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Future fontsと参画するタイプデザイン

谷です。家電メーカーでUIデザイナーをしてます。好きなフォントはSchick Toikkaのdiaです。

Typecache共同設立者のakira yoshinoさんが紹介していたFuture fontsというサービスが面白かったので、自分なりにまとめてみます。(ヘッダー画像: Introducing Future Fontsより引用)

どんなサービス?

Future fontsは、制作途中の書体が安く買えるマーケットプレイスであり、タイプデザイナーと交流ができるコミュニティでもあります。ショップでは現在21種類の書体が販売されています。

Future fontsと通常のダウンロード販売が異なる点は、1. 制作途中の書体が買えること、2. タイプデザイナーとコミュニケーションがとれること、の2点です。webサイトで象徴的に使われている豆腐文字が表すように、in progress、進行中・製作中ということが大きな特徴になっています。

各書体のサムネイルをクリックすると、詳細が見られます。バージョン表記とヒストリー、現在の進捗といった情報が見られます。

現バージョンの進捗はプログレスバーで示されます。Meek Displayという書体の情報を見てみましょう。今は4ファミリーだがよりライトなウェイトも作っていくつもりであること、大文字・小文字といくつかの記号を持っていること、などが分かります。
また、コメント欄もあるので、タイプデザイナーとコミュニケーションをとることができます。

Future fontsのいいところ

1. 新鮮な書体を早く・安く買える
2. タイプデザイナーを支援できる
3. タイプデザイナーと出会える
4. タイプデザインの勉強になる

1. 新鮮な書体を早く・安く買える
製作中の新鮮な書体を青田買いできるワクワク感は、書体好きに嬉しいポイントです。
Future fontsではバージョンが進むにつれ値段が上がりますが、購入済のユーザーは次のバージョンへ無料でアップデートできます。早く買うほど、購入費用が安く抑えられてお得というわけです。(ver0.1が10$という書体も!)

2. タイプデザイナーを支援できる
書体を買うことで「制作途中だけど、このデザインが好き/使いたい」という意思表示になります。また、特に応援したい場合には、好きな額を寄付することもできます。
作り手にとっても、書体が完成してからではなく、途中から制作資金が得られるメリットがあります。

3. タイプデザイナーと出会える
新しい書体との出会いは、タイプデザイナーとの出会いでもあります。Future fontsはインディペンデントで活躍するタイプデザイナーを見つけられる場としても機能します。今までの業績や、視点の新しさといった観点からタイプデザイナーが選ばれているため、クオリティが担保されています。
またコメント欄があるため、応援メッセージ以外にも、例えば「オールドスタイル数字も作って欲しい」というような要望を出したり、アドバイスを与えたりすることもできるでしょう。

Introducing Future Fontsより引用

4. タイプデザインの勉強になる
製作過程が見えることで学びがあります。yoshinoさんも指摘されている通り、新旧のバージョン比較で、タイプデザイナーが何を考え、どこを改善したかを見ることができます。
進捗度合いを見ることで、欧文書体の作業量はこんなにあるのか!と驚く人もいるかもしれません。世の中には、ラテン・アルファベット26文字の大文字・小文字だけ作ればいいと思っているデザイナーもいますが、実際、それは制作においては入口に立ったレベルでしょう。この書体制作の長い道のりが可視化されているのも興味深い点です。

参画するタイプデザイン

クラウドファンディングのような側面があるFuture fonts。以前から濱明朝プロジェクトのように、書体を扱ったCFは存在していました。Future fontsのポイントは、それがコミュニティであるということです。ここに来れば新しい書体に出会える、タイプデザイナーとやりとりができる......という場づくりを行ったということが新しい点でしょうか。
書体は、ファイナルリリースを迎え、公開され初めて使えるようになるのが普通です。しかしFuture fontsでは、ファイナルリリースよりも前の時間軸まで、書体の体験に広げたと言えるでしょう。制作途中が見えて、交流ができる——おおげさに言うと、「参画するタイプデザイン」ということがFuture fontsの面白さだと思います。

一方で、webサイトのFuture fontsは、良くも悪くも書体感度の高いデザイナー・書体好きのためのサービスという気がします。Future fontsが書体好きだけでなく、書体を好きになるきっかけとして機能したらいいなあと思います。

新しい技術やサービスの登場によって、書体を取り巻く「作る側」「使う側」どちらの環境もリッチになり、世界が広がってきました。ここ何年かだと、Google fontをはじめとしたWebフォントサービスの普及、Noto fontsやTypekitの恩恵により多くの人が手軽に高品質な書体を使えるようになったこと、GlyphsDrop&typeによって書体制作の敷居がより低くなったこと......などが挙げられるでしょうか。
つい先日もフォントワークスがmojimoというサービスを始めたばかり。2018年もきっと面白い技術やサービスがどんどんでてくる気がします。

おわり

タイプデザイナーではない人間が書いているので、間違いなどありましたら、ぜひご指摘いただければうれしいです。

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谷です。家電メーカーにて、UIデザイナーという肩書きで仕事してます。主にデザイン、書体、タイポグラフィについて書いています。

コメント1件

こんにちは、いろんなフォントを使うのが好きなので、記事をわくわくしてよみました。よく使うパソコン用のワードプロセッサでは英語用のフォントの多彩さに比べて圧倒的に日本語のフォントが少なく、いくつかの傾向に固まっている気がします。日本語のフォントも増えてほしいですが、漢字があるためハードルが高いのでしょうかね…。
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