見出し画像

Travelling Agroforestry

フィリピン、ルソン島北部のコーディリエラ地方にコーヒー豆の収穫に行ったのは、2018年と2019年のこと。コーヒー豆の収穫には時期があり、11月から2月ごろまで行われる。2018年はひとりで、2019年は8人くらいの参加者と共にCoffee harvest tour 2019として、1週間のコーヒーとアートの旅のツアーを11月に企画した。海外どころか、遠くへ旅行することさえままならない今の状況では、ずいぶんと昔のように感じてしまう。

私たちにとって、もっとも身近な植物と言っても過言ではないコーヒー。そのほとんどは、海外(南米、東南アジア、アフリカなど)から船で運ばれ、焙煎とドリップを経て、目の前のカップの1杯として登場する。そこまではなんとなく想像がつくけれど、船に積み込まれる前の段階は現地に足を運ばないとなかなか見えてこない。

多くのコーヒー農園は標高1200mくらいのところにあり、街中にはない。コーディリエラ地方の場合はまさに山岳。斜面のところどころにコーヒーノキが点在し、赤い実を付けている。この地域の特徴はアグロフォレストリーと言ってコーヒーノキだけにしないで、シェイドツリー(主に豆科の高木)やその他の植物や農作物を植えて、森の生態系を壊さずに暮らすという方法を選んでいる。それによって渡り鳥が羽を休めたり、土地が痩せずに豊かな自然が残っている。この地方の渡り鳥は日本へと移動をする。コーヒー農園は鳥の休憩地点にもなっている。

1杯のコーヒーの味や香りから、コーヒー豆が収穫された森を想像してみよう。そこにはどんな鳥や生き物がいて、風が吹いているのだろう。

旅をしてきたコーヒー豆のふるさとを遡る、そんな体験をする装置を現在、制作中。6月初旬に完成、配送予定。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?