好奇心の残骸を見つけて

「むずかしいのは、はじめることじゃなく続けること」

——この言葉、多くのひとが耳に、もしくは目にしたことがあると思う。そしてきっと、多くのひとにとって耳が痛く、身に覚えがある言葉だろう。


このnoteを書いているいまは、オフィス引っ越しのまっただなか。となりの部屋では、アート引越センターのお兄さんとお姉さんが鋭意作業に取り組んでくれている。

「すごいねえ、はやいねえ」と言いながら社長の古賀さんと社員のわたし、そして心強い助っ人であるツドイの今井さんはコーヒーを飲みながら優雅に談笑していたのだけど、
「そういえば新オフィスに机が届くのは明日だからいまのうちにnote書いておこう」ということで、せっせとパソコンに指を滑らせているところ。

さて、せっかくなので、昨日に続いて「引越しの醍醐味」について語ると。

個人的にはやっぱり、引き出しの奥や棚の裏から「当時やる気や興味があったもの、その残骸」が発掘されることかなと思う。

たとえば家の引越しだと、肩甲骨ほぐしゴムやストレッチポール、書道セット、手芸セット、謎の調理器具などなど……。「ああ、いたねえ」と旧友にあったような気持ちになりながら、昔から変わらぬ飽きっぽさ、衝動性をしみじみ噛みしめるのが常だ。

「それ」をはじめて手にしたときは、やる気に満ちあふれていた。「よし、変わろう!」と決意し、よりよい未来に胸おどらせながら、はじめの一歩を踏み出した。

ただ、その衝動が大きければ大きいほど、めんどうくさいことに手を出していることが多くて。初期衝動が小さくなるにつれ、ただただめんどうくさくなっていく。そして「じゃまだな」と思い、片付け、忘れていく。

——そんな自分という人間を直視しなければならないのが、引越しというイベントなのだ。

でも、それはただのゴミじゃないぞ、と思う。
「好奇心の残骸」なんだぞって。

今日、3年半過ごしたオフィスからは、ふたり分の膨大な好奇心の残骸が発掘されている。

1回しか使われていないもの、一時期ブームだったけれどいつのまにか終息したもの、「こんなのあったんだ」レベルのもの……。

コーヒーメーカーなんて、この小さな部屋に4つある。好奇心に任せてはじめてみたものの続かなかったものが、たくさんある。

そういうモノを見つけるにつけ、好奇心って「考えなし」になれることなんだな、と思うのだ。わたしたちは好奇心とお金を散らかしながら生きているんだ。それをあらためて可視化できるのが、引越しなのかもしれない。


観葉植物用の土、鉢底に入れる石、でっかいジョウロ——。

さきほど、これらの園芸グッズが発掘された。はじめて手にしたときのわくわくを思い出し、「次のオフィスではもう一度トライしてみようかな!」と懲りずに思っている。

サポートありがとうございます。いただいたサポートは、よいよいコンテンツをつくるため人間を磨くなにかに使わせていただきます……!