「育児のしやすい会社になる!」を目指し、フルリモート・フルフレックスに挑戦している話
株式会社イネーブルメント・コンサルティングの代表をやっております、たなけんです。
弊社は、2023年7月に事業を開始し、タレントマネジメント・システムの導入・運用や人事制度の設計・運用の支援を行っております。
事業を開始してから丸3か月が経過し、この10月で社員が5名になりました!
会社を創業してからフルリモート・フルフレックスで会社を運営しており、改めてリモートワークの難しさやリモートワークで成果を出す工夫についてまとめられたらと思い、noteを書くことにしました。
というのも、弊社は「育児のしやすい会社になる」をビジョンに掲げており、育児をしながらでもしっかりと価値を出せる、稼げる会社になることを目指しております。(実際に社員のほとんどが育児をしています)
一方で、フルリモート・フルフレックスで会社を運営してきた感想としては、「出社の方が生産性は高い(気がする)」ということです。前職のコンサルティングファームでもリモートワークをしていましたが、創業期は決まっていないことが多いため、コミュニケーションの頻度を高めて社員全員で認識を合わせながら業務をする方が仕事を進めやすいと感じています。
仮にそうだとしても、弊社は「育児のしやすい会社になる」ことをビジョンに掲げています。ビジョンの実現に向けて、何としてでもフルリモート・フルフレックスで価値を提供できる、成果を出せる状態にしていきたいと思っています。
そこで、本noteでは、弊社のフルリモート・フルフレックスで業務を進めるうえでの取り組みにをまとめていきたいと思います。
本noteで弊社に興味を持っていただけましたら、DMでご連絡いただけますと幸いです!(募集ポジションの情報は最後にまとめています)
1. 弊社のフルリモート・フルフレックスでの業務の進め方
1-1. リモートワークとはどういう状況なのか?
弊社では、リモートワークを「5つの見えないの中で仕事をすること」と整理をしています。他にもあると思いますが、リモートワークでは「人の動き」「物の動き」「表情」「社員間の関係性」「会話(誰と誰がどのような会話をしているか、会議に出ているか)」が見えづらくなります。そのため、常に「見えていないものがある」という事を前提にして仕事をする必要があると考えています。
その中で、弊社がどのようにフルリモート、フルフレックスで業務を進めているかについて以下の観点でまとめていきます。
業務環境
リモートワークを成立させるための前提
業務のマネジメント
リモートワーク下で、正しく業務を進める取り組み
人材のマネジメント
リモートワーク下で、成果を出すための取り組み
1-2. 業務環境
まずは業務環境です。リモートワークを成立させるためにはリモートワークを前提とした「ルール」と「ツール」の整備が重要だと考えています。
リモートワークにおけるルールとは、お互いの動きが見えない状況において、組織を「行動の予測性が高い状態」に保つためのものです。
例えば、お客様からデータが届いたら、「誰が」「どこのフォルダに」「どのタイミングで入れるのか」という事が決まっており、相手にいちいち確認しなくてもその状態になっているというイメージです。仕事における「お作法」のようなものですが、それを口頭ではなくきちんと明文化し徹底することで、認識相違なく連携することができるようになります。
弊社では、「フォルダ管理の方法」や「タスク登録のルール」といった業務ルールから、「仕事をするうえで大事にすること」まで明文化して共有しています。「考え方」を共有しておくことで、各々が自律的に判断しやすくなると考えています。
次に、業務環境で重視すべきことに「ツール」があります。すべての社員がフルリモートとなるため、「主要業務はクラウドで完結する」ようにしています。どうしても紙のやり取りが発生することはありますが、PCのローカルでは作業しないように徹底しています。(ローカルでの作業は他の人が作業状況を把握しづらく、情報管理上のリスクもあるため)
また、弊社は事業の性質上、パイプライン管理やプロジェクトごとの稼働管理、採算管理が求められますが、セールスフォースを導入するほどの取引数もなければ、資金的な余裕もないため、freeeとnotionを中心に業務環境を組み立てました。創業後すぐにfreee工数管理を導入し、既にプロジェクトごとの採算を把握することができています。
また、リモートワークに不可欠なシステムに「ログ管理システム」があります。弊社は、「みえるクラウドログ」というログ管理システムを導入しています。
「みえるクラウドログ」は、PCのログだけでなく、「作業量(打鍵数、クリック数)」、「画面のキャプチャ」や「使用しているツール」のログを取ることができます。このツールを使うことでリモートワークでも業務状況を把握でき、さらに、業務スピードの改善に繋げることができます。実際に弊社では、個人ごとの業務スピードと時間当たりの打鍵数を振り返り、「寿司打」の結果をベースに作業時間の見積りを見直しました。
1-2. 業務のマネジメント
次は、業務のマネジメントです。業務のマネジメントには、リモートワーク下でも「組織」と「個人」がそれぞれ適切に業務を進められるようにしておくことが求めらます。
まず、組織での業務の進め方についてです。リモートワークの基本は「個人作業」になります。そのため、組織での業務は、個人が作業しやすい状態にすることが大切です。
個人が業務をしやすくするために、弊社では、とにかく”書く”ことに力を入れています。なんでも文章にして、残す。文章だけでは分かりにくい場合は、PPTで簡単なイメージを作成して、残す。そうすることで、組織内で起こっていることやお互いが考えていることを共有しやすくなります。
リモートワークは、非同期で業務を進めていくことになります。そのため、会社や業務に関するあらゆる情報をオープンにし、自分のタイミングで情報にアクセスできるようにしておくことで、社員間での情報格差が少ない状態を維持することができます。
個人の業務に関しては、「徹底的なタスク管理」に取り組んでいます。タスク管理の徹底というと窮屈な印象を持たれますが、お互いの動きが見えない状況においては、どのように動こうとしているかを事前に把握しておかねば衝突やお見合いにつながってしまいます。
そこで、弊社では「何をするのか」「どのようにするのか」「いつするのか」「進捗はどうか」を管理しています。
具体的には、notionとGoogleカレンダーを用いて以下のような形で進めています。
上記のように、作業前に「何をするのか」「どのようにするのか」「いつするのか」「進捗はどうか」を把握し認識合わせをすることで、無駄な手戻りを避けたり、相手の状況に合わせて先手を打つことができます。
また、タスクの設定では、上司から部下という一方通行ではなく、上司と部下が相互にタスクを設定するようにしています。部下が上司に動いてもらう必要がある場合は、部下が上司にタスクを設定し、notionのコメント機能を使ってリマインドしています。
1-3. 人材のマネジメント
人材マネジメントでは、以下の点に気を付けています。
出勤時の勤務予定時間および想定作業の共有、退勤の報告
コミュニケーションの前提の共有
守備範囲の明確化
行動目標による無意識の意識化
OJT、振り返りの仕組み化
フルフレックスかつリモートワークの場合、人の出入りや勤務時間が分かりづらいため、出勤時に「いつから働いているか」、「何時まで働く予定か」、「今日は何をするのか」をSlackで連絡するようにしています。これは、業務のマネジメントとも重複しますが、人材のマネジメントでも重要だと考えています。特に、人材のマネジメントの観点では、出退勤の時間とどれくらいの時間で何をしようとしているかを把握するようにしています。
また、退勤時にその日のタスクの消化状況をnotionで報告するようにしています。そうすることで、フルフレックス、フルリモートでも勤怠管理を行えています。
次に、コミュニケーションの前提となる「知識」や「考え方」の共有です。業務に取り組む際に、同じ本を読んだり、同じセミナーを受けたりすることで、前提となる「知識」や「考え方」を揃えることに力を入れています。
コミュニケーションの前提が共有されていない場合、指示や相談の内容を理解できなかったり、相手の発言を誤解したりすることにつながります。これは、リモートワークでなくても大事なことではありますが、リモートワークの場合、コミュニケーションがテキスト中心となるため、より文脈のすり合わせが難しくなります。
コミュニケーションの前提のすり合わせは、外部からの情報を揃えるだけでなく、お互いが内側に持っているものをすり合わせておくことも重要です。個人ごとのこれまでの経験や性格の特性、趣味などを共有しておくと「個人ごとの行動の予測性」が高まります。弊社では、MBTIの情報を共有し、「こういうところあるよね~」という話をしています。
弊社では、組織図に基づき、社員ごとの役割を明確にしています。これを守備範囲の明確化と呼んでいます。
出社の場合は、その場その場の空気を読んで柔軟に役割や業務範囲を変えながら仕事をすることができます。一方で、リモートワークの場合は「空気を読んで柔軟に対応する」ということが難しいため、個人ごとの守備範囲を明確にし、その守備範囲を全うすることに重きを置いています。
自分の守備範囲で発生したタスクは基本的に自分で進める(周囲が能動的に巻き取らない)ことを原則とし、万が一、業務が滞りヘルプが必要な場合は自ら周囲と調整するようにしています。そうすることで、一人ひとりが自分の守備範囲やタスクに集中することができます。
守備範囲の明確化は、どこまでのタスクを対応するかを決めることであり、業務のマネジメントは、発生したタスクを完遂するための取り組みと整理しています。
守備範囲は明確にするだけでなく、しっかり守り切ることが重要です。そのためにはちゃんと人材育成をしていく必要がありますが、リモートワークは手取り足取り教えるのに向きません。そこで、弊社は「行動目標」を導入しました。
「行動目標」とは、上司が部下に対して「期待すること」を設定し、その内容を踏まえ、部下自身が「現状はどうか?」を振り返ったうえで「期待水準に向けてどうするのか」を目標や取り組みで設定するものです。
定量的な目標設定とは異なり、日々の業務の中で「何を意識するのか」、「何に取り組むか」を目標に設定することで、より守備範囲を意識することができ、ここを伸ばしていく、改善していくことが守備範囲を守るうえで大切だということを上司と部下の共通認識にしやすいと考えています。
目標は設定しただけでは機能しません。日々のOJTや振り返りの中でしっかりフォローしていくことが重要です。しかし、リモートワークは実際の作業や行動が見えないため、OJTがしづらい状況にあります。そこで弊社が意識しているのは、「とにかくOJTのタイミングを逃さないこと」「OJTあたりの学習効果を高めること」です。
作業計画やタスクの消化状況、実際のアウトプット、みえるクラウドログの内容などからOJTのタイミングを探ります。実際に業務の中でフィードバックするタイミングがあれば、できる限りその場でフィードバックします。フィードバックは、その人の役割(守備範囲)や行動目標に沿った内容で伝え、フィードバックを受けた側がその内容をnotionに登録するようにしていました。
通常、OJTの効果があったかどうかは、再度、同じ場面にならないと分かりません。しかし、リモートワークはそもそもOJTの機会が少ないため、OJTの効果を測るのにそこまで待つのはもったいないです。そこで、自ら指導内容をnotionに登録し、内容を上司とすり合わせることで、認識のギャップが生じづらくなります(OJTの効果を把握しやすくなります)。また、指導を受けた内容だけでなく自分が気づいたこともnotionに登録することで、ナレッジの蓄積や学びの定着に活用することができます。
Tips:「すぐに電話」がとても重要
リモートワークで仕事をしていると、「ちょっと5分いいですか?」と声を掛ければ解決することがすぐに解決できないことに気づきます。出社していれば、相談したい人の席まで行って声を掛ける、困ってそうな人がいたら周りが気づいて声を掛ける、という事ができます。
一方で、リモートワークだとそれが簡単にできない。いちいち予定を入れたり文章にすることでもないことだとしても、そうするのがリモートワークです。また、連絡してもすぐに返信が来るわけではありません。そこで、便利だったのが電話です。弊社では9月ぐらいから、出社時の「ちょっと5分いいですか?」をそのまま電話に置き換えることで業務効率が飛躍的に高まりました。社内に向けてですが、「困ったらすぐに電話」をもっと活用して良いと思っています。
Tips:複雑な業務はZoomをつないだ状態で
仕事には、1人で作業していると煮詰まることや、内容を確認しながら進めた方が早く終わることがあります。そのような場合には「Zoomをつないだ状態で作業をする」ということで対応しています。常に確認できる状態にしておくことで、お互いの作業スピードが上がり、手戻りも減ります。また、画面を共有して作業することでOJTにも繋がりました。
2. リモートワークをやってみた気づき
前職のコンサルティングファームでも直近3年間はリモートワークが中心でしたが、実際にリモートワークで会社を経営したことで、改めてたくさんの気づきをえることができました。
2-1. リモートワークに必要なケイパビリティ
改めて、リモートワークには、「自律的に業務を進める力」「PCスキル」「日本語力」が不可欠だと実感しました。
自律的に業務を進めるとは、自分でタスクを認識し、能動的に周囲と調整し、自分でタスクを完了させるということです。上述しているとおり、リモートワークは自分の守備範囲をしっかり守っていくことが前提です。「自分の守備範囲を理解する」、「他の人の守備範囲を理解する」、そして、「自分の守備範囲を全うする」。もし、自分のタスクを完了させることが難しい場合(能力的、時間的など)は、周囲とタスクを調整する必要があります。タスクとは、会社として対応しないといけないことです。自分で対応が難しければ、他の人に対応してもらう必要があり、その調整が後手後手になるのは会社にとってリスクです。
お互いの状況が見えづらい中で業務をするうえで、すべての社員にとって「自律的に業務を進める力」は大前提だと再認識しました。
そして、「PCスキル」です。
リモートワークでは、日常的なコミュニケーションをすべてPCで行います。つまり、PCの操作が早い=仕事が早いということになります。逆に、PCの操作が遅い、特にタイピングが遅いという事は、会話が遅いということになります。情報伝達スピードを上げていくという観点でも、タイピングスピードはリモートワークの肝だと思っています。幸い弊社はタイピングが速い人が多いですが、今後もこの点は重視していく必要があると考えています。
また、「日本語力」の重要さを実感しています。リモートワークのコミュニケーションは、「テキストベース」、「1回のコミュニケーションの情報量が会話よりも多い」、「1回のコミュニケーションに時間を要する」という性質があります。そのため、自分が伝えたいことを適切に表現できない場合、リモートでの仕事が上手く進まなくなります。
そのため、弊社では、構造化されていない文章や意味不明な日本を可能な限り減らしていくように取り組んでいます。
2-2. 事務業務とリモートワークの相性
新型コロナの感染拡大によって浸透したリモートワークですが、当時から「エッセンシャルワークはリモートでの対応ができない」と言われていました。弊社のような会社においても実際に物が動く「事務業務」はフルリモートに向きづらいと感じました。(創業期には思ったよりも物が動きます)
また、リモートワークは「ちょっとした業務」にも向きません。「ちょっとした業務」とは、銀行での支払いや消耗品の購入、捺印など、まさに誰でもできるすぐに終わる業務です。このような「ちょっとした業務」が多いのも事務業務の特徴であり、事務業務は柔軟に「ちょっとした業務」に対応しながら、定型業務を処理していく流れになります。
一方で創業期は、この定型業務の比率が低くなりがちです。そのため、すぐに事務業務をリモートワークにせず、ある程度オペレーション(業務フロー、業務ルール、業務インフラ)が固まってからリモートにする方が良いでしょう。
3. 今後に向けて(おわりに)
3-1. 複数人でのコミュニケーションやメンバー間の関係性の構築
現状、弊社内でのコミュニケーションは、一対一になることが多いです。2週間に1回の全体会議など、複数人でコミュニケーションを取る機会は設けていますが、一対一のコミュニケーションに比べると圧倒的に複数人でのコミュニケーション量が少ない状況です。
そうすると、ハブとなる人材(各方面と関係をつくれている人)にコミュニケーションが偏ります。また、業務で接点が無いと、お互いに話す機会がなくなってしまいます。幸いまだ5人であり、それが深刻な問題にはなっていませんが、人数が増えてくると問題化する可能性は高いと考えています。今の内から、業務で接点が少ない社員間でも簡単にコミュニケーションが取れる仕組みや仕掛けを準備しておく必要があると思っています。
3-2. 未経験や知らない人を採用できるか
現状、弊社の採用はリファラルが中心です。というのも、リモートワークはコミュニケーションコストが高いため、「お互いのことを知っているか?」「信頼できる人か?」が重要になります。既に知っている人は、この点を超えているため、現状はリファラル採用中心で進めています。
しかし、事業を拡大していくためには、リファラル以外での採用にも着手する必要があると考えています。また、リファラル以外で採用した方が、最初からフルリモート、フルフレックスで業務を進めることができれば、弊社が掲げる「育児のしやすい会社になる」に一歩近づくことにも繋がります。少しでも世の中に貢献できるように取り組んでいきたいと思います。
おまけ
リモートワークで成果を出すための課題図書
弊社では以下の本を課題図書として設定しています。
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