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アートとデザインの違いの前に

あなたは、自分がいま使っている「アート」を、
なんのことを言っているのか、自覚した方がありますか?


最近、よく見るツイートとして、

・アートとデザインの違いは?
・アーティストを支援する事業がしたい!

こういう意見は、
なんだか、懐かしい気がします。

僕も、20代半ばぐらいに、よく考えてたことなんです。
つまり、アートやデザインに興味がある人は、誰しも考えることだし、
昔から、かなり多くの人たちに、議論されているテーマでもあります。

それに、気付いて、
ある本を読み返しました。

『アーティスト症候群』大野 左紀子

もちろん、新しく考えることや今の社会から、考えることは、
否定しませんが、多くの答えや考察や経緯が、紹介されています。

著者は、アートやアーティストという言葉が、いろいろなところで使われることによる違和感から、さまざまな考察をしています。

アートとデザインの違いの前に、
アートも一つではないということです。
つまり、アートとアートの違い?

『芸能人のアート活動への微妙な違和感』という章の中で、
2つのアートを紹介しています。

『日本の美術界では、国内旧派閥と国際新派閥の二重構造』
が存在しているということ。

2つのアート
・国内旧派閥
・国際新派閥


国内旧派閥というのが、旧画壇つまり日展や二科展、
雑誌で言うと、芸術新潮、
デパートの展示会をしたり、
有名人では、東山魁夷や平山郁夫というところらしい。

国際新派閥は、いわゆる現代アートで
雑誌で言うと、美術手帖
コマーシャルギャラリーで展示があり、
有名人は、草間彌生、村上隆などです。


僕が、美大受験で、美術の予備校に通いデッサンとかを勉強している時は、
国内旧派閥の作品は、身近だったと思います。
絵を描く技術を学んでいた時期なので、参考になるものがありました。
そして、美術史になりつつある過去のものだと思っていました。

美大に入って、どんどん勉強して活動していくと、
国際新派閥という言われるものに、ひかれていきます。
いま、進行形というか、きっと同時代的なものだからですね。

あと、美術のひとつの基準として、紹介されています。
『美術を「前のものを乗り越えて新しい価値を創造する」ジャンルだと規定すると、後者に軍配が上がるだろう。』

僕の著者の考えに、賛成で、
前者は、なんか後ろというか、過去に向かっているような気がして、
なんか、天井があるような、、、

後者は、前に進んでいるような気がして、
青天井とは言いすぎかもしれないが、まだ限界が見えていないような、、、
だから、理解できないものもたくさんあって、
でもいつかわかるのかも?と思いながら、鑑賞しているといった感じかな。

それが、美術の楽しみ方の一つかなと思います。

ちなみに、僕がしているメディアアートは、
後者に近いけど、また別のもののような気がします。

ただ、いまでも、女性のグラビア写真のような絵画が
人気だという話を聞くこともあるので、
やはり、アートといっても、ひとつではない。

だから、アートとデザインの違いなんて、
簡単に説明できるものではないわけです。


自分がいま使っているアートは、
なんのことを言っているのか、自覚した方がいい。
そうでないと、相手と違うことを考えている可能性があります。



メディアアートやプロジェクションマッピングが専門。アートやデザインなど、作品や作ることについて書いていきます。