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五月記(さつき)

5月、新生活にも慣れてきたと見え、気力が極大点を通りすぎる時期。他人はどうなのだろうか。私はそもそもやる気などというものに頼って生きていないので、よくわからない。多分、そこに依存していたらとっくに死んでいる。

怠惰であろうと勤勉であろうと、何でも良い。受験は、合格した人間だけが正義なのだ。数字を出した人間だけが偉い。そういうものだ。その意味で私はまだ下層に留まらざるを得ない。まだ?来年もこうかもしれない。文転してしまったから、また受験に失敗すると、よくわからない髪色の、よくわからない言葉を話す人たちの集団に混じらざるを得なくなるかもしれない。浪人してまで!いや、その人たちにどうこう思うというよりは、自己の問題だ。2度目、実質的に3度目の、敗北となれば流石に耐えかねる。小学2年生くらいから薄らと希死念慮があるから、何なら失敗を思い描いて、不合格をその機会に利用しようとしているのかもしれない。その時はその時だ。

今月は何があっただろうか。振るわない模試くらいだろうか。熟何もできないのだと思い知らされた。得意科目が無いのだ。ああ、いや?意外と色々とあったかもしれない。記憶の限りだと、友人を怒らせたり、風俗に行ったり……んー、えー、ラーメンを食べたり?ああ、こんなものか。成績が悪すぎて大人には怒られるし、兎角憂鬱だった。大馬鹿なので同時に違うことを考えられないから忘れていたけれど、別に楽しいことはなかった。いや、正確に云うと苦しさと快楽を天秤に掛けると前者が勝っていた。浪人生はそんなものだろう。

風俗に行くのだって、別に女性の裸体が好きだからとかそんな理由ではない。リフレでも構わないし。意味の無いことでも、癖にしてしまうと止められないだけだ。私からすると、ペットボトルを包むプラスティックをわざわざ剥がしてしまうのと、風俗通いは同じだ。他人に面倒を見てもらっている身でこんなことを云うのはおかしいと分かっていても、同じなのだ。全ては虚しいから。大体は一緒だ。まぁ、それは今日全力を尽くさない理由にはならないが。

なりたかったものも、やりたかったことも忘れてしまった。大学受験という氷を溶かしきらないことには、私は2度と私に辿り着けない。
6月はいよいよ夏の手前、一段ギアをあげなければならない時期だ。多少無理をしてでも、「頑張って」数字を出しておきたい。

今月の短歌
ステップを知らなくたって踊りたい
夜があるだろ 火の上とかで

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