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初春ジャンピング

 バズってる。
 その香水を専門店で見て試香紙につけて嗅ぐ。
(あっま…)
 前から思ってたが好みじゃない。
 紙を悪戯にひらひらすると、ふと目に入った、球体型の紫色をした小瓶を手に取る。紙を捨て、再度真っ新な物につけた。瑞々しく、そして上品な香り。
 これだ、直感した。
「お客様、こちらご希望ですか?」
 香りに浸る私に声を掛ける、スラッとして笑顔の素敵な店員さん。こんな場所に不慣れな私は声が出ず首を縦に振り、促されるままカウンターへ行く。
 財布には新札の人生最後のお年玉が入ってる。
 私には早かったかと思いつつ、丁寧に包まれたそれを手に街を歩くと、大人の階段を上った気がして、はにかんだ。



あとがき

 今回、Twitter上で企画されている「毎月300字小説企画」に参加させていただきました。
 思いついて、バッと書いてみると600字あって、どこを削るか、というのがとても難しく………。
 この情報、入れたい。
 この台詞、入れたいけど入れなくてもいいかも………。
 などなど色々、取捨選択しながら、うーーーんと考えて書きました。
 実はこれが仕上がった時は、私、胃腸炎の熱に苦しんでいた時でもあります。(東京でのライブ遠征で、どうやら貰ってきてしまった模様)
 熱が上がりまくって、とてもじゃないけど眠れない。だけれど、やれる事は限られてる。そんな中で生まれた作品です。
 皆さまの空白の時間を埋める小さな作品となれたら嬉しいです。

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