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台湾ひとり研究室:翻訳編「#58 ご購入いただく準備、着々と進んでいます!」

台湾書籍『高雄港の娘』(原題:大港的女兒) の翻訳者が、日本版の刊行前後の進捗をリポートしていく有料マガジンです。今回は、皆様のお手元に届くまでと、発売後の予定をお伝えします。

再校ゲラの確認作業。

最終の原稿チェックがそろそろ終わります。この記事が公開される頃には、戻し終わって乾杯できているといいなと思っているのですが、今いまでは、終わっていません。

読み直せば読み直すほど、

(あー、この一文、あんまりうまく流れていないな)
(これは、こっちの表現がいいな)

気になるところが出てきて、遠い目になります。それをひとつずつ、検討して決めていく。初校でも読んだはずなのに、まるで終わらないモグラ叩きです。

昔、編集の大先輩と話していたんですが、「編集者」と言っても本づくりの前半が得意なタイプの編集者と、後半が得意なタイプがいます。工程でいうと、企画タイプと校正タイプ。私はどちらかというと、企画を考えるのが好きで、後半はやや弱めです。ただ、テレビやYouTubeのテロップの誤字を見つけるのはなぜか得意で、家族には嫌がられていました。

言い方を変えると、0→1を考えるのが好きだし、気合いもあるのですが、1→2になる時点で気持ちが失速してしまう。(赤字入れると、直すの大変だしな)などと考えてしまう。

ですが、今回は違います。(あなた、これまでこんなに丁寧に原稿読んだことなかったでしょ)と10年ほど前の自分が横でツッコミ入れるくらいに、読んでます。

なぜなら、私の書いたものではないから。そして、世界中で誰よりもこの作品を読み込んでいる私が確認できるのは、これで最後だから。このあとは私の手を離れてしまいます。

マアでも、ここまで来るとあとはもう任せた!と胸を張って言うことができます。何度も見返したけど、見つけられなかった誤字脱字があるのだとしたら、それはもう、神様が残したと思うことにします。

これから次の山場に向けて。

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