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ヤカンでお湯を沸かす

ヤカンでお湯を沸かすのが好き。

電子ケトルという現代的なものを使うんじゃなくて、ヤカンに水を入れて火にかけてしばらく待つ。

あのグツグツした瞬間を待つのが好きである。

ヤカンのフタが少しカタカタと鳴って、シュッシュと音が鳴るのが好き。



時短は大好きだけれど、コンクリートジャングルの東京で働いていると、ふと手間をかける瞬間がほしくなる。見たくなる。

忙殺されて、人混みをギュウギュウとかき分けて、ずーっと一日中心がざわざわしている。

この東京で暮らしていると、時間をかけるなにかがほしくなる。

「今私なにかやっています」というもの、「今生活をするためにこれやっています」というものがほしくなる。

生活している、っている感覚を忘れたくないから。

生活の動作を感じられるだけで、「私はちゃんと生きているんだ」と実感する。

心がちょっとだけ穏やかになる。



ヤカン以外にはアイロンがけ、ボタンを縫い付ける、漬物を作ってみるとかね。

どれもちょっとだけ手間がかかるけど、「私ちゃんと生きてるなー」という気持ちになる。

そういった手間のおかげで私は今日も東京で暮らしていけるのかもしれない。

最後まで読んでいただきありがとうございます!短編小説、エッセイを主に書いています。また遊びにきてください♪