で、部活動とは中学・高校で実施される授業ではない活動で、誰にも強制されることのない自主的・自発的活動である。

このような違いがあります。

ですので、中学や高校で部活動へ強制加入というのは「自主的・自発的活動」という本来の趣旨から外れた行為であるといえます。

また「生徒の自主的・自発的活動」なので、先生がその活動をリードするような行為も趣旨から外れています。

このような行為は小学校のクラブ活動では可能だとは思います(望ましいかは別として)

部活動は、先生主導でやるものではないし、参加する・しないは個人の自由であるということが伝われば嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうござました。

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