見出し画像

自然な自分に出会えた焼津の20日間。|Ep.4

2024年5月31日(金)

こんにちは!たなかももこです。

5月3日から5月22日まで、静岡県の焼津市にある駅前通り商店街に滞在していました。

今回は、その振り返りです✐
(少し長めです)




0.焼津に来る前の自分と、今の自分


4月下旬、休学をはじめて一ヵ月。

色々な思いを持って始めた休学ですが、
やる気元気とともに、
ふと襲ってくる「不安」もつきもの。

同世代の人が、社会人になったり、就活や教採(教員採用試験)にむけて歩みを進めている中、

私は今…?
私はちゃんと進んでいるのか…?
私のこれからの1年間は本当に大丈夫か。

何かやらなきゃ、やらないと…という焦りもあって、なんだか疲れていたように思います。

そんな心も抱えつつ、
5月初旬に焼津で行われた「わたしの商店街クエスト プレクエスト」に向けて出発しました。

プレクエストの詳細や振り返りはこちらから👇

プレクエストで焼津に滞在した最初の3日間。

焼津の街の雰囲気、地域の人の温かさ、全国の大学生との新たな出会い、焼津の美味しい食べ物、空の広さ。いろんなものが私を癒しているのを感じていました。

そして、「もう少しここに居たい」という気持ちで、焼津での延長生活が始まりました。

そんな理由でしたが、結果的に、焼津の街の、

・人と人とをつなげる場づくり
・人々の日常に溶け込む場づくり

について、学べることが沢山ありました。

おかげで、私自身はただそこに居ただけなのに、とても元気になりました。よかった。

人間が生きるために必要な栄養素がそこにあるような気がしました。
そんな焼津の駅前通り商店街における場づくりについて、荒削りな言葉ですが、自分なりに解明していきます。



1.いつも商店街に足を運んだ理由


朝起きて、今日は何をしようかと考える前に、「とりあえず商店街に行ってみよう!」というような生活を、気がついたらしていました。

「今、商店街、誰がいるかな」
「○○さんいるかな?」

という気持ちで、
ふら〜っと訪ねていたら、いつの間にか、
日々欠かさず通う大切な場所になっていました。

私をそうさせた理由について、
2種類、言語化してみました👇

  

✻ ✻ ✻

①「そこに行けば誰かいるだろう」という安心感


私の、商店街の特にお気に入りの場所は、「みんなの図書館さんかく(通称:さんかく)」だったのですが、

さんかくに入り浸ってたおかげで、
さんかくを日常的にたずねてくる商店街の人たちに出会うきっかけや、自分を知ってもらうきっかけを得ることができました。


さんかくを通じて、私は街に繋がりました。

ちなみに、
「みんなの図書館さんかく」は、「一箱本棚オーナー制度」と呼ばれるしくみで運営されている私設の図書館です。本棚の一箱を月2000円で街の人が買い、それぞれに思い思いの本を並べています。

詳しくはこちらから(さんかく館長で、一般社団法人トリナス代表の土肥潤也さんの記事です、この度の滞在でも大変お世話になりました)👇


みんなの図書館さんかく外観(夕暮れ)
みんなの図書館さんかくの内部


ここで日々、たくさんの人と出会い、たくさんの時間を過ごしました。


🌱星にカメラにコーヒーに、好きなものが沢山ある己書(おのれしょ)の師匠。

🌱「ご自由にどうぞ〜」と迎えてくれる併設されたコーヒーショップの店主で、実はデザイナー。

🌱言われるまで知らなかった実は蕎麦屋の店主。

🌱お菓子を持ってきてくれる見守り隊長大家さん。

🌱「おーい、けーるぞ(帰るぞ)」と迎えに来る宿のオーナー。

🌱「ももち何してるら」と覗きにくる隣の店のお姉さん。

🌱近くのこども館で働く商店街のみんなのお母さん。

🌱いつもやってくるワンコ達🐶。

もっと沢山の方々。
通りすがりの人と話す時間も好きでした。


「行けば誰かいるだろう。特に用もないけど、やることもないし、とりあえず行ってみるか。」

と何も考えずにさんかくに足を運んでいた気がします。

商店街の人が、
「ももちいるー??」と、
さんかくにやってきたときは嬉しかったです。
(ももちは私のこと)👇


✻ ✻ ✻

②何もしなくてもただそこに居られる安心感


さんかくに居るときの私は、

本を読んだり、
お店番の人とお話したり、
お店番したり、
さんかくにやってくる人と会ったり、
ベンチで日向ぼっこしたり、
通りすがりの犬を愛でたり(犬の停留所)、
席に座って真面目にPC作業したり、
何もしなかったり。ぼーーーーーーーーっと。

そのときの自分の気分に合わせて、自分の好きな場所/居たい場所を見つけて、自分の時間を過ごしながら、誰かと同じ空間を共有する

たまたまに、誰かが面白い話をしていたら、ちょっと輪の中に入ってみたり、BGMみたいに聞き流しながら過ごしたり。

誰かに何かを求められている訳でもない、
誰かに監督されてるわけでもない、
自分なりの空間への関わり方で過ごせることが、とても心地よかったです。

だから、
何者になるわけでもなく、
自然な自分で居られた
のかもしれません。

そして、
世の中にあるパブリックな空間には、使い方を予め決められている場所が多いかと思います。
そもそも建築の段階で、ニーズ、ターゲット、目的がかなり明確で、その場にはそれなりの守るべきルール・規定があったり。

さんかくはそういう場所とはちょっと違います。


未来形で、
これから「何か」が創造される場所


人と人との出会いをきっかけに、何かが生み出される可能性を秘めた場所。人が、自分自身の「余白の時間」に自分を休める場所。

私は、昔の日本家屋の「縁側」のような場所だなと感じていました。




2.私が思う「さんかく」の良さ

①人とともに変化できる場の柔軟さ


さんかくは、
みんなが「それぞれ」を過ごしていても、
誰かの一言をきっかけに、

「なになに~~〜」

と自然に椅子が集まってくる空間です。

たとえば、

「そういえば今日、
『占星術』の話を聞いてきたんですよ~」
と誰かが口を開けば、

「センセイジュツってなんですか…?」と私。
「占星術!なにそれ面白い!」と星好き副館長。
「へ~」とコーヒー淹れながら聞いてるコーヒー店主。

さっきまでそれぞれがゆる~く場を共有していた空間だったのに、一瞬にして、「今日〇〇さんが聞いてきた占星術講座」が始まりました。

このようにして、

そこに居る人と、
そこに居る人の温度感と、
そこに居る人が持っている話題で、
いろんな表情をみせてくれるさんかくは、いつ行っても飽きないです。

いつも何かが起こる。
何か新しい出会いがある。
何か新しい発見がある。

居る人それぞれが、思い思いの時間を過ごしている時間ももちろん好きですし、誰かの話題に耳を傾けるのも、会話の輪の中にどっぷり入るのも好きです。そういう、関わりのグラデーションがあるところも、居やすい理由であると思います。

人とともに変化する空間の色合いを、日々楽しんでいました。

✻ ✻ ✻

②たまたま居合わせた、ゆる〜いつながり


日常のくだらない小言でも、ちょっとした悩みでも興味関心でも、少しの不安でも、ポロッとこぼれるように話せるのが、さんかくでした。

ある人は、
コーヒー淹れながら、聞く。

ある人は、
本読みながら、聞く。

お店番の仕事をしながら、聞く。

ぼーっとしながら、聞く。

みんな、なんとなく聞いてくれてる。
誰か聞いてなくても、誰かが聞いてます。
一生懸命聞かれてないことが、案外良かったりします。


ここに居るのは、
ここで、この時間に、たまたま居合わせた人達。
それぞれの日常の交差点。

学校だったり、職場だったり、家庭だったりの、
日常生活の主なるコミュニティではなくて、それぞれの日常の切れ端が集まってできたような場所だから、気楽に話せるのかもしれません。
自然な自分で表現できる場所って大事です。



3.栗下さん家族


焼津での暮らしを語る際に、この人なくしては語れないという方がいます。それは、栗下さん(くりさん)という、近所のおじいちゃん、私にとっては焼津のお父さんです。

もうすぐ80歳も近いというのに、ピンピンしていて、多分私よりも元気で、とにかく優しく温かく、笑顔が素敵な方です。

たくさんの人を知っていて、たくさんの人に慕われていて、どこのどなたでも、くりさんのネットワークで繋がってしまう、くりさんが繫げてくださる。

若者に熱い思いを持って接してくださる方。

商店街の老若男女みな、
「くりさんくりさーん!」といって、
誰でもくりさんのことを知っています。

「おーい、何してるら〜」

「飯食ったか?」

「おめぇぇ洗濯物の干し方がちげーど」(😳)

「トマトくうか〜🍅」 

そんな他愛もない会話から、

「いいよなぁ遠回りしたって。
 人生2回もないもんな。」

「いい野菜を育てるためにはいい土がいるら?
だがら、おらっちは若い人たちのために焼津の土を耕してんの。わかっだか?🌱」

「のんびり休学していいからね。」

「落ち込んだらだめだよ。人間落ち込んだらどんどん追い抜かされちゃうんだから。」

みたいな話まで。

人生の大先輩から教えてもらう生き方のこと、
日々を楽しく生きること、
ちょっとの可笑しさを日々の彩りにすること、
沢山教わりました。

くりさんネットワークのおかげで、昔好きだった「折り紙」のことも思い出しました。近所の折り紙名人のおばあちゃんにも出会えました。


近所のおばあちゃんの折り紙作品


私が折り紙夢中に折ってたら、
くりさんが持ってきた透明なガラスケース。
「いいら(いいでしょ)、これ」ってニコニコくりさん😊


いつも楽しそうに話してくださるくりさんのおかげで、私もお腹が痛くなるほどたくさん笑ってました。くりさんのご家族と一緒に過ごす和気あいあいとした温かい時間も大好きでした。

くりさん、くりさん家の皆さん、
本当にありがとうございました。

「次はいつ来るら」っておっしゃってたけど、
近いうちにまた来るら!

こちらの過去の新聞記事もぜひ👇

みんなの図書館「さんかく」のトイレに貼ってある新聞のコラム『商店街の栗下さん | 土肥潤也』




4.おわりに


焼津での日々のおかげで、
自然な自分で居られる時間がとても増えました。

楽しいから楽しい。
嬉しいから嬉しい。
不安だから不安。
でも頑張りたいから頑張る。

自然で、肩の力を抜くことができたのは、
どんな表情の自分も表現できる、場のぬくもり、
安心感のおかげだと思います。

自分らしさって、
まずは自然体で居られる空間から始まるものなのではないかと感じました。

この自分を忘れないように、
これからも大事にしたいと思います。

そして、
街の中にこんな場所が一つ増えるだけで、
街と繋がれることを知りました。
街ってつまりは人。
人とつながり、街をつくる。そして、街になる。

私の街にもあったらいいな、こんな場所。
ヒントをたくさんもらいました。

20日間の中で出会った全ての皆さん、
本当にありがとうございました。

また一つ、
大事にしたい場所が日本地図の中に増えました。

また来ます!
また来るら!


自然な自分に出会えた焼津の20日間。|Ep.4


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?