私というサンプル

　「無知の知」という言葉が好きなのだが、その一方で「知は力なり」だとも思っている。知らないことなんてごまんとある、でも少なからず知識があれば身を助くことになる。
　理解ではなく、知っていることが大切。理解には共感や反発がついてくるけれど、ただ知っているだけならそこに感情や気持ちは入らない。判断は必要ない。ただ知っているだけでいい。何事もそんなふうに、私は思っている。

　自分の外にはいろんな人がいる。いろんなことがあって、自分が知っていること、やっていることがすべてではない。でも、きっと自分の周りには自分に似た人が集まっていて、違う人と出会うことはあまりないのではないかしら。だから違いを違いとして受け入れることができず、否定してしまうのかもしれない。
　私は否定が嫌い。もちろん、私も誰かを否定すること、あるけれど。どうにも受け入れ難い人、物事はあって、それは絶対に受け付けない。けれど、私がどう思おうが、どう振る舞おうが、それはそこにある。

　私は世界を変えたいなんて、これっぽっちも思わない。世界が変わるなんても思ってない。小さな世界を作って、その中で実現することは可能。でもそれを大きな世界にまで広げることはできないと思っている。
　なのに最近、無性に知らせたい欲に駆られている。だから自分のことを山ほど書いている。こんな人も、こんな方法も、こんな生き方、考え方、あるんですよ。
　正解かどうかは問題ではなく。というか、正解でないのは明白だし。でも正解だけで世界は成り立ってない。不正解も、ちょい間違いも存在してるんだよー、って知らしめたい。なんでかわからないけど。
　もしかしたら、窮屈そうにしてた酔客を見たからかもしれない。お節介の権化なので、余計なお世話をしたくなった。ということにしておこう。

　私というサンプルの中には、いろんなパーツが含まれている。誰だっていろいろあるので、私が特別ということではない。けれど、私というサンプルにはわかりやすい、目立つパーツがたくさんついている。
　だから初心者向けとして最適だと思う。有名人とかではなく、たまたま行ったカフェでコーヒーを運んできた人でも、こんないろんなもの含んでるのよ。気づいてないだけで、日々たくさんの思いがけないパーツを持つ人たちとすれ違ってるんだよ。

・偽名で生活している
・老親を捨てた
・偽名になる前の人間関係すべてと縁切った（保険屋だけそのまま）
・未だかつて就職したことがない
・人生の半分がニート
・対人恐怖症で幻聴・妄想に襲われる
・調子が悪いと幻聴・幻臭
・株投資でちょい儲け
・株投資で600万が紙切れに
・死んだ母の遺産数千万を使い切り
・同級生が卒業後、大学入学
・大学行ったの実質1年だけ
・不良でも不登校でもなく学校さぼりまくり
・小学2年でカーセックス特集を熟読
・子どもの頃は変質者に狙われまくり
・小学生のときマンガを数十冊万引した（親にバレて支払いと謝罪に行った）
・性別を理解してるし、性別はあるけど性別に興味なし
・人間不信
・自殺未遂2回
・現在の通帳残高18万円（6月を生き延びろ！）
・髪の毛は自分でバリカン
・感情は読めるが人の気持ちはわからない
・日々、人を観察してデータを収集
・目の病気で一時期片目を失明
・全頭脱毛症で2/3の髪の毛なくなった（今は全部生えた）
・3キロの巨大子宮筋腫で子宮全摘
・Red Hot Chili Peppers のアンソニーと電話で話した

　思いつくだけで、こんなくらい。絞り出せば、もうちょっと出るかな。
　たぶん、見た目では想像できないんじゃないかしら。見た目どおり、引きこもりで神経症でニート。音楽聞かなさそうだけど、かなり激しめのをがんがん聞く。映画も芝居もダンス（モダンバレエ系）も大好き。焼肉、ラーメンはあんまり食べたいと思わない。でもホルモンは好き、めったに食べないけど。最近はお化粧もおしゃれもしないけど、バブル直後の世代なのでいろいろ詳しい。
　なんかちょっとズレてきた。

　上に挙げたことは、私にとっては大したことじゃない。別に隠したい過去でもない。誰に知られてもいいこと。
　だからといって、知らせたいことではない。私はカムアウトが大嫌い。アウトする必要性がまったく理解できない。
　だけど、サンプルとして提供したい。誰に？
　世の中にはこんなのもあると知る手がかりになれたら。なんのために？
　自分で自分に突っ込みたくなる。だけど、なぜかわからないけど、サンプルになりたい。みなさん、私をサンプルとして活用してください。