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共創空間を生み出す4つの『場』のデザイン

こんにちは!株式会社NTTデータのデザイナー集団「Tangity」で、デザイナーをやっています石澤です。

今やテレワークによる働き方が定着している人も随分と多くなっているのではないでしょうか。TangityでもリモートでWeb会議やオンライン完結型のワークショップを行っています。また、少しずつ必要最小限のオフラインとの組み合わせも始めています。

こうした環境に慣れる一方で、その時の「場」をどのようにデザインするのが最適なのか、今も環境の変化を捉え日々試行錯誤しながら取り組んでいます。

今回の記事では、「共創空間を生み出すための場のデザインはどう考えればいいのか?」について、4つの価値観をご紹介します!同じように取り組まれている方や検討されている方の参考になれば幸いです。

1.人の出会いを尊重する『一座建立』の場

茶道の世界では当たり前のように目にする「一座建立(いちざこんりゅう)」という言葉をご存知でしょうか?

それは、
「ゲストとホストの心が通じ合い、心地よい状態を作ること」
と言われています。

『場』のデザインを考える上で大切なことは、オンラインであってもオフラインであっても基本となるのは人と人の出会いです。

例えば、日々のWeb会議で同じメンバーが何度も会するとしても、その日の会議は一度限りの場であることに変わりはありません。主催者も参加者もお互い思いやりをもって心地よい状態で取り組むべきです。

その前提に立てば、最初に考えることは優れたデジタルツールを用意することでも、オフラインを代替するようなデジタルネイティブな思考を働かせることでもないことは想像できると思います。

ではどう考えるべきなのでしょうか?

共創を生み出す『場』のデザインの基本は、その場に集まる人たちによる良き出会いと心地よいコラボレーションを生み出すことです。それが「一座建立の場を作る」です。
この価値観は他の3つの土台になると考えています。

2.希少性を高める『掛け算』の場

掛け算の場は、ダイバシティに富んだ様々なバックグラウンドを持つエキスパートが集まることで実現されます。

様々なバックグラウンドを持つエキスパートとは、サービスデザインの文脈で言われる次の3つの要素がバランスよく構成された集団であると考えています。

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デザイン:ユーザーの視点で課題を解決できる
ビジネス:持続可能な事業を考えることができる
技術:ビジネスの成功に必要な技術の選択と実装ができる

これら3つの要素全てを1人のエキスパートが兼ね備えている必要はありません。そのような希少性を持つ人はほぼいないからです。どれか1つに希少性を持つエキスパートがバランスよく集まり、3つの知恵を掛け算することによって、新たな価値の創造に繋がると考えています。

そのインパクトを定量的に表してみます。
各領域に1/100の希少性を持つエキスパートが1人ずついると仮定した場合。

1/100×1/100×1/100=1/100万

この時の掛け算によって生み出される価値の希少性は1/100万になります。
それだけ知恵の掛け算のインパクトは大きく、共創を生み出す為のエッセンシャルな価値観だと考えています。

3.行動変容をもたらす『体験』の場

ペンシルバニア大学ウォートン・スクールのジョーナ・バーガー教授の論文「How to Persuade People to Change Their Behavior(人に行動変容を促す方法)」に、人に行動変容を促す上で指示や命令は適切ではないと述べられています。

なぜなら人は自らの行動を自分でコントロールしていると思いたいからだそうです。

このことから、共創空間を生み出す為に「このようにしてください!」「こうすべきです!」といった取るべき行動を指図するアプローチは適切ではないことが言えます。

では、どのようなアプローチを取るべきでしょうか。

ジョーナ・バーガー教授は「問い掛けの形でメッセージを届けることだ。」と述べています。

例えば、「良いアイデアを出したいので全員が同じ空間で取り組んでください」という指示を伝えるよりも、「皆が同じ空間で取り組んだら創造性が高まり良いアイデアが出ると思いますか?」と問いかけることです。

問いかけられたほとんどの人は、この質問にどのように答えればよいかを考え、自分の意見を伝える行動を取ります。

人は誰かの指示に従うことに抵抗感を持っても、自分自身の考えに従うことには素直なはずです。自分の考えや価値観を踏まえて意見を出す。結果、それに基づいた行動を取るようになります。「良いアイデアが出ると思う」と答えた人は自分でそのように行動するはずです。

このように、自分で考えて行動する。そのような体験ができること。それが行動変容をもたらす『体験』の場を作る価値観であると考えています。

4.価値を生み出す『具現化』の場

皆で考え出したアイデアをコンセプトに留めず、アイデアをリアルなプロトタイプとしてクイックに具現化することが、価値を生み出す『具現化』の場の価値観です。

具現化すると、リアルに見られて、触れるようになります。また、それがデジタルな顧客体験として価値があるかについて具体的に検証できます。

その結果、生み出された価値を積み重ね、バリューギャラリーのような場にしていくことが、価値を生み出す『具現化』の場のゴールだと考えます。

Tangityでは、語源に「手触り感のある」という意味が包含されていることから、具現化の場のデザインの価値観に「リアル×デジタル」の要素を込めています。

例えば、「見て分かり、どんなデジタルな機能があって、どんな場面でどう使い、何が嬉しいのか、そのストーリーが体感できる」ことです。

5.4つの場の価値観を盛り込んだ共創空間

これまで、4つの場とそこに必要な価値観について述べてきました。

・人の出会いを尊重する『一座建立』の場
・希少性を高める『掛け算』の場
・行動変容をもたらす『体験』の場
・価値を生み出す『具現化』の場

Tangityのスタジオ「AQUAIR」にはこれらの価値観を意識してデザインしたルームがあります。

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この部屋でオフラインでワークショップに参加する人、オンラインでこの部屋のメンバーとコラボレーションする人、どちらの立場であってもそれぞれが「面白いな」「なるほど」「良かった」という出会いと共感、体験と実験ができるような場になっていけるように今後もアップデートしていきたいと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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