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台湾ひとり研究室:翻訳編「#19台湾書籍の翻訳者が実際に使っているツール6選。」

台湾書籍《大港的女兒》 の翻訳者が、日本版の刊行前後の進捗をリポートしていく有料マガジンです。公開から1週間は無料でお読みいただけます。第19回は、現在、台湾の書籍を翻訳している私が実際に使っているツールをご紹介します。

翻訳ツール紹介、その前に。

今や台湾書籍の日本語版が1年に何冊も出るようになりました。ただ、根本的な問題として翻訳者が十分な状態とはいえません。グローバル化で翻訳の選択肢はビジネス文書、書籍、映像、ゲームと拡がっていますし、翻訳だけでなく、インバウンドで訪日観光客が増加する中、英語以外の通訳人材も求められている状況でしょう。にもかかわらず、日本で中国語を学ぶ人の数は多くありません。

じゃ、実際に中国語の学習者数がどのくらいいるのか、ちょうどいい調査データがないので、英語と中国語の試験の受験者数を参照してみましょう。

英語 TOEIC 197万人 英検 420万人
中国語 HSK 4万人 中検 2万3,000人

各公式サイトから

ざっくり見積もって中国語学習者は英語学習者の100分の1ということができます。この違いは、翻訳通訳人材の不足だけでなく、何より学習環境に反映されます。学校での授業数、語学学校や教室、辞書に参考書、試験問題集……英語よりも中国語の選択肢が少ないのは、母数が圧倒的に違う、というやや残念な現実があるわけです。つまり、英語に比べると、打ち手というか選択肢が狭い環境にある。

ただし、これは見方を変えれば、学習者の多い英語はそれだけ競争率も高いので、英語を仕事の武器にしていくのは、レッドオーシャンと捉えられます。となると、学習者の少ない言語は一面ではブルーオーシャンといえるかもしれません。

今年に入ってようやくコロナ前の水準に戻ってきた海外からの訪日旅行客ですが、日本政府観光局の調査によると、その上位5位は、韓国553万人、台湾340万人、中国185万人、アメリカ168万人、香港166万人となっており、これを使用言語で分けると中国語圏691万人、韓国語圏553万人、英語圏168万人となります。こういった海外からの訪日旅行客に対応するには、中国語学習者がもっと増える必要があります。

…地続きの話で前置きが長くなりましたが、こうした中で、私が翻訳に使用しているツールは、中国語を学ぶ入門者の方も使うことのできるものです。(あ、同じもの使ってる!)という方もきっと多いと思いますが、入門者から上級者まで使えるツールとしてどなたかの参考になればうれしいです。

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勝手口から見た台湾の姿を、さまざまにお届けすべく活動しています。2023〜24年にかけては日本で刊行予定の翻訳作業が中心ですが、24年には同書の関連イベントを開催したいと考えています。応援団、サポーターとしてご協力いただけたらうれしいです。2023.8.15