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❤️のあるForesightデザイン

皆さん。デザイン思考でイノベーティブなサービスをがんがん作り出していますか?株式会社NTTデータのデザイナー集団「Tangity」で、サービスデザイナーをやっているGoroです。

いわゆるデザイン思考は、徹底したユーザ中心主義が一つの特徴です。それはそれで有効な場合も多いのですが、それだけでは足りない点があるのも事実。ヘンリー・フォードの有名な言葉はデザイン思考の限界を考える上で示唆に富んでいます。

「もし、人々に”移動手段として何が欲しいのか?”と聞いていたら、彼らはもっと速い馬が欲しいと答えただろう」

フォード・モーター・カンパニー創立者 ヘンリー・フォード

もう一つ例を挙げましょう。日本が産んだ数少ない「破壊的イノベーション」であるSONYのウォークマン。しかしデザイン思考的な考え方をとっていれば、ウォークマンは世の中に出ることなく一つの試作品として終わっていたかもしれません。

当時ソニー製品の販売を担当していたソニー商事はウォークマンの販売に対して消極的でした。なぜか?彼らは「既存の音楽プレーヤーのユーザ」を熟知していました。当時は今と違い、自分の好きな音楽を聞こうと思えばまずカセットテープに録音する必要がありました。また音楽は部屋で大きなスピーカーからでる良い音で楽しむものでした。そうした「既存ユーザ」の立場からするとウォークマンはどう見えるか?ソニー商事の幹部が述べた理由はまさしくユーザー中心の原則に則ったものでした。

「録音できないものは売ったことがありません」
「ヘッドフォンで聞くのはかったるいと思います。」

最初の会議では、ウォークマンを推進したいソニーの盛田会長は、ソニー商事の幹部を説得することができず物別れに終わったそうです。

ここから何が言えるか?

現状を理解することは確かに「改善」には有効です。そして絵空事ではないイノベーションを産む為にも必要。

しかしそれだけでは足りない。

現状を理解した上で、「こういうものがあるべきだ」という主張を持たなければならない。この「主張」とはあくまでも主観です。盛田会長は

「いまの若い人は、音楽なしでは生きてゆけない
いつでもどこでもいい音楽が聴けるようになったら、若者の必需品になる」

という主張を持っていました。しかしそれはあくまでも主観=❤️であり、客観的なデータに基づいた万人が「そうだろう」と合意する提案ではない。盛田会長がソニー商事幹部を説得できなかったのもそのためです。

最近デザイン思考のように現在の把握からスタートするのではなく、少し先の未来を描きそこから逆算するForesightデザインが語られることが多い。しかし未来を描く際には必ず主観=❤️が必要となります。となると次に問うべきは

  • どうすれば「良い未来像」が描けるのか

  • 主観でしかあり得ない未来像にどうやったら説得力を持たせられるのか

これらの問いについてはまた別の機会に書きたいと思います。

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