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【インタビュー】神聖かまってちゃん・monoが語るバンド以外の活動
神聖かまってちゃんのキーボード担当でリーダーでもあるmonoが、毎日のようにゲーム実況を配信している。バンドでは昨年デビュー10周年を迎え、コロナ禍においても積極的に配信ライブを行うなど、インターネットで頭角を現してきた彼ららしい活動を続けているが、mono個人としては一体どこを目指しているのだろうか。これまで手掛けてきたリミックス、編曲などのソロワークスを振り返ってもらい、バンドでのmonoと個人としてのmonoについて語ってもらった。
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●ゲーム実況は「軽いコントみたい」
――今日はmono君個人のことについて聞いていきたいんですけど、コロナ以降いろいろ変化もあったんじゃないですか?
mono:そうですね。家にいる時間が増えて、「何やろうかな?」ってなるじゃないですか。そこでなぜかゲームに行き着いて(笑)。
――それは仕事として?
mono:もともとGAMETVというサイトで、仕事としてゲーム実況の配信をしていたんですけど、それもコロナで止まっちゃったんです(10月16日より再開)。だから自分のYouTubeチャンネルでやろうと思って。いちおう収益化の条件もクリアしていたので、家から配信を始めたんです。お小遣い程度にしかならないですけど、何もしないよりはマシなので。だから音楽はほとんどやってないです(笑)。
――なんでゲームに行き着いたんですか?
mono:コロナ前はGAMETVで毎日のように配信していたから、ゲーム熱が復活しちゃったんです。ゲームには子供の頃から触れてきて、好きなもののひとつではあったので。
――mono君世代だと、最初にやったゲームは何になるんですか?
mono:ぎりぎりファミコンですかね。うちは兄姉がいたので、物心ついた頃には家にゲーム機があったんです。『スーパーマリオブラザーズ』とか、『星のカービィ』とか、『くにおくん』とかをやっていた記憶がありますね。それからスーパーファミコン、PlayStation、NINTENDO64、Wii……いちおう時代に沿って、メジャーどころのゲームはひと通りやってきました。最近はPlayStation4で『Ghost of Tsushima』をよくやっています。あと、tetoの山崎君と一緒に『Apex Legends』をやることも多いですね。
――mono君のゲーム配信の魅力は?
mono:かまってちゃんファンが見に来ているせいもあってか、みんなコメントしてくれるんですけど、ゲームの話をしてこないんですよ。「ゲームやってないでキーボード練習しろよ」とか。
――正論ですね(笑)。
mono:そうなんですけど、みんなにクリアした画を見せようと一生懸命がんばっているんだから、いま言わないでくれよって。それに僕は単細胞だから、そういうことを言われると、すぐミスしちゃうんですよ。それで「あー、死んじゃった」「オレらのせいかよ」というやり取りがお約束になっちゃって。軽いコントみたいになってますね。
――そういう意味では、視聴者とのコミュニケーションが配信の魅力に?
mono:そうかもしれないですね。最近はありがたいことに、協力的な方も少しずつ増えてきて。視聴者がコメントを読み上げてくれる機能を作ってくれたり、クリアしたときに「おめでとう!」って、スーパーチャットを送ってくれたりして、楽しくやれてますね。
――みんなで作り上げる配信になってるんですね。これからもゲーム実況は続けていくんですか?
mono:そうですね。いまはゲーミングPCを買いたいんですけど、ちょっと稼ぎ的になんとも言えないので、タイミングを見計らってて。あとはTwitchでも配信してみたいし、コラボもやってみたいなと思っています。僕なんかとコラボしてくれる人がいるかわからないですけど。
――プロゲーマーになりたいとか、そういう気持ちもあるんですか?
mono:それはないです。もしプロゲーマーを目指そうと思ったら、かまってちゃんは脱退ですね(笑)。そんなに甘い世界ではないので。
●編曲、リミックス、作家としてのmono
――本業のミュージシャンとしては、バンド以外にリミックスをやったり、楽曲提供したりしてますよね。
mono:ありがたいことに、ちょいちょい事務所(パーフェクトミュージック)から仕事をいただいて。基本的に自分から作るのが苦手で、「こういうの作って」と言われたほうが意欲が向くんですよね。だから性格的にクリエーター向きじゃないんですよ(笑)。
――職業作家的な仕事のほうが向いている?
mono:どうなんですかね。でも、機材を買うのは大好きで。買ったタイミングで、それを使って曲を作ったりはするんですけど、だいたい1曲作ったら満足して、その機材もあんまり触らなくなっちゃうんです。宝の持ち腐れですよね。
――僕、(『ルパン三世』などの音楽で知られる)大野雄二さんにインタビューしたことがあるんですけど、大野先生も「僕なんかは昔からの商業作家と言われる人だから、注文が来ないとやる気にならない」と言ってました。
mono:えー、あんなすごい人でも!
――昔はバリバリのジャズピアニストだったけど、CM音楽をやり始めたらハマっちゃったらしいです。CMは無茶振りが多くて、それが逆に楽しかったって。
mono:確かに僕も『恋雨』(映画『恋は雨上がりのように』)のアレンジを手伝ったときに、「マジかよ」っていうようなことをけっこう依頼されましたね。でも、そこで「こんな感じかな?」って正解を探していくことは、けっこう好きかもしれないです。
――『恋雨』は「あきらの片思い」 と「so true love」の2曲で編曲としてクレジットされてますけど、どういう仕事だったんですか?
mono:の子がメロディーを作って、僕は「ここで盛り上がって、ここで落とすのがいいんじゃない?」とか、構成を考える感じでした。あとは「映像に合わせて」っていう話になったときに、映像を見ながら位置をずらしたりとか。の子も「あー、なるほどね」って言ってくれてたので、多少は役に立てたのかなと思います。
――リミックスでは、2018年にアカシックの「かしこい食卓」をやってますよね。これは原曲は歌アリで、リミックスはインストになってますけど、どういう依頼だったんですか?
mono:「自由にやってくれ」って言われた記憶があります。ただ、ツアーのトレーラー(宣伝)で使うっていう話だったので、勝手に出囃子みたいなイメージが浮かんじゃって。だから「これから始まるぞ」っていう曲にしようと思って作ったら、ありがたいことに本当に出囃子で使ってくれたんですよ。出囃子のつもりだったことは伝えてなかったんですけど、「俺の想いが通じたな」と思って、すごいうれしかったです。
――2019年には「モンスターストライク メインテーマ」のリミックスもしてますけど、これはどういう経緯だったんですか?
mono:モンストがリミックスを一般公募するコンテストがあって、一般の人が応募しやすくなるように、お手本的な感じで作ったものです。そのあとイベントにゲストで呼ばれて、一般応募の方々のリミックスを聴いたんですけど、もう全然敵わないなと思いました(笑)。
――いやいや、mono君のリミックスもかっこよかったですよ(笑)。2020年はYouTuber「へきちゃん☆トラちゃん」のリミックスもやりましたよね。
mono:そうですね。あれは自由にやってください的な感じだったので、好きなようにやらせてもらいました。原曲がEDM調のサマーソングだったので、あんまり造詣が深くないんですけどトランス風をイメージしてリミックスをしてみました。ある意味チャレンジでしたね。
●小さい頃から耳コピは得意だった
――リミックスやサントラの編曲をして、自分では何が得意だと思いました?
mono:自分はアレンジかなと思いました。アレンジも大変な世界なので、あんまりうぬぼれたことは言えないですけど。でも、ゼロから作曲するよりも、すでにメロディーができているものをいじくるほうが向いてるなと思いました。
僕、小さい頃から、自分で音を加えるっていう遊びをよくやってたんですよ。たとえばゲームの音楽が流れているところに、「違うメロディーも乗るんじゃない?」みたいな感じで。だから、いまもそっち系に思考が行きがちなんですよね。
――そもそもピアノはいつから始めたんですか?
mono:もともと家にあったんです。それこそゲームの音楽を耳コピして弾けるようになったとか、そういうところから始まってて。
――習ったわけではないんですか?
mono:小学校3年くらいのときに1ヶ月だけ習いました。小学生になった頃にはピアノは触ってて、ゲーム音楽とかをいじっていたので、「それだったらピアノ習ってみるか?」って親に言われて。それで習い始めたんですけど、決まった曲をやるっていうのがダメだったみたいで、途中で嫌になってやめちゃったんですよね。
――じゃあ、自己流で気がついたら弾けるようになっていたんですか?
mono:そうですね。たぶん、小さい頃に音楽教室に通わされたことも大きくて。僕、いまも滑舌悪いですけど、昔はしゃべるのが遅かったらしいんです。それを心配した親がいろいろ考えた結果、音楽教室に通うことになって、そこで相対音感が身についたみたいなんです。だから耳コピは得意なんですよね。僕もの子も譜面が読めないから、かまってちゃんの曲も「なんとなく耳コピしてもらっていい?」って言われて弾いてて、それがいまでも続いているんです。
――そうだったんですね。でも、かまってちゃんでは最初はドラムだったんですよね?
mono:最初はドラムでしたね。そもそもバンド=ギター、ベース、ドラム、ボーカルっていうイメージで、バンドにキーボードがいるイメージを持ってなかったんですよ。それでギターは似合わないだろうな、ボーカルもないな、ベースもないな、ドラムだなみたいな(笑)。
――そのときはドラムは叩けたんですか?
mono:なんとなく叩けました。さすがにスコア本を買ったり、動画を見たりして練習しましたけど。あと、当時はパンクバンドとかを聴いてて、シンプルなドラムしか叩いてなかったので、そんなにテクニカルなことはしてなくて。でも、自分で言うのもなんですけど、リズム感には自信があったんですよ。いまだにの子も「お前のドラムよかったんだよなぁ」って言ってくれることがあるし。なので、ドラマーとしてやれる自信はあったんですけど、絵面の問題で変わっちゃいました(笑)。
――絵面的にはドラムのほうが似合うじゃないですか。
mono:そこをあえて似合わない楽器にするのが、の子の狙いで。
――確かにmono君がドラムだと普通ですもんね。
mono:女性(みさこ)がドラムなのも珍しいし、たまたま僕も鍵盤を弾けたし、そこで合致したんですよね。本当にかまってちゃんの楽器決めはスキルじゃなかったので。見た目、キャラクター、あと配信に出られるか。その頃は技術は一切考えてなかったと思います。
――同級生だからこそできたやり方ですよね。鍵盤とドラム以外の楽器もやるんですか?
mono:いちおうギターも弾けます。軽くですけど。
――あー、見たことあったかも。じゃあ、やろうと思えば一人バンドもできるんじゃないですか?
mono:そうですね。ギターとかは表で弾くほどではないですけど、簡単なレコーディングくらいならできるかなと思います。
●人前は苦手、仲間がいるってデカい
――曲作りはDTMでやっているんですか?
mono:そうですね。Bitwig Studioっていう、ちょっとマイナーなソフトを使ってて。もともとAbleton Liveのエンジニアだった人が立ち上げた会社らしくて、使い方も似てるんですよ。画面が見やすいのと、メインストリームから外れた感じが自分の性格的に合ってるなと思って使ってますね。
――音楽的には、どんなものを聴いてきたんですか?
mono:いまはアシッドハウスやテクノが好きなんですけど、最初はTHE BLUE HEARTSだったんですよ。そこから洋楽に行って、NirvanaやOasisを聴くようになって。そこらへんでの子とも意気投合したんですよね。それでRadioheadを聴いて、ちょっとデジタル寄りな方向に行って、Aphex Twin界隈を聴くようになって、電気グルーヴも好きになって。けっこうミーハーだと思います(笑)。
――アシッドハウスやテクノが好きで、DJとかはやらないんですか?
mono:何回かやらせてもらったことあるんですけど、いまいちしっくりこなかったというか。盛り上げるのが下手くそなんですよ。
――かまってちゃんでは盛り上げ役みたいなこともしてますよね?
mono:やっぱり仲間がいるってデカいですよ。DJやってわかったんですけど、一人だとどうしていいかわからない。トラックを流して、お客さんの様子を見るんですけど、こっちが盛り上がってないから、当然お客さんも盛り上がらないじゃないですか。だから下向いちゃって。DJを見に来たかまってちゃんファンからも、「mono君って、黙々とやるタイプなんだね」みたいなことを言われて。
――別に黙々とやりたかったわけではないのに(笑)。
mono:結果そうなっちゃっただけで。僕、かまってちゃんの最初の頃は、酒飲まないとライブできなかったくらい緊張しいなので。やっぱり人前は苦手ですね。ミュージシャンらしからぬ発言ですけど(笑)。
――人前に出るだけがミュージシャンじゃないですから(笑)。サポートミュージシャンとかはやらないんですか?
mono:お声がけいただけるなら喜んでやりますよ。ただ、そこまでテクがあるわけではないので。かまってちゃんのライブでも、鍵盤どころかパフォーマーみたいなときもありますし。
――鍵盤弾かない曲もありますしね。
mono:そうですね。真ん中で踊ってくれと言われれば喜んで踊ります(笑)。僕なんかでよければ、なんでもやりますよっていう気持ちですね。
●昔よりはリーダーの自覚がある
――そういう個人仕事は、もちろん神聖かまってちゃんありきだと思いますけど、1月に(ベース担当だった)ちばぎんが抜けて、いまはサポートメンバーを入れて活動してますよね。気の持ち方は変わりました?
mono:いや、そんなに(笑)。サポートメンバーのユウノスケもいいヤツで、好調な流れになってると思いますよ。
――最近だとアニメ『進撃の巨人』The Final Seasonのオープニング曲に「僕の戦争」が選ばれましたよね。
mono:そうですね。2017年の「Season 2」でも、(原作者の)諫山創さんから指名していただいて、「夕暮れの鳥」をエンディングに使ってもらったんですけど、またやらせていただいて、本当にありがたい話で。
――今回の「僕の戦争」のmono君的な聴きどころは?
mono:今回はかまってちゃんで初めて聖歌隊をお願いしました。その甲斐もあって、より壮大な楽曲に仕上がったと思います。何と言っているのか既にいろんな方々が考察しているみたいですけど、そこらへんも楽しみながら何回も聴いていただけるとうれしいです。
まだフルverは音源としてリリースされていないんですけど、アニメでは流れなかった後半の展開もとても素晴らしいものになっているので、期待していただければと思います!
――mono君にとって、神聖かまってちゃんはどういう存在ですか?
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