「コンビニ人間」読書感想文

どんな本か?

産まれてから社会との間にズレが生じ異物であった彼女が、正常に社会に組み込まれることが出来る唯一の場所がコンビニのアルバイトであり、いつしか彼女自身がコンビニ店員に生まれ変わっていた話。

あなたの認知は合っていますか?

自分の経験や理屈を拾い集めて描く多面的な世界で思考し判断を下しても、そもそもの図形が間違っていたり、正しいのは自分以外の世界の方だったり、人の視点が変われば違った世界が創造される事がある。小説の場面で、主人公がコンビニ店員同士の関係性から男女話になった途端に、今まで作り上げられたコンビニ店員の会話から男女の人間の会話になり、それぞれのコンビニ店員の印象が変わり居心地の悪さを感じる場面がそうである。認知というのは、認知の部分がズレていれば世界の事象を理解し得ない。書いてない文字や言ってない事にコンプレックスが適合し過剰に反応してしまうことも一つの例である。だから、複数の基準や視点が必要である。自分の認知が合っていますか?

共感できる部分

ズレを生じた人間は普通に適合するために、普通の言い訳を事前に用意する。怒りの感情は湧かないが相手の感情に同意すれば相手の話が弾むことを知っている事や、自分が違和感を感じるところを世界は違和感を感じ得ない所にますますズレていく。そんな主人公の心理描写には理解を示してしまう。ズレを感じてしまう人におすすめの本かなと思いました。

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