西洋絵画におけるアトリビュート(attribute)とChatGPTの関連性
先日小説を読んでいたら、ふとアトリビュート(attribute)という単語が出てきました。
どうやらアトリビュートというのは西洋絵画で使われる用語であるらしく、調べていくうちに興味深いと思うと同時に、「ChatGPTにも関連する概念なのでは?」という疑問も浮かびました。
そこで今回は、西洋絵画におけるアトリビュート(attribute)について解説し、実験を通して「ChatGPTとアトリビュートの関連性」について考察したいと思います。
アトリビュート(attribute)とは
アトリビュート(attribute)とは、西洋絵画において伝説上・歴史上の人物または神話上の神と関連づけられたアイテムであり、そのアイテムの持ち主を特定する役割を果たすものです。
これは、キリスト教の宣教に美術が大きな役割を果たしたことが関係しており、識字率が低い異民族に布教を行うために、文字がなくてもストーリーが伝わる構造が必要だったためと考えられています。
アトリビュートの例として、こちらのサイトの解説が非常に分かりやすかったため、引用させていただきます。(※プライバシーポリシー確認済み)
この例のように、サル・イヌ・キジの存在や、桃のマークといったアイテムによって、真ん中の男の子が「桃太郎」であることが一瞬で分かります。
つまり、こうしたお供や桃といったアイテムが、桃太郎のアトリビュートであると言えるわけですね。
また、アトリビュートと似た用語にシンボル(symbol)がありますが、この2つには明確な違いがあります。
つまり、単体で機能するのがシンボル、明示する人物が必要なのがアトリビュートになります。
聖母マリアのアトリビュート
それでは、実際の西洋絵画におけるアトリビュートにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、最も代表的な「聖母マリア」のアトリビュートについてご紹介したいと思います。
これから3枚の聖母マリアの絵画を見せます。
(※画像は全てパブリックドメイン)
あなたは、これらの絵画にある共通点が分かるでしょうか。
正解は、「青色のヴェールを着用している」という点です。
この青色のヴェールは天の真実を意味しており、このヴェールこそが聖母マリアのアトリビュートということになります。
なぜ青色なのかというと、カトリック教会では聖母マリアのことを「海の星(Maris Stella)」と読んでいたことに由来しているという説が有力です。
また、その他にも
赤色の衣服(神の慈愛の象徴)
おしべのない百合の花(純潔の象徴)
などが聖母マリアのアトリビュートとして挙げられます。
ChatGPTと聖母マリアのアトリビュートの関連性
上記の背景より、世の中にある多くの「聖母マリアの絵画」は青色のヴェールを着用しているということになります。
そして、ここからある一つの仮説を導くことができます。
それは「世の中のあらゆる絵画データを学習したChatGPTが生成する人物のイメージには、その人物のアトリビュートが反映されるのではないか」
という説です。
例えば聖母マリアの場合、ChatGPTはネット上のあらゆる「青色のヴェールを纏った聖母マリア」を学習していることになります。
これによりChatGPTは「聖母マリア=青色のヴェールを纏っている女性」
と認識している可能性があると言えるのではないでしょうか。
今回はこの仮説を実証するために、簡単な実験を行いました。
実験の設定
本実験では、ChatGPT(GPT-4)に対し
Generate your own image of the “Virgin Mary”.
(あなたがイメージする「聖母マリア」の画像を生成してください。)
というプロンプトを入力し、生成された画像を見てみたいと思います。
ChatGPTがイメージする「聖母マリア」
それでは生成結果を見てみましょう。
このように、青色のヴェールを身につけてガーデンで佇む聖母マリアの姿が生成されました。
他の例も見てみましょう。
このように、今回生成した全ての画像で聖母マリアは「青色のヴェール」のアトリビュートを身につけているという結果になりました。
本実験結果から
ChatGPTが生成する人物のイメージには、その人物のアトリビュートが反映される
という仮説はおおよそ正しいと言えるのではないでしょうか。
終わりに
本実験を通して、かなりの数の「聖母マリア」の画像を生成しましたが、その構図は違えど全ての画像で青色のヴェールが確認できました。
この性質を利用することで、逆説的に
ChatGPTによってその人物のアトリビュートを検索することができる
と考えることもできます。
ChatGPTをアトリビュート検索装置として使用するというのは、中々斬新なアイデアなのではないでしょうか。
これはほんの一例で、実は私たちが気づいていないだけでChatGPTにはまだまだ無限の使い道があるのかもしれません。
今後もそのような「誰もが見落としているChatGPTの可能性」について発信していきますので、ぜひともチェックしていただけたら嬉しいです。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。