ハイボルトは神の店

*過去記事(2019/12/30)*



激烈に忙しかった12月中旬〜下旬も、皆様のお陰で何とか、やっと、どうにか、乗り越えました。

 

また徐々に、書けなかった過去の事も書いていこうと思います。

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ナウい話から。

 

セミぎっくり腰になった。

 

セミというのは、完全に動けない訳では無いのだけど、

今までの腰痛とは明らかに別格の痛みなので、恐らくギックリ腰の類であろうと思う。

 

なんというか、痛む深度が今までの慢性腰痛より、かなり深い感じと、

何故か右尻の奥の筋肉までツリそうになるという付帯効果付き。

何にせよ、この年末も年末に来ますかね、と思った。

 

 

 

なので今日、今まで一度も行ったことの無い整体に初めて行ってきた。

 

こんな年末にやっている所は果たしてあるのか、かなり絶望しながら5、6軒電話をしてみると、意外にチャリで15分くらいの所でまだ営業している店があった。

神の恵みか、と思った。

 

 

 

そんな神の店は、西調布の駅前にあった。

受付の壁にデカデカと「当院は皆様の口コミで成り立っております!」と書かれていた。

 

「インターネットで検索して来た」と言ったら、最悪門前払いを受けるのではと思い、架空の知り合いを作った方が良いのかと悩んだ。

 

「ダチコー(友達の意)が〜、なんか〜メッチャ良いって紹介してくれて〜、ああ、ダチっつ〜のは、アイドル〜?やってる木村拓哉っていうんですけど〜」

と言おうかと思ったけど(どうせならビッグネームが勧めている方が嬉しいだろう、という大人の気遣い)、

神の御前で嘘を付くのは良くないので、素直にインターネットだと白状した。

 

 

「あ〜、そうなんですか〜 インターネットの方は初診料割引しているんですよ〜」とサラッっと流れた。

神の店は、店舗は狭くても心は広い。

 

 

 

 

 

 

ただ、施術は滅茶苦茶にキツかった。

 

ハイボルト という明らかにピカチュウの技名の様なヤバイ名前の機械が登場した。

 

 

「患部ごとにパッドで電気を流していきますので、それで、僕が出力を上げていくので、耐えられなく成ったらストップって言ってくださいね〜」

「ストップしたら、止まる感じですか」

「いえ、出力を上げるのを止めるだけで、電気は流れ続けます」

 

(耐えられないんだから、止めてくれよ)と思った。

 

「止めなかったら際限なく行く感じですか? それともエエ感じの所で止まるんですか?」と聞いたら

「止まりませんね〜 際限なく行きますよ〜」と言われた。

 

 

だから止めてくれ。

 

 

「でも、プロの方も愛用している機械なんですよ〜」

と「人間は顔じゃない、中身の方が肝心だよ」と同程度のささやかなフォローの後、

最終的に100万ボルトにさえ成る可能性を秘めている機械が起動した。

 

 

 

結論から言うと、電流はマジでヤバい。

今までに体験した事のない種類の痛みは、ヤバイとして言いようがない。

「電流を流されている位、非常に辛い様」という意味の言葉が必要だと思った、いっそ”ハイボルト”でいいと思うけど。

(例:昭夫は、自分の部下と親しげに腕を組みホテル街を歩いている明子の写真を見ながら、ハイボルトを隠そうともせず、震えていた)

 

 

体の内部でトゲトゲした何かが暴れている様で、

電流のせいで思いもよらない箇所が勝手に動くし(字面だと楽しそうだが、実際は体がバグった!という感じで恐怖でしか無い、しかも痛い)、

 

プロ愛用というのは、イチロー的な人を指しているのではなく、

敵国のスパイ的な人から情報を聞き出すプロの事では?と思った。

 

 

 

「もうちょっと上げましょうか〜」

もう勘弁してくれ、頼む。

あなたの施術の説明の仕方を、アムウェイみたいだな と思った事も白状するし、

お酒はまあ、週に1、2回ですかねえ、と見栄を張ったのも白状するから。

 

 

 

 

 

 

 

ただ、終わってみると嘘の様に痛みが消えていた。

 

その代わり、リキんだ為なのか、若干首が痛くなったが、

首にハイボルトは絶対に脳に影響が出ると思うので、言わないでおいた。

 

 なんなら先生の機嫌を取るため、大げさに痛みが無くなった感動をパフォーマンスした。

 

 

兎にも角にも、追いハイボルトだけは、勘弁だった。

 

 

 

 

明日も来い と言われた。

行くしか無いので、明日も行くのだけど、この記事を書きながら、

この歳になっても、明日の予定が嫌過ぎてこんなにも憂鬱に成る事って有るんだ、という位テンションが下がっている。

 

 

 

 

 

 

○追いハイボルト[おいはいぼると]

意味:明日の予定が原因で、憂鬱な様。

 例:明子は追いハイボルトだったーー。なぜ自分がこの様な過ちを犯してしまったのか、整理が出来ないまま、ただ弁護士の作成した台詞をブツブツ繰り返し練習していた。カチカチという秒針の音が妙に耳障りだった。

 


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