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今日を思い出してみる。

起きてからすぐに雨が降りだした。
外を歩くころには本降り。

見上げても見下ろしても雨は良い。
本を読むように上から下へしてもいい。
遠い人やことを思い出すみたいに下から上へしてもいい。

なんつっても雨の日のたばこはそういううまさがある。
そういえば電子はどうなんだろう?
電子も雨は好きなのだろうか。

などといっぷくしていて。
今年初めてセミの鳴き声を聴いた。
ひこうき雲みたいに真っ直ぐ鳴いていた。

あ、私こう鳴くんですね。

と、試し鳴きのような感もあった。
大きくも小さくもなく、高くも低くもない、そのセミなりの真っ直ぐで鳴く。

楽団一注意深い弦の人の、ホールでたった独りの、音出しを聴いているみたいだった。

夏の開演を傘さして待つ。

どんな夏になるのだろう。


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