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失敗は許されないという呪縛

この4月から、とある施設で送迎の手伝いをすることになった。半年前まで内職はしていたが、担当者と一対一だったので、たくさんの人と関わるのは4年振り。施設の特性上仕事の有無やルート、同乗者など全てが超流動的だが、行き当たりばったりが好きな性格にはちょうど良く、今の生活にも合っていて時給もいい。好きな運転が仕事になり、内職と同じくらい稼げる。4時間のパートですら尻込みしていた自分にとってはこの上ない好条件でありがたく始めさせてもらった。

ところが初日から自己嫌悪の嵐だった。仕事上でのミスとかではなく、自分にしか分からない本当に小さいことなのだが、所々自分の行動に頭というか心がついていけない。いつも深堀りしているときに起こる「スピリットの感覚にマインドがついて行けないカオス状態」の逆パターン。そこら中にマインドの落とし穴があって、ズボズボとハマってしまう。

マインドの乗っ取りに遭う度に「あたしってこんな仕事できないやつだった???」と凹んでいたのだが、先日この自己嫌悪の黒幕を見つけてしまった。

その日は夕方施設へ行き、お願いされていた利用者さんを呼んで車へ乗り込んだ。出発の準備をしていると別の利用者さんが乗り込んできた。聞くと私の車で帰るのだという。慌ててLINEを見ると数分前に「この方もお願い!」とメッセージが来ていた。それ自体は全然構わないのだが、初めて送迎する方で家の住所が分からない。利用者さんに住所を聞いてみるがコミュニケーションが苦手な人が多い施設で、話は一方通行になってしまい聞き出すことができない。

その時はとにかく先に乗り込んだ利用者さんを待たせてはいけない!という強迫観念にも近いものに支配されていた。その場で事務所に電話するも出ない。本来ならば利用者さんたちには車で待っててもらって、すぐそこの事務所に聞きに行けばいいだけなのだが、「早く出発しなきゃ」という呪縛に頭を乗っ取られて焦る。利用者さんに「どのへん?地区名分かる?」と聞いても的を得ない返事で「うわぁ~ぁぁぁぁぁ、どうしよ、どうしよ!」とパニックになりかけていたら、事務所から電話がかかってきた。無事家の住所を聞くことができ、ルートを定めて出発、送り届けて自宅へ帰ってきたのだが。

なんでこんなにプチパニックみたいになるんだろう・・・家に帰ってからもずっとそのことで頭がいっぱいだった。仕事をしていた頃には考えられないような行動をしている自分にショックを受けて立ち直れない。いろんなことを気にしすぎて体が固まってしまう。すると頭もフリーズしてしまい、究極の優柔不断が発動。まるで「今何を選択することが正解なのか誰か教えてください!」と心が叫んでいるかのよう。

ショックの渦にいたら数週間前のことも思い出した。初めての施設へのお迎えを頼まれた時の事。事前に顔写真と名前の情報はあったが、正直マスクしていて分からない。相手も私の事を知らない。どんな方なのかも分からない。落ち合えなかったらどうしよう・・・。時刻になって人が一斉に玄関から出てくると、私は額から赤いビームを出すかの如く、目を見開いて一人ひとり顔を確認していく。すると背格好が似た人が出てきた。「あ!あの人だ!」そう思った瞬間、その人はこちらも見ずに走って行ってしまった。「ダメダメ待って!私今日初めてだから顔分からないと思うけど~!お迎えですよー!」そんな風に心で思いながら追いかけて行ったが、途中で様子がおかしいと気づいた。違う、この人多分人違いだ。
バツ悪く元の場所に戻ると、数分経って、本人が、出てきた。

私、何を焦ってるの???なんでこんなパニックみたいになってるんだろう。その時は自分の行動に「久々にお仕事らしきものをして緊張してるだけ」と思っていた。正しくは思いこもうとしていた。だがそこへ小さい「どうしよどうしよ」が日々積み重なっていく。そして先日の「家の住所分からなくてどうしよ事件」だ。

しばらく向き合っていると「失敗しちゃダメ!」というのが頭に浮かんだ。失敗・・・?なるほど。そうゆうことか。失敗しちゃダメ、は裏を返すと「完璧にこなせ」ということになる。いつもは「え!あたしそんな事思ってたの???」と脳内がカオスになるのだけど、今回は、妙に納得した。

我が家の両親は「べきねば思考」がとっても強い。親子家族の長年の関わりの中で、いつの間にか「失敗は悪」「失敗は恥」「初回から完璧にやらねば」と、私の頭の中に刷り込まれていったのだと思う。
長年の思い込みはなかなか抜けない。まずはそれを認識するところから。

私の好きなカードリーダーのあづささんが紹介していた「神との対話」にこんなことが書かれていた。

抵抗すれば相手はかえって強くなる。
見つめれば、相手は消える。


次にまた同じことしそうになったら「失敗したくないんだよね」そう心に言おうと思う。


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