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しっくりくるユーザーリサーチには要注意!?

こんにちは。NTTデータのデザイナー集団「Tangity」の藤原です。
私はサービスデザインの中でも特にユーザーリサーチが大好きです。昔から人の行動を観察したり、なぜこの人はこの行動をとるのか、なぜこの発言をするのかを考えるのが好きでした。
そして、すべての辻褄があった時に、「だからこの行動/発言に繋がるのか!」と強く納得できることに喜びを感じてしまうのです。
 
そんな私なのですが、先日、プライベートの中でこの喜びと出会い、同時に業務のことを考えると身の引き締まるような出来事があったのでご紹介させて頂きます。


しっくりくるニーズ分析

私には夫がいます。夫とは出会って17年くらい経つので、良いところも、悪いところも、さらに嫌なところも、知っています。夫のペルソナ像を作るとこんなかんじになると思います。

そんな彼とのふとした会話での出来事です。
当時はまだコロナが5類感染症に移行する前でしたが、状況も落ち着きつつあり、誰かと会う機会も増えていた頃です。
私たちの子供を連れて、夫の両親と会う約束をしていたのですが、子供が少し鼻水を出し始めていました。夫も「もしコロナだったら、うつしてしまったら大変だしね」と話していましたし、念のため会うのを延期することにしました。義父が医療従事者であるため、夫は当然気にしているんだろうと私は判断し、「ご両親、特にお義父さんにうつってしまったら大変だしね」と夫に言うと、「うん、そうだね」と軽い返事が返ってきました。
 
その時、ある疑問が浮かびました。
「本当に夫は義父にうつしてしまうことだけを気にしているのか?」
 
しかし、先ほどのペルソナ像と「もしコロナだったら、うつしてしまったら大変」という発言を基にすると、「家族、特に医療従事者の義父にうつしてしまうことを避けたい」というニーズから、「約束を延期するという行動に繋がった」という分析結果にはなるのではないでしょうか。とてもしっくりくる流れだと思います。
 
みなさんならどのように思われますか?

しっくりくる中に隠れているニーズ分析

夫である彼をよく知るがゆえに、どうしても違和感をぬぐい切れなかった私は、義父の性格や随分前に聞いたことがある彼の過去の体験、さらに彼の日々の姿勢を情報として追加してみました。

  • 義父は非常に論理思考。真面目で厳格な性格

  • 夫は、特に若い頃はめんどくさがりでいい加減、適当な性格

  • 夫は真面目な義父から信頼されず、散々叱責されていた幼少期~青年時代

  • 近年は大人になるにつれて信頼を回復しかけていた

  • その信頼を維持しようと普段から行動や振る舞いに夫は気をつけている

この5つの情報を追加した時、私に例の喜びがふつふつと湧いてきたのです。夫には医療従事者の義父にうつすことを避けたいという以外にもう一つのニーズがある!
 
それは、「義父の信頼を失いたくない」なのです。
 
当時の状況で、事前に子供が鼻水を出していることが分かっていて、まして医療従事者がいる場であれば、良識ある大人はきちんと報告して約束を延期することが当たり前です。
そんな中、約束を決行し、万が一うつしてしまうようなことがあれば、真面目で厳格な義父は夫に対して「正しい大人としてあるまじき行為、やはりまだ信頼できる男ではない」と思うはずです。その結果、信頼を失ってしまうことを、夫は避けたいと考えているのです。
 
私は高鳴る胸を抑えきれず、興奮してこの分析結果を夫に伝えましたが、夫は「家族を分析するのはやめて」と冷たく去っていきました。
ユーザーは自分の真のニーズに、自身では気づいていないことが多いものです。そのため、この分析結果が正しかったのかどうかは別途検証が必要になるため今はおいておきます。

ユーザーリサーチにおいて忘れてはいけないこと

ユーザーリサーチを実施する際は、固定概念に捉われずにユーザーの行動やその背景・特性を周辺情報も含めて考えることは基本です。
もちろん理解しているつもりでしたが、この出来事を経てユーザー理解について改めて身が引き締まる点がありました。

バイアスがかかった分析結果を出していないか

「コロナ」「医療従事者」のように印象強い、また世の中としてとても重要な情報だったため、「医療従事者である義父にうつしたくない」と自然と考えていました。
 
実プロジェクトの中でも、プロジェクトにとって重要な言葉、世の中の多くで言われている傾向が見えた時に、自分が意識せずともその流れと同じ結果を導いてしまっているかもしれません。そして、そういう結果は違和感を感じにくく、まさにしっくりきてしまうため、それがユーザーニーズだと結論づけてしまいやすいのです。
 
人間である以上バイアスをもっていることは当たり前ではありますが、ユーザーリサーチをする上では、誰しもがバイアスを持っていることをまずは認識することが重要だと言われています。
認識することで一度立ち止まることができます。そして冷静に自分の思考を疑い、他の可能性を考えなければいけません。

ユーザーを本当に理解しているか

「義父の信頼を失いたくない」というニーズの可能性を出すためには、
義父の性格、幼少期の体験、義父との関係性の変化といった、他のステークホルダーの性格や関係性、過去の体験などもインプット情報として必要でした。
 
ユーザーを理解するためには分析する一場面に関わる情報だけでは足りません。ユーザーはどんな人で、どんな生活をしているのか、何を大事に思っているのか、関わる人がいるならば、誰がいて、その人はどんな人で、ユーザーにどんな影響を与えているのか等、ユーザーがこれまで生きてきたすべてが今に影響していることを忘れていけないと改めて実感しました。
 
頭で分かっていても、ユーザーのすべてを理解することは難しいものです。
ユーザーの親や配偶者等、家族になった気持ちで、ユーザー自身を理解しようと努めることで、やっと見えてくる真のニーズがあるのかもしれません。

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