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マカオ母娘ふたり旅記録

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2023年7月に母娘ふたりで行ったマカオの旅エッセイです。
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台風直撃、だけどあなたは一生ラッキー【母娘マカオ旅行記録】

台風直撃、終日缶詰 翌日、台風が接近しているということで警報レベルが3から8に上がっていた。マカオは警報レベルが(なぜか)1,3,8……と上がっていき、8になると公共交通機関などがストップする。店舗も休業。よって、強制的にホテル缶詰となることになった。 ちなみに「明日乗ろう」と言っていたホテル内の運河をゆくゴンドラも休止になっていて、娘はショックを受けていた。彼女にとってはなんといっても「船に乗れるホテル」だったのだ。しかし娘はわたしに叱られた5秒後に鼻歌を歌うくらい、引

旅にその地に、惚れるとき【マカオ母娘2人旅記録】

マカオを特別な場所にしてくれたエッグタルトのプレゼント 街歩き午後。 一瞬たりともお腹をすかせないままぶらぶらしていると、エッグタルトの有名店 Margaret’s Cafe e Nataを偶然見つけた。近づくとずらり長蛇の列、娘に(やめておこうよ)というニュアンスを含ませて「ちょっと時間かかりそうじゃない?」と言うと、即答で「ならぶ」。「疲れない?」「だいじょうぶ」。……おいおい、搭乗手続きの列ではあんなに「まだ?」連呼していたじゃないか! しかしこの列、並べど並べど

大人と子ども、わかり合えたり合えなかったり【マカオ母娘2人旅記録③】

モンテの砦で、子どもと大人の時間を考える 博物館で芯まで冷えきったからだが、日差しと湿気にからめ取られてあっという間に熱を持つ。でもまあ雷雨を思えばありがたいねえ、と話しつつ汗を吹き出しつつ、聖ポール天主堂と同じく1600年代に造られた「モンテの砦」の階段をえっちらおっちらのぼった(後にエスカレーターがあることを知る)。 モンテの砦は高台の上にある、大砲や兵器工場、貯蔵庫をそなえた防御施設だった。中国本土とつながる北側を除いた(「敵意はありませんよ」と示すため)東西南にお

「なにも残せなかったけれど、文化は残した」ポルトガル、聖ポール天主堂、駆け出す子【母娘マカオ2人旅記録②】

本日も晴天なり 朝7時に目が覚める。日本時間8時。寝たのは遅かったけれど、カーテンをすこし開けておいたため陽の光で自然に目が覚めた——光? そうだ、天気。息を止めてベッドから起き上がり、スリッパに足を入れる。娘を横目に、カーテンと窓の間にからだをすべり込ませた。 雲は浮かんでいるけれど……晴れている! またしても「ほら」とひとりごち、カーテンをおおきく開けた。 支度を済ませて8時ごろ、中国大陸と陸続きのマカオ半島に向け出発。娘はワンピースに首からカメラを下げ、胸元にサン

娘の初海外旅行はマカオのヴェネツィアで【母娘マカオ2人旅記録①】

荒天予報のマカオへ、いざ 大雨、雷雨、雷雨、雷雨——。 旅、となるとまず気になるのが天気だけれど、出発1週間前に見ても、3日前に見ても、前日に見ても、マカオは全日程迷いのない荒天予報だった。一緒に天気予報を見ていた娘ががっかりしてはいないかと「雨なりに楽しもうね、エッグタルトをたくさん食べるとか」と声をかけると、むしろそのほうがいいと言わんばかりに「はーい!」と高く手を挙げる。エッグタルトすなわち、ポルトガル発祥の「パステル・デ・ナタ」。娘いちばんの「旅の目的」だ。 一