ほいくえん、いかない

4月から新しい保育園に通い始めた息子が登園拒否をし始めたのは、慣らし期間が終わった翌週の水曜日のことだった。
「いきたくない」と言う息子の姿がかわいそうで見てられない感じだったので、これは無理に行かせない方がいいかもと思い、休ませることにした。

2歳児クラスまでだった前の保育園は認可外の小規模園で、1クラス8人に先生2人というかなり手厚いところだった。しかも息子は0歳から通っていたので、たぶんもう彼にとっては第2の家みたいな感じだったんだろうと思う。
それに対して新しい保育園は1クラス20人、うち16人が進級組、担任の先生は1人で2歳クラスから持ち上がり。心配してはいたけど、かなりの疎外感だったようだ。
最初は「いかない」の一点張りだった息子だけど、落ち着いた頃に改めて理由を聞いてみると、「せんせいとおともだちとあそべない」「おともだちがせんせいとあそんでてずるい」などと話してくれた。
正直これだけでもだいぶえらい。自分の気持ちを言葉にして説明するのって大人でも難しいのに(ちなみに私はド下手)、息子はまだ少ない語彙の中から私たちにわかるように言葉を選んで話せた。それだけでも母は感動して涙が出たのに、その切ない理由よ。
知らないお友達、知らない先生。お友達同士はどうやらもうすでに仲良くなっていて先生とも仲良しらしい。そんなん大人でもしんどい。私ならすぐ帰りたい。
もう行かなくていいよ、とすぐにでも言ってあげたい気持ちは山々なれど、本人も一応「あしたはいく」って言ってるし、もうちょっと様子を見てみようということに。

翌朝、保育園に行こうと誘ってみたけれど、やはり「いやだ」と動かない息子。気分を変えようと「公園でちょっと遊んでから行こうか」と誘い出し、保育園までの道にあるなじみの公園で遊んでいたところ、遠くから「息子ちゃん!」と声をかけられた。見ると、前の保育園の先生だった。それも最後のクラスの担任の先生。その公園は前の保育園からも近いところにあったので、出勤途中に通りかかったのだ。それを見て息子が「○○せんせーーー!」と駆け寄り抱きついたのを見て、私と夫は号泣、先生もつられて泣いてしまった。本当に信頼してて大好きだったんだな、新しい保育園でもこういうふうにできると思ってたんだろうな…と思うともう、胸がぎゅーーーっとなった。
先生は去り際に「先生もがんばるから、息子ちゃんもがんばって行くんだよ!」と言ってくれた。息子は「うん」とは言ったものの、その後行くことはなかった。

新しい保育園や新しい担任の先生が悪いわけでは決してない。ちゃんとした保育園だと思うし、先生もしっかりした人だった。
でも、「今の」息子には合わなかった。

もうこの先「行く」とは言わなさそうだし、前の保育園でのお友達が通う幼稚園に転園させようかという話になった。
その幼稚園の見学に行く前日、一緒にバスに乗る時に前の保育園でもよくお散歩で来ていたところにどこかの保育園の子どもたちが遊んでいるのを見て、息子が「どこのおともだちかなあ」と言いながらじっと見ていた。「あれ、たのしそうだねえ」と。
息子が保育園に行かなくなって6日目。家にいるのもいいけど、やっぱりお友達や先生と一緒に遊びたいんだな、と思うと泣きそうになった。その方が息子のためにもいいんだろう。

正直、保育園に入れるのに必死で、息子に合うところかどうかそんなに調べたりしていなかった。とにかく入れさえすれば、あとはなんとかなるだろうと。
だけど息子にとってはものすごくさみしくてつらい数日間だったと思う。悪いことしたなあ、ごめんね、とものすごく反省した。
4月に入ってから、夜泣きではないけれど何か嫌な夢を見ていたのか、ジタバタしながら怒って叫ぶことが毎晩のようにあったけど、お休みするようになってからはそれもなくなった。

幼稚園は保育園より保護者の負担が大きいからと選択肢から外していたけど、今は息子が元気に毎日通ってくれるならなんでもいい、と思っている。
毎日保育園に通ってくれることが当たり前になっていたけど、それは先生方のおかげだったんだなあと改めて感謝の気持ちがあふれた。

毎朝号泣する子どもを抱えて登園させる親御さんもいる。登園拒否の子どもを長い時間をかけて登園できるように頑張る親御さんもいる。どちらも本当にすごいと思う。働き方や家族の環境によって、できることをやるしかないのだ。

甘やかしすぎなのかな?無理やりにでも連れて行けば慣れて、その方が結果息子のためになるのかな?とか、私がしばらく仕事を休んででも時間をかけて付き合った方がいいのかな?とか、短い間で本当にいろいろ悩んだけれど、できること、できないことを考えた結果、転園してみることにしました。
お友達が通う幼稚園だからといって通ってくれるとは限らないけど、足がかりはひとつでも多い方がいい。
それに、園庭開放で何度か遊びに行ったことはあったけれど、改めて見学に行って一通り説明を聞いてみると、子供ファーストの素晴らしい園だったのだ。
先生方もみんな優しそうで、何より息子がニコニコでとても楽しそうに遊んでいたので、私たちの心は決まった。
トントン拍子でその日の午後には面接(と言っても実務的な説明と手続きだけ)、入園することになった。

これから楽しく通ってくれるといいけど、さてどうなることでしょう。

ところで幼稚園ってやっぱり保護者のやることが多めですね…母はてんてこまいです…とりあえずミシンほしい………
でも保護者参加のイベントもたくさんあるのは、息子にとっては嬉しいだろうなと。
息子が楽しいならそれでええ!!!という気持ちだけを支えになんとかがんばります、お弁当作りとかお弁当作りとかあとお弁当作りとか………

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