企業担当者向け|副業AppSheet導入コンサルをしてわかったことを全部まとめてみる
本業でPdMやUXリサーチをしている田中です。
元々プロトタイピングのために覚えたノーコードアプリですが、知り合いの会社で導入支援の副業をしました。
今回は『Google AppSheet』という、Google Spreadsheetをデータベースがわりに使えるサービスの導入案件で、公開して問題ないとのことなので、
アプリ開発の金額感(相場感)・効率化しやすそうな業務の例・よくある失敗パターンなどまとめました。
これから導入を検討する企業の担当者さんのお役に立てるといいな〜と思います。参考になったらぜひスキ♡ をお願いします。
AppSheetの良し悪し
メリット
制作コストが安い(金額感は後述)
短時間で作れる
高い専門性は必要ない
10人以下で利用する場合は、無料プランで利用できる
無料で作って、10人よりたくさんの人数で使いたい時だけ課金すればOK
Google Apps Scriptの出力を反映できるので、データの受け渡しに関しては自由度が高く柔軟
デメリット
とにかくデザインがダサく、とてもtoCプロダクトのMVPには使えない
デカいスプシをDBにすると、アプリが開くまで時間がかかる
テーブルを全て読み込んでからしか動作しない
UIセットがノーコード開発ツールの中でも、トップレベルで選択肢が少ない
とにかくダサいデザインしか選択肢がない(2回目)
テーブルの列を追加すると、アプリを都度修正しなくてはいけない
[Data] > [Columns] > [Regenerate Structure] で修正できます
AppSheetの活用アドバイス
社内業務効率化ツール開発専用と思っていい
見た目が不恰好でも許される環境で使いましょう
利用人数が10人以下の業務効率化に使うといい
AppSheetは10人まで無料で使える。課金の基準は人数だけなので、ゴリゴリ使い倒しても対象人数さえ少なければOK
特に、人数10名以下の会社なら即導入してみてほしい
導入業務をもらったら、Googleの営業になりきるべし
ニーズを見つけて作ってみる→無料の10人の枠で「効率あがった」の声を集める→全社展開 のストーリーを狙う
既存のツールがある領域でリプレイスを狙うのはおすすめしない
既存ツールがある場合、基本的にAppSheetで今以上に便利にはできないと思っていい。
ツールを1本化してコストカットを狙えるかもしれないが、そもそもAppSheetは有料プランの場合そんなに安くない
AppSheetと(多分)相性が良さそうな業務DX
主に、何かを承認したり管理したりするといった「一旦スプシで運用してみよう」となるような業務をしっかりアプリ化できます。
💰 経費の 承認/差し戻し アプリ
利用ユーザー:経理担当者(対象者10名以下)
これまでスプシ等で情報が管理されていて、承認にPCが必須だった状態から、スマホで素早く承認を行えるようになりレスポンスが早くなる。
社員からの請求書集めはGoogleフォームでメールアドレス自動収集機能と、社員情報テーブルをスプレッドシートに同期する形で必要十分。
💻 備品在庫管理アプリ
利用ユーザー:総務担当者(対象者10名以下)
1品1行で管理するシートを用意、品名などカテゴリを設定してDISTINCTする(重複をまとめる)
誰にいつ貸し出したかの履歴を残すシートを作成し、1品ごとのユニークIDと突合して過去履歴を管理
AppSheetを導入すると、投資がどのくらい帰ってくる?
AppSheetアプリの制作の相場金額感
時給2500~3000円 × 10~30h = 2万5000円~9万円 程度
定期的に保守が必要になるため、保守費用込みでのコストは、
1アプリあたり10万円と思っておくといいでしょう。
AppSheet導入によるコストカット効果
仮に効率化する業務にフルタイム専属人員がいる場合、
8h×20日×2000円 = 32万円/月 程度のコストがかかっています。
AppSheetアプリを導入して削減時間がどのくらいになるかはアプリ制作者の腕の見せ所ですが、他ツールがない状態からは約半分程度に削減されるというのが、ざっくり感覚値での見込みです。
5名の専属スタッフがいる業務の場合、
・アプリ導入前:160万円/月(1920万円/年)
・アプリ導入後:80万円/月(960万円/年)
この例の場合、
10万円の初期投資で、年間960万円が回収できます。
AppSheet導入の失敗パターン
要求要件の整理ができていないまま開発する
簡単に作成できる分、見切り発車でとりあえず作ってみることになりやすいです。
アプリでどれくらい効率化できるか数字で示して、アプリによって達成される未来がどのようになるのか、しっかり決めてから開発しないと、結局どのくらい効果があったのかわからなくなります。
さらに、数年経つと業務フローが変わることが多いため、メンテナンス一切なしでは効率が下がっていきます。
どんな業務フローで使われるものなのか
どんな効果をもたらすことをゴールとしているのか
元々の効率化効果はどれほどだったのか
という情報を定義しておくことが、数年後に新たな試みをする際、合理的な経営判断を下すために重要です。
AppSheetの存在が社内に共有されず、別組織と協働する際にコンフリクトの要因になる
社内に野良犬のように存在しているノーコードアプリは、メンテナンスの目線が欠落しており、業務がアプリに合わせる形を誘発して業務硬直化を引き起こしやすいです。
単一組織で業務が遂行されている場合にはそれでも問題は起きにくいですが、変化を求められる局面で業務を変えられなくなるリスクがあります。
また、部署内で「秘伝のタレ」のように扱われていると外から業務硬直化の原因になっていると気づきにくいです。
AppSheetを導入する際に、長期的目線でやっておくべきこと
どんなアプリを使っているのか把握しておく
使われているアプリを一覧化してまとめる表を作っておくと便利です。
似たようなアプリが必要な際には横展開で開発コストを抑えられますし、業務量が増えてきたら本格的なアプリ開発を視野に入れた業務効率化を検討することができます。
何かあったときにアプリをメンテナンスできる状況にする
ノーコードアプリの導入は、それを掌管する組織もセットで配置しましょう。または、各組織にアプリのメンテナンスを含めた予算と責任を分与すると良いです。
参考になったら、ぜひスキをお願いします。
AppSheetのことなど、何か気になることがあれば、『𝕏(twitter)』でご連絡いただければと思います。
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