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台風直撃、だけどあなたは一生ラッキー【母娘マカオ旅行記録】

台風直撃、終日缶詰

翌日、台風が接近しているということで警報レベルが3から8に上がっていた。マカオは警報レベルが(なぜか)1,3,8……と上がっていき、8になると公共交通機関などがストップする。店舗も休業。よって、強制的にホテル缶詰となることになった。

ちなみに「明日乗ろう」と言っていたホテル内の運河をゆくゴンドラも休止になっていて、娘はショックを受けていた。彼女にとってはなんといっても「船に乗れるホテル」だったのだ。しかし娘はわたしに叱られた5秒後に鼻歌を歌うくらい、引きずらない性質。「おいおいおい」と思うことも多々あるけれど、今回は「仕方ないねえ……なにしよっか」と瞬時に切り替える姿にとても助けられた。

さて、ここで効いてくるのがホテルの圧倒的な広さだ。「ホテル・ロンドナー」「ホテル・パリジャン」もつながっているので、「ここがイギリスのロンドンになります」「フランスのパリでございます」なんて言いながら3つのホテルをくまなく探索した。なにがあるわけではないけれど、はじめての場所はなんでも楽しい(どれだけ広いかというと午前中だけで1万歩いていた)。

各国らしいものも設置されちえる。ホテル・ロンドナーの赤い電話ボックス。「もしもーし!」と楽しそう

午後は、任天堂ゲームやエアホッケー台も用意された思想のないボーネルンドのようなキッズスペースで2時間遊び、すっかりくたびれた娘はふだんしない昼寝までしていた。

ああ、もしこれがAPAホテルだったら! 2人でケンカになっていた自信がある。自信しかない。「嘘っぽい」とか言ってごめん、最高のホテルだヴェネツィアン。

食後のコーヒーとミルクをマクドナルドで。高い。「日本の牛乳より甘い!」そう。

そんなこんなしているうちに夕方になり、部屋を出てみると店舗はクローズのままゴンドラのみ再開していた。「わ、うれしいねえ」とチケットを買って列にならぶと、わたしたちの後ろにロープが張られた。なんと最後の一組だったらしい。しかも「1時間待ち」と言われ覚悟していたのだけれど、相席OKだと告げると「じゃあ次どうぞ」。

「ねえ、わたしたちって、ラッキーなんじゃない?」

娘が耳打ちしてきたので「そうだね。一生ラッキーだよ、きっと」と返した。

夕食。アジア各国の料理が集まるフードコートはものすごい人混みで、テイクアウトして夜景を見ながらいただくことに。「マカオではあんまり野菜を食べてないね」なんて文句を言うのでレタスの炒め物、春巻き、蒸しエビ餃子。蒸し餃子はもちもち、ぷりぷりの王道だった。

食後はふだんできないことをしようと、ベッドの上でお菓子パーティを開催。ホテル内ショップで「好きなおやつ選んできていいよ、でもせっかくならマカオっぽいものにしたら?」と言って放流したら、meijiチョコアソートを選んできて笑った。いいよいいよ。

わたしは青島ビールとピーナッツで、旅の振り返りをしながらパーティをした。チョコをほおばりながら「帰りたくない」と涙ぐむ娘を見て、そんなに思い入れるほどかなあと思ったけれど、子どもにとっての数日はわたしたちにとっての1週間、2週間くらいのインパクトがあるのだろう。そう、だってわたしたちは、時間に対する感覚がちがうのだから。

頭をなでて、「また来ようね、またいろんなところ行こうね」と約束した。

ひとりもいいし、ふたりもいい

翌日。空港行きのタクシーで紙幣やおおきめの貨幣を使いきって満足していたら、空港ではマクドナルドでもセブンイレブンでも「現金のみ」とカードを断られてしまう。小銭をかき集め、ようやく娘に朝食のチーズパンを食べさせることができた。最後までドタバタしていたわけだけれど、娘はわたしのこういうところに慣れているので「ポケットモンスター イエロー」のピカチュウのようにただ後を着いてきてくれる。いつか、先を歩くようになるのだろうか。なるのだろうな。

台風の影響で1時間遅れたのち、ぶじ離陸。台風で1日つぶれてしまったけれど、「海外旅行にはトラブルもつきもの」ということもなんとなく理解してくれたようだし、わたしも「マカオは近いからまたいつでも行けるよね」と自分でふしぎなくらいさっぱりとしている。

子どもがいるとやっぱり「たのしませたい」「たのしんでほしい」という気持ちが湧いてくる。だから、ひとりのときよりちょっとだけがんばる。がんばるというか、「たのしい」にぐっとフォーカスする。

たとえばバスが激しく揺れただけで「ディズニーランドみたい!」と盛り上がるのは、子どもがいるからこそだ。ホテルに缶詰になったときも、あそこまで一生懸命「たのしいさがし」をしなかっただろうし、部屋でぼーっとNetflixを見る時間もあったかもしれない。だから、ありがたいなと思う。

同時に、子どもがいるとがんばりすぎないところもある。「あの世界遺産も見たいな」と思っても子が気乗りしなさそうならあきらめるし、守るものがあるぶん、お酒も控える。それを不思議と歯がゆいと思わない、楽しさ愛しさと引き換えだ。でも、またひとりでゆっくり旅したいと思うのも正直なところで、それは両立する気持ちだなあと思う。

「ふたりだから、力を合わせようね!」——娘は出発前の約束をしっかり守ってくれた。たった3泊4日、しかも夜着朝発のみじかいプランだったけれど、娘とこんなに四六時中一緒にいることってあまりないような気もする。とても、とても、満たされた時間だった。

次はどこへ行こうか。食べることが大好きな娘を連れて、世界中の「たのしい」をさがしに行きたい。

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