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FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 Group.G モンテネグロ vs ラトビア マッチレビュー

やあみんな!フットボールライフ楽しんでいるかな?

10月も2/3が過ぎようとしているのにアタクシは未だ9月のゲームを書いている。いや申し訳ない。

今回お届けするのは第6節の3つ目、モンテネグロ×ラトビアのカードだ。力関係はモンテネグロが上。攻撃重視になるモンテネグロに対してラトビアはジブラルタル以外からの勝利を目指すチャレンジ精神を見せた試合となった。

両チームの前節までのゲーム内容を知りたい方は以下を参考にされたし。

モンテネグロ 4節(vsトルコ) 5節(vsオランダ)
ラトビア 4節(vsジブラルタル) 5節(vsノルウェー)

サマリー

読み取れる狙い

(〇上手くいった △半々 ×上手くいかなかった -無し)

【モンテネグロ】

ゲームメイク戦略(ポジショナルプレー志向):-
ゲームメイク戦略(非ポジショナルプレー志向):△
カウンター戦略:△

【ラトビア】

ゲームメイク戦略(ポジショナルプレー志向):-
ゲームメイク戦略(非ポジショナルプレー志向):×
カウンター戦略:△

上記の状況になった考えられる理由

モンテネグロが押し込む展開となったゲーム。その要因はやはり質の差。システムが嚙み合う中、ボール保持によるゲームメイクで前に進めるか進めないか。攻める気はあるが縦志向によるカオスアクションしか手が無いラトビアは、ボールの失い方とスペース管理が悪く自身を苦しめることとなる。

しかしモンテネグロは定位置攻撃のグループ性が怪しく単騎でのアタックもしくは単調なクロスが目立つ。クロス対応は中堅レベルに届いてそうなラトビアを崩せないまま試合は終わった。

なお、両チームともビルドアップは流行りの型を持ってはいたのだが、それがゴールから逆算されたポジショナルプレー志向には能わずと考える。

気になった選手とその理由

【モンテネグロ】

ミヤトビッチ (GK MTKブダペストFC)

押し込んでいたモンテネグロではあったがラトビアもビッグチャンスを数回作っており、ミヤトビッチの活躍がなければ敗北する可能性も大いにあった。ということでの選出。

ちなみに名はミラン。サビチェビッチじゃないのかとかマドリード(もしくはフィオレンティーナ)だろとか思ってしまった人はこの記事にいいねされたし。

【ラトビア】

セルノモルディス (DF リガFC)

ラトビアのディフェンスリーダー。最後の局面で守備が崩れないのはセンターバックがあまりエリアから離れない部分が大きい。それに加えてモンテネグロのカットインをたびたび跳ね返していた。

考察 (オランダ主観)

1.相手ビルドアップの妨害について

モンテネグロは嚙み合わせを意識しプレスラインを保ちつつ人を基準に1stプレスを仕掛ける。ラトビアのセンターハーフが降りた際はモンテネグロもセンターハーフが対応していた。オランダには見せなさそうな形である。

ラトビアの第1プレッシャーラインは守備的プレッシング位置から開始することが多い。目的は外誘導とカウンターの位置取りとなる。その際は相手のビルドアップ隊を苦しめるには至らず、U字パスでサイドを変えられ持ち運ばれる展開になりがちだった。オランダがここで苦労することは無いだろう。

2.第2ライン防御について

モンテネグロは中盤においてもプレスラインを保ちながら人を基準にプレスを仕掛ける。個の力がラトビアより勝るためデュエルでボールを奪っていた。

また、ラトビアがビルドアップを仕掛けてきた序盤はパスをインターセプトする場面も何度かあった。相手サイドバックが高い位置を取る際に、サイドハーフがマークを外さずに下がるのが功を奏していた。前回のオランダとの対戦でもサイドハーフの振る舞いは戦術的だった。次回の対戦もアンカーのデ・ヨングがポイントとなりそうだがトップ下の選手がマンマークすることも想定できる。

ラトビアは1stディフェンスが効かないと中盤がバグる悪癖があるがこのゲームではあまり目立たなかった。システムが噛み合っているのと後述するモンテネグロの中盤突破の仕方によるものだ。

また、モンテネグロのGKビルドアップからのアタックに対してサイドに追い込み相手に不正確なプレーをさせる守備は評価できるものの、ボールを残せずカウンターに繋げることができなかったのは実に惜しかった。

3.ブロック守備について

モンテネグロはロングボールや被カウンターによって中盤を突破された状況や後ろ向きで守ることが何度かあり、上位レートの対戦時と同様にチーム全体としては守備力は弱く感じた。サヴィッチ不在の影響はあったかもしれない。ラトビアが時折起こすカオスな展開は土壇場で凌いでいた。これを見る限り次の対戦も前回のコンビネーションを再現出来そうな気がする。

ラトビアは4-4ブロック。今までと同様2CBがサイドへのチャレンジ&カバーに加わらないためクロスには強い。欠点と思われる裏抜けやサイドからのショートパスによるアタックをモンテネグロがしてこなかったためシュートは浴びるも安定した守備を見せていた。オランダ戦ではどのような振る舞いをしたのか見るのが楽しみである。

4.ゲーゲンプレスの回避について

どちらも特筆するようなことは無いがモンテネグロはセンターハーフが横ドリブルやチップキックなど回避出来るだけのスキルを持ち合わせていた。ラトビアは頑張れ。

5.ビルドアップについて

モンテネグロは2CB+1CHで構築しSBやもう1枚のCHがピン留めやサポートに回る。ビルドアップのレベルは高い水準にありそうなのだが、U字パスでのサイドチェンジが多かったりGKビルドアップが組み込まれていないことなど、ビルドアップの時点で相手を剥がす意識はあまりない気がする。

ラトビアは2CB+2CHでゲームメイクを行う。基本はボックス型だがセンターハーフが流れて行う菱形ビルドも振る舞う。サイドバックを高い位置に移動させる目的があったと思われるが、ビルドアップ隊がモンテネグロの1stプレッシングに耐えられないとなると、出口役となるためサイドバックの位置が下がっていった。それでも厳しくなるとロングボールの選択を増やしていった。

いずれもオランダ戦では攻撃局面は縦志向ベースとなるだろう。

6.相手中盤の突破について

システムの噛み合いが強まる部分であり互いに突破に苦労していた。

モンテネグロはU字パスを受けたサイドバックが起点となり前進を図るもののラトビアのスライド対応に捕まり相手を剥がせないままアタックを継続する。それによりファウルやスローインを得て再攻撃から前進する機会が多かった。当然ラトビアの守備も再セットとなるため、次のフェーズで相手を崩す場面が攻撃回数の割に少なかったというのがこのゲームの特徴である。

ラトビアはビルドアップからの継続だとこのフェーズでミスによりボールロストをしてしまう。縦志向のアタックの場合はウルドリキスをターゲットにポストやフリックで突破を図ることができた。ラトビアのアタックはこれが一番有効だった。

7.フィニッシュワークについて

モンテネグロは主導権を握りカウンターやセットプレーで決定機を作るものの、定位置攻撃は単調なクロスによるシンプルな攻撃を行う傾向があり、エリア内のブロックが強固なラトビアを崩すことができなかった。MF-DF間を利用したアタックもあったがグループ性に欠けていた。ラトビアのセンターバックを引きずり出すのは上位レートのチームでも難しそうとは感じる。

ラトビアは前半こそ縦ポンからのアタックもしくはセットプレーに勝機を見出そうとしていたが、後半はクロス主体の定位置攻撃の回数が増えた。その際に逆サイドのサイドハーフが内レーンに絞るので2FW+1SHがエリア内で待ち受けようとする。一応中央でのコンビネーションも振る舞うがいずれにせよモンテネグロの守備陣を崩せるアタックは持ち合わせていなかった。

8.トランジションについて

ポジトラについては奪い方が良いモンテネグロが立ち上がりにミドルレンジのカウンターにより中盤突破状態からの速攻を何度か見せた。その際FWはプルアウェイでドリブルの進入コースを空ける動きを振る舞う傾向にある。ラトビアはロングカウンターを複数回行う。FWに楔を入れレイオフをする間にグループで速攻を仕掛ける形を好むようだ。

守への切り替えは互いに攻撃と連動した設計とは言えなかった。

終わってみればモンテネグロの個の高さと現代フットボールへの乗り遅れの入り混じり方がなんかこう切なくなるゲームだった。と同時にラトビアの最終ライン結構やるなと感嘆している。実際に10月に行われた次のラトビア×オランダのゲームはモンテネグロ戦よりも苦戦するのであった。

3本目の記事恒例のプレスカンファレンスのコメントまとめ。トルコ戦の前に行われた会見はニュースにもなった5バックを守備的と発言した記者を非難した時のものである。(23:50~)

その記者はファン・ハールが好む[1-5-3-2]でトルコ戦に挑むのかを質問する際に守備的とかチェルシーやリバプールと同じようにと言った内容を付け加えたことが事の発端のようだ。それに対してファン・ハールが、サッカーのビジョンちゃう、[1-5-3-2]や[1-5-2-3]でも攻撃的になるやろがい、チェルシー毎回そうやんけ、トゥヘル脱帽、と反論している。システムの数字で攻撃的・守備的と判断しないのは現代フットボールにおいて当然のことである。

その他は欠場選手の報告と、いつも通りの相手を情報を与えたくないからゲームプランについてはコメントしないと言った主旨の様子。その発言にはトルコは難しい相手だが必勝するという信念が表れていた。

それではご一読ありがとうございました。TanaLifeでした。あなたの心(ハート)に平戸に祈る🙏

試合結果

2021.09.08
FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 Group.G 
第6/10節 モンテネグロ 0-0 ラトビア 

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