「めがね作りにかかる手間と時間」
田中眼鏡 福井店 木林です
私が働いている田中眼鏡福井店は、”美”と”知”をコンセプトに掲げております。
めがねを掛けることで美しくなる”美”(ファッション的・機能的など)
めがねについて深く知ることができる”知”(度数的な観点からの選び方、フレーム知識、レンズ知識など)
今までめがねが似合わないと思っていた方、似合うめがねが分からない方、めがねに対するお悩み、ネガティブイメージを無くす提案型の接客で、より多くの方にめがねの魅力を知っていただきたいと思っております。
今回は”知”
フレームに関する知識をより深めていくために
鯖江にある、プラスチックフレーム製造をされている工場を見学させていただきました。
まず、皆さんは鯖江がめがねで有名な理由をご存じでしょうか?
めがね一つを作るのに200ほどの工程があります。
一本のめがねを作るのに、車一台を作るのと同じくらいの工程があります。
これだけ多くの人の手間がかかっているのです。驚きですよね。
その工程ごとに一つ一つ専門の工場があり、その専門の工場がたくさん集まった街が鯖江です。
街全体が一つの大きなめがね工場のような感じですね。
鯖江のまちを車で走っていても、工場がたくさんあるようには見えないですよね?
実は、普通の一軒家に見えてても、工場だという家が鯖江の街にはたくさん隠れています。
今回伺った工場も、周りと変わらない普通の一軒家で驚きました。
教えてもらわなければ、絶対にそのまま通り過ぎてしまうでしょう。
今回プラスチックフレーム製造工場を見学させていただき、200程あるめがねの工程の中からメインに見せてくださったのは【ガラ入れ】という工程。
・ガラ入れとは?
フレームを磨く工程のことを言います。
最後の仕上げの時の輝き方にも影響する大事な工程です。
八角形の大きなドラムの中に、いろんな素材のチップや研磨剤などを入れ、数十個のフレームを一緒に回して磨いていきます。
ガラ入れにもいくつか工程があります。
最初に見せていただいたのは《荒ガラ》。
めがねのエッジ具合はガラ入れの時間によって変わります。
丸みをつけない角がある仕上がりは約30時間、丸みをつける為には約45時間、荒ガラをするそうです。
ガラ入れの中の最初の工程だけで、これだけの時間がかかるのは驚きですよね。
荒ガラが終わったフレームを出し、洗って溶剤に付け、《中間ガラ》という工程に入ります。
中間ガラではまた別の素材のチップを使います。
ガラでは当たらないブリッジのキワや、レンズの溝などは手作業でなだらかにするそうです。
仕上げに《ツヤガラ》をするまでが大体の一連の流れです。
チップの素材の種類や大きさがたくさんあるそうで、工程や仕上がりによって使い分けているそうです。60~80ほどのフレームしか一気にガラ入れできないみたいなので、本当に時間のかかる工程なのだと改めて感じました。
今回、セルロイドの加工についても教えていただきました。
・セルロイドとは?
そもそもセルロイドとは、植物性の自然素材から作られているプラスチックです。
弾力性があり、衝撃に強く、曲がりにくい素材です。また、特有のツヤ感が魅力です。
・セルロイドは危険?
セルロイドの発火点は170℃前後。
取り扱いが難しく加工の際に発火事故も起きやすい素材です。
2000年代までは主流の素材でしたが、危険という観点から徐々に衰退していきました。
今はアセテートというプラスチックフレームの9割を占めています。
しかし、セルロイドは今でも根強い人気のある素材です。
発火事故が発生しやすいということもあり、セルロイドの加工は慎重に行っていきます。
機械でセルロイドを加工する際、機械の刃の切れ味が悪くなってくると、熱を持ってセルロイドが刃に巻きつき発火します。
一瞬で爆発してしまいます。
機械により自動で削るのはとても危ない上に、いつ発火するか分かりません。ずっと見ていなければならないので、セルロイドの加工は手作業で行っているそうです。
セルロイドの加工が難しいとは聞いていましたが、職人さんから実際に話を聞くと本当に危険で、丁寧に加工をしなければいけないことが改めて分かりました。
再び事故があると、セルロイドを扱う工場が減ってしまったり、今よりもっとセルロイドのめがねを見る機会が減ってしまいます。
今後、事故が起こらずにセルロイドが残ってくれると嬉しいですね。
めがねが一つ仕上がるまでに、本当にたくさんの方の手間と時間がかかっています。
パッと見ただけでは分からない細かな部分も、各分野のプロフェッショナル達が丁寧に作り上げ、一本の美しいめがねが仕上がります。
より美しく、より掛けやすくするために考えられ、今も進化が続いています。
今回その一つの現場にお邪魔させていただき、めがね作りをされている方々の素晴らしさを感じることができました。
今回お邪魔した工場の職人さんは、フレームが美しく仕上がる為に、その方独自の方法を編み出していました。
200程ある工程一つ一つに、その職人さんの素晴らしい技術や、美しいものにしたいという思いが込められています。この事実を知った上で改めて普段使っているめがねを見るとより愛着が沸いてきますね。
これからもめがね作りの素晴らしさについて発信していけたらと思っておりますので、次回をお楽しみに♪
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