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台湾ひとり研究室:翻訳編「#43ゲスト登場!アジア文芸ライブラリー第1巻を翻訳した星泉さんにお越しいただきました。(2)」

台湾書籍《大港的女兒》 の翻訳者が、日本版の刊行前後の進捗をリポートしていく有料マガジンです。公開から1週間は無料でお読みいただけます。今回は《大港的女兒》が入る春秋社のシリーズ「アジア文芸ライブラリー」、映えある第1巻の翻訳を担当なさった星泉さんにお話を伺う続編です!

「チベット発、シスターフッドの物語」というひと言が加えられたツェリン・ヤンキー著『花と夢』が2024年4月20日に刊行されました。翻訳を担当したのは星泉さん。星さんは、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所に所属する研究者で、かつチベット文学やチベット映画を紹介する活動も続けています。5月11日に同作を担当した春秋社の担当である荒木さんとのトークイベントを終えた翌週、星さんにお時間をいただきました。

前回は、先月刊行されたツェリン・ヤンキー著『花と夢』の翻訳者、星泉さんに、作品の舞台であるラサのこと、チベットの教育事情や言語環境などを伺いました。話題は、本作がチベットで読まれた理由へと広がります。

自分ごとになった物語

——人気女性作家のツェリン・ヤンキーが都会に出稼ぎに来て娼婦となった4人の女性を主人公に据えて描いた本作品は胸を打つ悲劇の物語として評判を読んだ。多くの媒体でも紹介され、刊行翌年には重版もしている。長期間にわたり厳しいロックダウンが行われたコロナ禍のチベットでは、インターネットにアップロードされた小説の朗読に耳を傾ける人が多かったそうだが、『花と夢』の朗読は最も人気のあるコンテンツの一つとなり、女性や若者を中心とした多くの人びとが熱心に聴き入ったという。

(『花と夢』訳者解説/287ページ)

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