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物から見る生活の変化。日常を支えてくれる9つの愛用品

はじめに

物を通してここ数年を振り返りたくなり、久しぶりに愛用品にまつわるnoteを書いています。今回は、約3年前の振り返りから1つ減り、9つになりました。

毎日身につけたり持ち歩いたりする物には、持ち主の生活や価値観が、本当によく映し出されるものだと思います。

丁寧にメンテナンスされた財布や、使い込まれた文具。愛用品を通して人の考えに触れる瞬間が大好きで、その背景は、他人と分かり合いたいという欲求の入口が「物」にあるからなのかもしれません。

物は、自身を振り返るときも興味深い視点を与えてくれます。ここ数年は生活様式が大きく変わり、その変化は持ち物にもよく表れていると思いました。

例えば、キーリングのリングが革紐になりました。在宅勤務に伴って増えた散歩中。手ぶらで歩きたくてキーリングをポケットに入れたとき、リングが太ももに干渉するのが気になったからです。

東急ハンズで買った革紐。最も美しい長さに出会うため、6mぐらい消費した

名刺やカード類を入れていたカードケースに、図書館のカードを入れるようになりました。対面での挨拶がほとんどなくなり、持ち歩く名刺の枚数が減ったからです。

収納物の厚み9〜10mmのときの膨らみが至高。その制限下で、遂に図書館カードを入れる余白ができた

ぱっと手に取った物たちを見ても、一個人の生活の変化が映し出されているなと思いました。ここからは、いつも身近にいて日常を支えてくれている愛用品について淡々と語ります。

1. ほぼ日手帳 Planner

手帳に代わるデジタルツールがあふれていますが、なんだかんだ学生時代から手帳を持ち歩いています。これでスケジュール管理はしませんが、デイリーページで一日の出来事や感じたことを書いて内省したり、マンスリーページで習慣をトラッキングしたりと、生活のパートナーとして欠かせない存在です。

不安や怒りを感じたときに触れると落ち着いたり、心にとどめたい信条が書いてあったりするので、たいていの場に連れていくことになります。毎日なにかを書くので1日1ページ形式が最低条件。祝日表記やノイズになる余計な日本語は要らないので、それらを満たすPlannerを毎年買っています。

ほぼ日手帳にみられる、ペンの収納と手帳の開き防止を兼ねたバタフライストッパーは、合理的な機構だと使うたび感じます。手帳カバーはずっと気になっていた、ヴォーエプソンと呼ばれる革素材のものを使っています。

ヴォーエプソンは、雄の仔牛の革に型押ししたもので、傷や汚れに強いのが特長です。型押しレザーは経年変化を楽しめないという先入観があったのですが、2年が経った頃から鈍い艶がみられるようになり、経年変化の美しさをゆっくり感じています。

手帳にカバーをかけることで薄いものを挟む余白ができたので、仕事でたまに使う三角スケールを納めています。

しおり紐がないので、マンスリーページにダブルクリップを付けて、目当ての月がすぐに開くようにしています。

デイリーページにはポストカードを挟んでいます。今季は好きな薬味のポストカードなので、手帳を開くたびに気分が少し上がります。

2. Varie pelli A4レザーファイル

頭の中を整理するために、A4サイズの紙が手放せません。もともと紙を持ち歩く道具として、下のクリップファイルを使っていましたが、今はVarie pelli A4レザーファイルに落ち着いています。

Varie pelli A4レザーファイルは、一般的なクリアファイルと同じく2辺が綴じられ、開いているポケット部分に紙を差し込むシンプルな構造をしています。20〜30枚程度の紙を保管できる簡素なつくりで、より愛着が湧くものを探した結果、今の選択肢に落ち着きました。

A4紙の用途は、日々のモヤモヤの吐き出し、ゼロ秒思考といった日常生活のため。仕事では状況整理、パワポ資料のスケルトン、複雑な工程表のラフ案など、考えを整理して次の行動に進むためのツールとして欠かせない存在です。

使いたいとき、紙のストックをさっと取り出し、レザーファイルの上に置いて書き出すのがいつもの流れ。ポケット部分から紙を取り出して書き始める一連の動作をストレスなくでき、革の手触りも良いので、とても気に入っています。

素材は厚めの牛革で、血筋がはっきり見える無骨な顔立ちをしています。革の厚みのおかげで、1枚の紙を直に置いたときの書き心地も良く、素材と用途の相性は申し分なし。革製ながら、ラフに使い込める優秀な文具です。

レザーファイルの一角には、直径15mmまで対応できるペンホルダーが付いています。今は使っていませんが、必要なときはこのペンホルダーに、LAMY サファリボールペン ブラック(ペン軸の粗い仕上げと、革の無骨さが絶対合う!)や、Faber-Castell エモーションボールペン ピュアブラック(愛用しているジェットストリームSXR-600の替芯が使える上、短いペン軸の納まりの良さは想像に難くない!)を差すのも良いなと、妄想するだけで幸せになれます。

しかしながら、紙には、整理の仕方やアーカイブ期間に限界があります。そのため、数年続けているコーチングのメモや、夫婦で話し合いながら書き出したメモなど、長期で見返したり追記したりするものはiPadのGoodNotesアプリで管理をしています。

3. ベロス ワイヤーWクリップ(小)

手帳とレザーファイル、両方に欠かせないのがベロス社のWワイヤークリップです。手帳のマンスリーページやA4紙を留めるのに使っているこの文具は、数あるダブルクリップのなかでも使い勝手が良く、唯一無二の特長をもっています。

ダブルクリップといえば、黒い鉄板を曲げてつくったクリップと、レバーで構成されたベストセラー商品。テコの原理を応用したレバーをつまむことで、固く閉じようとするクリップの口が開き、そこに紙束を挟んで固定することができる定番文具です。

定番のダブルクリップでは、鉄板製のクリップの切れ端が、干渉するものを傷つけたり、手に触れたときの不快感を生んでいました。一方、ベロス社のワイヤーWクリップは、クリップ部分を含めた本体が丸みを帯びたワイヤーで構成されていて、上記のような不快感がありません。

使い込んだときに塗装が少し剥げてきた様子も趣があります。ダブルクリップという色あせない定番文具ながら、経年変化の美しさを感じられる点も素晴らしいです。

ベロス社のウェブサイトのイチオシ製品ページに、ワイヤーWクリップが含まれていないあたり「自分の魅力に気づいていないダイヤの原石感」が感じられて、愛おしさすらあります。

4. パイロット フリクションボールビズ ブラック

ダイヤの原石のように、人知れず魅力を放っている文具といえば、フリクションボールビズ ブラックを語るほかありません。ITOYAなどの文具店や一部のオンラインショップでの取り扱いはあるものの、メーカー公式サイトでは見つけられないので、レギュラー製品ではないのかもしれません。

フリクションビズシリーズは、ビジネス向けの上級モデルで、いくつかのペンが展開されています。そのなかでも、フリクションボールビズ ブラックは、ビジネス感が強いわけでもなく、いわゆる「フリクションっぽさ」もないアノニマスなデザインにまとまっています。

キャップのはまり具合が劣化しにくい点も、特筆すべきところ。1年以上使い込んだものでも固めにキャップがハマり、鞄に入れている間にキャップが勝手に外れたことはありません。

キャップの色は、黒・青・赤・ピンクの4色展開。青インク派ですがキャップは主張の少ない黒色が良いので、黒キャップのものを購入し、インクだけ青に替えて使うのが定番です。

ペン先の太さは0.5mmで、インク容量の多いLFBKRF30EF3シリーズの替え芯が使えます。フリクションの欠点はインクがすぐに切れることなので、大容量の替え芯を使える点は特に重要。LFBKRF30EF3は汎用性が高く、街中で手に入りやすいのもありがたいです。

図面チェックや、A4紙のメモで2色使いしたい時にフリクションが欠かせなくて、バックパックのペン差しに入れて持ち歩いています。持ち歩くペンは手帳に差しているPelikan K805と、このフリクションだけなので、ペンケースは使わなくなりました。

5. rofmia Accessories Pouch

物を選ぶ基準のひとつが「経年変化が美しいこと」なので、革製品に惹かれることが多いのですが、これは例外です。使い込むごとに美しくなる超高分子量ポリエチレンという化学素材があります。

素材の特長は、水に浮くほどの軽さと、防護服として軍事利用されるほどの耐久性、そして経年変化で和紙のような柔らかい雰囲気がでてくること。rofmia Accessories Pouchには、ダイニーマと呼ばれる超高分子量ポリエチレン製の繊維が使われています。

参考までに、rofmia公式サイトより素材の解説を転載します。

素材について
Shiftでは主な素材としてDCF (Dyneema® Composite Fabric )を使用しています。 DCFは、Dyneema®繊維で強化された柔軟な不織布をラミネートして作られた特許取得済みの素材です。超軽量で、鉄の15倍の強度と防水性を備えています。重量/厚さ 基準で比較した素材の中で最も高い引裂き強度と引張強度を持ちます。 超軽量で防水性のあるDCFは高いパフォーマンスが要求される様々な環境で使用されています。

rofmia Shift 製品仕様ページより

素材の素晴らしさもさることながら、ポーチとしての機能も十分。開口部が扇形になっていることで、一覧性の高い大きな開口とスムーズな開け閉めが両立されています。

底部は収納量に応じて奥行を変えられ、利便性の高さに一役買っています。収納物が多いときにはポーチを立てられ、少ないときはフラットにできるので、収納量に適した形状で使うことができます。

ポーチ内側には、カードサイズや、やや大きいポケットが付いています。カードケースに入れるほどでもないカード類や名刺のストック、ペンの替え芯、前回の振り返りで語った爪切りといった細々とした物を整理することができます。

1年半ほど経ち、固く張っていたダイニーマ素材が少しずつ柔らかくなってきました。和紙のような佇まいに近づいていて、さらなる経年変化を想像するとワクワクします。

6. Victorinox スパルタン オニキスブラック

日常のふとした瞬間や、アウトドアなどで真価を発揮するツールナイフ。小さい頃から、1に10を詰め込んだような道具が好きで、ツールナイフはその代表格といえます。

Victorinoxの製品には永久保証の安心感と、工業製品としての美しさがあり、品質と美学を守り続ける企業スタンスを含めて応援しています。スパルタンシリーズは、手で握るのにちょうど良いサイズのツールナイフで、オニキスブラックは黒で統一された見た目が特長です。

ブレードやツール部分は、ポリスペクトラルと呼ばれるコーティングがされています。電気化学プロセスを用いステンレスの表面に酸化クロムを塗り重ねたコーティング方法で、一言で表現できない不思議な黒さと、芸術品ともいえる美しさがあります。

日常生活や仕事でちょっとした工具がほしい時、移動中に被災した時のために、常にポーチに入れています。後者については、外に出る機会がそこそこある実情や、家族が増える将来を見据えた視点。物を選ぶときに自分以外を考えるようになったのは、興味深い変化だと感じました。

7. Clipa つやなしブラックシルバー

街中でもよく見かけるようになったバッグハンガーで、個人的にはバックパックの取っ手に付けて持ち歩いています。必要なときスムーズに使い始められ、保管状態から機能を発揮するまでの所作を含めて気に入っています。

鞄というプロダクトが大好きなのでバッグハンガーは欠かせなくて、特に恩恵を受けていたのは海外のトイレ。日本のようにトイレの扉にフックがない環境でよくお腹を壊していたので、Clipaにお世話になったことは数え切れません。

これは東欧のどこかの空港だった気がします。

デスクやリビングの一角に引っかけたり、収納時は壁に引っかけたりと、鞄を休ませる場所が限定されず、家のなかでの機動性も上がります。物選びの基準のひとつである「移動や生活の可能性を広げてくれること」を最も感じて愛用しています。

大事に扱っているつもりですが、街中で落としたり不思議と失いがちなので、たびたび買い直しています。上のツイート以降もリピートしているはずですが、もはや覚えていません。

8. rofmia Backpack V2

前述したAccessories Pouchを手がけるrofmiaのバックパックです。以前は下のARC'TERYX VEILANCEのNomin Packを使っていたのですが、1年半ほど前、ニーズをさらに満たしてくれるこのバックパックに出会って鞍替えをしました。

収納量とバッグの可変性を上げつつ、より軽いバックパックを探して出会ったのが、rofmiaのBackpack V2でした。Accessories Pouchで触れた、ダイニーマと呼ばれる素材がバックパック全体に使われており、rofmiaのこだわりを随所に感じられる逸品です。

rofmiaは、革職人としてキャリアをスタートしたオーナーさんによるブランドで、革製品だけでなくダイニーマのような先駆的な素材を用いたものづくりをされています。岐阜県美濃加茂市・中山道太田宿にある店舗は、1931年に建てられた呉服屋を改修してつくられました。

岐阜への帰省を兼ねてお店に伺ったのですが、建物の歴史に敬意を払って手直しされた建物と、作品といっても差し支えのない商品が並ぶ光景に、息をのんだことを覚えています。2階の広縁で休憩させていただいたり、そこから中庭を眺めたり、お店で過ごした時間も含めて愛おしいバックパックです。

大容量のメイン収納部へのアクセスは、サイドポケットと、ファスナー付きの開口部がくるくる巻かれたロールトップ部分から。荷物の容量に合わせて形状を変えるロールトップ部分と、紙のようにクシャッと伸縮するダイニーマには、機能と素材の組み合わせの妙を感じます。

背面にはA4紙やPCを入れるのにちょうど良い薄型ポケット、両脇には水筒や折りたたみ傘などを入れられる伸縮性のあるポケットが付いています。ウェットティッシュを入れるのにも、ちょうど良いです。

小さめのポケットもいくつか付いており、細かい荷物の整理もストレスなく行えます。全体として容量がありながらポケットも多いので、日常使いだけでなく、荷物が少なければ5泊程度の旅行まで幅広く対応できます。

アウトドア感が強い外観なので、ビジネスシーンで使う場合は、職種が限定されるかもしれません。アウトドア用のバックパックに見られるチェストベルトが付いているので、肩への負荷を分散でき、重いものを運ぶときの身体への負担も少ないです。

肩にかけるベルトが下に垂れ下がりにくくなる工夫もあるので、手持ちの際、地面にベルトが擦らないのも嬉しいところ。荷物の量によっては、肩にかけずに手で持ちたいので、こういった使って初めて分かる気づかいは素敵だなと思います。

9. Apple Watch

Apple Watchを手放せなくなったことも大きな変化です。デザインや機能については割愛しますが、どのように生活に役立っているかについては、今後のために記録しておきたいと思います。

昔から特定の趣味がないのですが、没頭できることとして「投資性を感じる活動」があげられます。投資は自分と大切な人たちの未来を助けてくれるもので、金銭面はもちろん、勉強や運動、良い買い物を通して感性を養うこともある意味では投資だと思っています。

投資の文脈で、時間と健康について考えるようになりました。投資性の高いこの2つの分野で日常を支えてくれて、すっかり手放せなくなってしまったのがApple Watchです。

睡眠管理やジムでのメニュー管理、仕事時間の計測や、移動や買い物の決済ストレスの削減。細かいことをあげるとキリがありませんが、健康と時間の良きパートナーとして欠かせない存在になりました。

つなぎ目のないソロループのシリコン製バンドが特に良く、付けていることを忘れてしまうほど手首に馴染みます。運動を終えて、汗をかいて帰ってきたとき、バンドも本体も丸っと洗えてしまうラフさと清潔さも素晴らしいです。

おわりに

以上、生活の変化と愛用品の記録でした。久しぶりに価値観や感性の棚卸しができたので、気持ちよく年を越せそうです。

正解や不正解はさておき、自分の軸と感性を大切に。これからも好きな物に囲まれて、楽しく生きていきたいものだなと思いました。

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