鍵
電球が一つ切れたことをきっかけに、家中の電球が一つ一つ切れていく。
たくさん常備品として買っておいたもの達がなくなっていく。
まるで君がいなくなったことを知ったかのように。
僕は明日も同じように、君がいない暮らしの中で2人分の買い物をして、3人分のご飯を作るだろう。
ほどけて離れた糸をたぐりよせてみると、その先に結ばれていたのは鍵だった。
あの日君が持っていた鍵。
諦めて閉じた扉を開ける為の鍵。
君がいなくなってからずっと、探し求めていた鍵。
それは2人で開けて、君が最後に1人で閉じた扉の鍵。
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