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雨と木のは

こぼれるやうな
雨がふる
木のは と雨が
なんだかはなしを
するやうだ
山もたんぼも雨ばかり
びっしょりぬれて
うれしさう
  数え年 八歳(大正十三年三月)

千鳥は雨が好きだったようです。母・古代子は『千鳥遺稿』の「編纂後記」にこう書き遺しています。
雨の降る日が大好きで、雨の日にはころつと人間が變つて仕舞つた。居るか居ないかわからない程、ヂッとしづかにしてゐて、口も利かずに一人で何かしてゐた。彼女はかりそめにも嘘や出鱈目を云わなかつた。彼女の言葉はそのまゝ信じてよかつた。その点非常に安心してゐられた。

【千鳥の詩文のすべては HP「田中千鳥の世界」で公開、読むことが出来ます。】

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