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のも 山も
きり雨につゝまれ
山のねの
なの花畠
雨にぬれ
かへるは
ころころ
ないてゐる
  数え年 八歳(大正十三年四月)

チドリの自由詩の中でも、とりわけ愛らしい詩だといえます。身近な自然と向き合い、周りの景色を素直に描写しただけなのに、どこまでも優しく、ここち良い言葉のリズムに包まれて、読み手を風景の中に誘い、しっとり湿った空気の匂いまでが伝わり、自ずとカエルの鳴き声が聞こえてくる―そう思わせる一編です。【千鳥の詩文のすべては HP「田中千鳥の世界」で公開、読むことが出来ます。】

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