歯科金属除去や再根管治療などの歯科医科連携治療で頭痛、だるさ、過多月経などが改善した患者さん。

【困っていること(症状)】

50代の女性。

治したい症状の優先順位は、
①頭痛(後頭部)、背部の凝り
②倦怠感
③過多月経、貧血症状

貧血に対して鉄剤治療をしていたが、フェリチンは5くらいまでしかあがらなかった
左右上顎に歯科金属(アマルガム含む)ありときどき消毒剤の味がする
柔軟剤などで頭痛がする
転勤時に、新築物件に住んだ際にシックハウス症候群になってから、体調が悪くなってきた。

20XX年3月上旬に原因治療目的で当院を初診。
採血ではヘモグロビン8.3g/dL、フェリチン5.0と鉄欠乏性貧血の所見を認めた。

【ゼロ・サーチなどによる原因推定】

ゼロ・サーチで体を観察したところ、
①右上顎
水銀 陽性・ホルマリン 陽性
②左上顎
パラジウム 陽性
③小腸
炎症(TNF) 強陽性、アレルギー反応(IL-4)陽性、CRP 強陽性
④肝臓
炎症 陽性、アレルギー反応 強陽性、CRP 強陽性、合成界面活性剤 陰性、水銀 強陽性
⑤子宮
アレルギー反応 強陽性、CRP 強陽性、金属 陽性
と推定された。

歯科金属(アマルガム、パラジウム)による金属汚染や失活歯における化学物質(ホルマリン)汚染をベースとして、グルテン不耐症(リーキーガット症候群)や弱毒菌潜在感染(生もの摂取)など複合的な要因のために上記の症状をきたしていると推定された。
金属汚染を解毒する漢方生薬(アンチメタル湯)、リーキーガット症候群を緩和するアミノ酸製剤とタチオン散を処方した。
次回は飲料水に汚染がないかを確認することとした。

【経過】

2週間後に再診された。
「グルテン・生もの摂取は控えている。症状はすべて不変。ミネラルウォーターの水を非加熱で飲んでいる。」

ゼロ・サーチ所見:
①小腸
炎症 陽性、グルテン・カゼイン・酸化油 陰性、CRP 陽性、ヘリコバクター・ピロリ 陽性、糞線虫 陽性
②頭部
炎症 強陽性
③口腔内
炎症 陽性、メルカプタン 陽性、右上顎の骨髄反応陽性
と推定された。

症状は不変だが、リーキーガットは改善傾向と推定された。
生もの摂取の対策強化と、飲料水は汚染のないものに変えるようアドバイスした。

同年3月下旬に歯科クリーンアップ治療のために連携歯科医院(奥村歯科診療所)を紹介した。

【歯科パノラマX線写真(画像1)】

画像1:歯科パノラマX線写真



歯科X線写真をゼロ・サーチで観察したところ、
①右上7(画像1の赤丸で囲った部位)
炎症 強陽性、アレルギー反応 強陽性、メルカプタン 陽性、ホルマリン 強陽性、骨髄の共鳴 陽性

②右下5
炎症 強陽性、メルカプタン 陽性、アレルギー反応 強陽性、ホルマリン 陽性、ヒ素 弱陽性
と推定された。

健康増進目的で、歯科金属の除去(ノンメタル補綴治療)および失活歯(右上7、右下5)の再根管治療を要すると判断した。

薬物治療は継続した。

2週間後に再診された。
「飲料水はブリタのポット型浄水器に変えた。頭痛は横ばいだが、体が1割くらい軽くなって、笑えるようになってきた月経は以前は8~9日くらい続いていたが、今回5日で済んだ。」

ゼロ・サーチで観察したところ、
①小腸
炎症 陽性
②肝臓
炎症 陽性
③子宮
TNF 弱陽性、アレルギー反応 弱陽性、水銀 弱陽性
④電磁波障害(エレクトロスモッグ)
強陽性
⑤右上顎
炎症 強陽性、メルカプタン 強陽性
⑥後頚部
炎症 強陽性、ノルアドレナリン 強陽性、メルカプタン 強陽性、水銀 強陽性
と推定された。

小腸、肝臓、子宮の汚染が減り、子宮内アレルギーは著明に改善した。
あとは口腔内のみとなってきた。強いて言えば電磁波障害対策が必要なので、日本電磁波協会(EMFA)による住居の低周波測定を受けるよう推奨した。アンチメタル湯を継続した。

1ヶ月後に再診された。
仮眠なしでも午前中過ごせるようになった。倦怠感が10→5になった。後頭部痛~背部の凝りは範囲が狭まってきた。過多月経は以前ほどでなく10→6~7くらい歯周病治療を継続している。」

ゼロ・サーチで観察したところ、
①右上顎
炎症 陽性、メルカプタン 陽性、骨髄反応 陰性
②小腸
炎症 陽性、カンジダ 陽性
と推定した。

漢方生薬は魂振湯に変更した。

歯科治療に関して、歯周治療とむし歯の治療を進めている状態であった。全身状態は汚染の軽減とともに改善してきたため、歯科金属除去の治療に入っていただくこととした。感染根管治療は肉体的な負担がかかる可能性がまだあるため、歯科金属除去後でも良いかもしれない。

2週間後に再診された。
自宅の階段が休みなしで数年ぶりに歩けるようになった。左背部が痛い便秘している。そろそろ右上7の根っこの治療を受けたい。」

ゼロ・サーチで観察したところ、
①口腔内
水銀 強陽性、パラジウム 陽性。
右上顎のメルカプタン 陽性、骨髄反応 陽性
②右肩
ノルアドレナリン 陽性
③左上背部
ノルアドレナリン 強陽性→アンチメタル湯でキャンセル。
④小腸
炎症 陽性→鉄剤で増加。

鉄剤による便秘と推定し、休薬を推奨した。
Hb12.9と鉄欠乏性貧血は改善していた。
あとは金属汚染の除去のみと判断し、歯科金属除去を開始頂くこととした。
アンチメタル湯を処方した。

1ヶ月後に再診された。
「体調は横ばい。昨年よりはずいぶん良い。外食で揚げ物や生ものを食べた。頭の調子は悪いが。」

ゼロ・サーチで観察したところ、
①頭部
炎症 陽性、ノルアドレナリン 陽性、酸化油 陽性
②小腸
炎症 陽性、CRP 陽性
③肝臓
炎症 強陽性、酸化油 強陽性
④鉄は肝臓と脳で+1。

鉄は充足しており、鉄剤はやはり不要と判断した。
歯科金属除去後に使用するノンメタル素材のうち、生体に適合すると推定される物をゼロ・サーチで選択した。
魂振湯とタチオン散を処方。

本人が希望されれば感染根管治療を開始していただくこととした。

1ヶ月後に再診された。
後頭部痛は10→1に改善。背部の凝りは変わらず。過多月経は改善したのが良かった。来週から歯周病の治療です。右上顎も痛くなってきた。」

ゼロ・サーチで推定したところ、
①電磁波障害 強陽性
②口腔
炎症 陽性、メルカプタン 強陽性
③小腸
グルテン 強陽性
と推定した。

グルテン不耐症による歯周病悪化と推定した。
魂振湯とタチオン散を継続処方した。

3週間後に再診された。
「3日間の左肩甲骨周辺の痛みあり(お寿司など食べた)。金属アレルギーの検査を受ける予定です。むし歯の治療が終わり、9月下旬より歯科金属除去の治療が始まる予定です(合計6ヵ所)。」

ゼロ・サーチで観察したところ、
①電磁波障害 陽性
②口腔
メルカプタン 弱陽性、水銀 強陽性
②肝臓
水銀 強陽性

歯科金属除去に入っていただく。
アンチメタル湯を処方した。

1ヶ月後に再診された。
「天候関連の頭痛あり。梅干しや納豆食べた。
金属パッチテストの検査を受けた。」

ゼロ・サーチで観察したところ、
小腸で、炎症 陽性、グルテン 強陽性、ヘリコバクター・ピロリ 強陽性、糞線虫 陽性と推定された。

生もの摂取の対策をアドバイスした。
タチオン散を処方した。

10月に、右上7番の感染根管治療が開始された後から、以前から訴えられていた「口の中の消毒液の匂い」はなくなった。

1ヶ月後に再診された。
右上の根っこの治療を始めてから、体が軽くなってきた気がする。消毒液が出る不快感が口中にあったが、消失した。冬物はそのまま着ていた。」

ゼロ・サーチで観察したところ、
①電磁波障害 陽性
②ハウスダスト 強陽性
③前頭部
ノルアドレナリン 強陽性、トキソプラズマ 強陽性
④小腸
炎症 陽性、グルテン・カゼイン・酸化油 陰性。
⑤右上顎
メルカプタン 陽性、ホルマリン・ヒ素 陰性
⑥肝臓
炎症 陽性、エルゴステロール 陽性
と推定された。

右上顎の再根管治療でホルマリンやヒ素の汚染は改善したと推定。
ハウスダスト(ダニ・ホコリ)汚染対策をアドバイスした。
金属汚染+カビ汚染に対して、魂振湯を処方した。

1ヶ月後に再診された。
「11月上旬~立ちくらみ、階段での息切れ出現。最初と同じ症状です。食事は気をつけている。月経は普通。右上顎の再根管治療は1本目で時間がかかっている(炎症が強かったため)。市販のハチミツを食べている。」

ゼロ・サーチで観察したところ、
①小腸
炎症 強陽性、グルテン・カゼイン・酸化油 陰性、CRP 強陽性、ヘリコバクター・ピロリ 強陽性、糞線虫 強陽性
②左内耳
炎症 強陽性、CRP 強陽性
③右上顎
メルカプタン 強陽性、ヘリコバクター・ピロリ 陽性
④肝臓
水銀 強陽性
と推定された。

市販のハチミツからの病原体潜在感染によるリーキーガット症候群悪化と推定した。歯科治療が遷延している理由も同様と思われる。
魂振湯を継続処方した。

1ヶ月後に再診された。
体調は良好で、気になることはない。右上顎の根っこの治療は土台の部分をおこなっている。」

ゼロ・サーチで観察したところ、
①小腸
炎症 弱陽性
②右上顎~側頭部~頚部
ノルアドレナリン 陽性、メルカプタン 強陽性、グルテン・カゼイン・酸化油 陽性
③肝臓
水銀 強陽性

右側頭部~頚部の交感神経緊張は持続している。グルテン・カゼイン・酸化油対策をアドバイスした。アンチメタル湯を処方した。

1ヶ月後に再診された。
「年末年始の小麦・生もの摂取で過多月経あり。痛みはない。右上顎治療は土台まで入り、2月初旬にはかぶせ物まで終わる予定。
歯科金属はまだ残っている。」

ゼロ・サーチで観察したところ、
①小腸
炎症 陰性
②胃
炎症 陽性、ヘリコバクター・ピロリ 強陽性
③胆嚢、右下腹部、右膝
ノルアドレナリン 陽性、ヘリコバクター・ピロリ 陽性
④肝臓
水銀 陽性
⑤右上顎
アレルギー反応 陰性
⑥右下顎~頚部~肩
ノルアドレナリン陽性
と推定された。

ヘリコバクター・ピロリの潜在感染による胃痛・右膝痛と推定した。
魂振湯とタチオン散を処方した。
右上顎の再根管治療は順調に進んでいる。いずれは右下顎失活歯の再根管治療も提案したい。

1ヶ月後に再診された。
「外食が多いかもしれないが、体調良い。」

ゼロ・サーチで観察したところ、
①電磁波障害 陰性
②視床下部と松果体の機能は正常
③海馬機能は左右ともに低下
④小腸
炎症 陽性、グルテン 強陽性
⑤胸腺
アレルギー反応 陽性
⑥右下顎
メルカプタン 陰性、アレルギー反応 陽性
⑦副腎:両側3.0

視床下部機能が正常化しているため、リーキーガット症候群があっても体調が良いのだろう。ただし、海馬機能が低下しているため、グルテンに注意していただく。右下5の再根管治療に入るとのことであった。

【まとめ】

約1年の食事・生活改善と歯科医科連携の原因治療で初診時のお困りごとはすべて解決しました。
歯科医科連携の原因治療に関して、歯科金属除去だけではなく、神経を抜いた歯(失活歯)の再根管治療による歯周病菌の潜在感染化学物質汚染の除去が、この患者さんには有効でした。
口腔外科医のハル A.ハギンズ博士が著書(歯科治療に潜む致命的な危険性)で述べられているように、「根管治療された歯が治療困難な病気の主要な原因である」可能性は、原因治療を行う上で常に考えておく必要があります。そのためには、原因治療に関して良き理解のある歯科医と連携できる体制を整えておくことが重要です。


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