第四章-4項 第三者を介して認める「トライアングル・ストローク」
(拙著の宣伝です:笑)
公衆の面前で称えるのが難しい場合
表彰式や授賞式のような公の場で褒められると、人は大いに満足します。なので、プラスのストロークは公然と放つほうが効果的。
といっても、集団の面前で公然と個人を特定してプラスのストロークを放つのは難しい場合があります。
なぜなら、それを見ている人達の中に「羨ましい」と思う人がいるからです。
羨ましいと思う気持ちがマイナス方向へ働けば嫉妬。
嫉妬心は誰にでもありますものね、いつ憎悪へ変貌するかわからない。
条件付きのストロークで称える場なら、称えられて当然の理由がありますから、観衆は理屈で納得します。
声援を送る人もいます。ところが中には、羨んだり、妬ましがる人がいます。100人が100人、善意で受け取ることはありません。
これが、無条件のストロークとなると、
「大した理由もないのに、どうしてアイツだけが褒められる?」
と、依怙贔屓に思ったり、
「不公平だ」
と思われ、褒めた人も褒められた人も、周囲から
「アイツばっかり」
と陰口を叩かれる危険性があります。
良かれと思って放ったプラスのストロークが、別方向から、陰口というマイナスのストロークを誘引することになる。
そういうときは、すれ違いざまに、さり気なく、3秒でストロークしてみて下さい。
「このごろ頑張っているな」で1.5秒。
「エライぞ」で0.5秒。
「その調子で行け」で一秒。
たった3秒で、こんなに沢山、ストロークできます。
本来であれば、公衆の面前で称えるのが効果的です。
が、無条件のプラスのストロークは、TPO(時と場所と場合)によって、一対一のほうが適している場合もあります。
もし、どうしても、一対一で褒める機会が見つからないとしたら、仲の良い第三者を介するトライアングル・ストローク(TriangleStroke)で認めてあげましょう。
プラスのトライアングル・ストローク
プラスのトライアングル・ストロークとは、知人の知人を褒めることです。三角形をイメージしてみて下さい。
3つの角には、あなたと、あなたが褒めたいターゲット(Aさん)と、あなたとターゲットを結ぶ共通の知人(Bさん)がいます。
3人が知り合いの場合。
あなたはBさん(知人)へ「Aさん(ターゲット)って大したもんだよなあ」と陰口を言うわけです。
陰口というと語弊がありますので、褒口(ほめぐち)としましょう。
Bさん(知人)が、そのままAさん(ターゲット)へ褒口を伝える確証はありません。
が、あなたとAさん(ターゲット)が顔見知りだけに、Bさん(知人)とAさん(ターゲット)の仲が良ければ良いほど、
Bさん(知人)は「Aさんのことを褒めていたよ」と教えてあげたい気持ちが高まりますし、
仲がよければ話す機会も多いため、自ずと伝わる確率は高まります。
たとえ伝わらなくとも良いのです。
あなたがAさん(ターゲット)を褒めたことが、仲の良いBさん(知人)にとっては嬉しい出来事なんです。
自分が認めているものを他人が認めたとき、まるで自分が認められたように嬉しくなることがありますよね?
ただし、人には嫉妬心があることをお忘れなく。あまり大袈裟に褒めすぎると、
「それなら、本人へ直接いえばいいじゃん」と嫉妬して、三角関係に亀裂が入る危険性があります。
くれぐれも大袈裟に褒めず、さり気ない褒口の回数を、何度も重ねるようにしてください。
3人のうち2人だけが知り合いの場合。あなたが褒めたいターゲット(Aさん)と、あなたも知人(Bさん)も面識がない場合は、
大袈裟に褒めても構いません。
著名人のファンが典型的な例です。当の著名人は、あなたのことも知人(Bさん)のことも知りません。
しかし、あなたはAさん(ターゲット)のファン。けれども、Bさん(知人)はAさん(ターゲット)を知らない。
こうしたケースでは、あなたもBさん(知人)も、Aさん(ターゲット)と直接対話する機会に乏しいため、
大袈裟に褒めて期待値を高めても大丈夫。大物タレントのファンが、率先してファンクラブの会員を勧誘するようなものです。
歴史上の英雄も同様に、いくらナポレオンのことを大袈裟に褒めようとも、ナポレオンと話す機会は絶対にありませんから、あとになって
「話が違う」
と期待値が下がることは滅多にありません。英雄は英雄のまま。
期待値に達しないと、
「ウソだった」
「裏切られた」
と思われる場合がありますが、直接対話しないのであれば、あとで幻滅する危険性が低いため、大袈裟に褒めても構わないのです。
ただし、やはり嫉妬心には気をつけなければなりません。たとえば、異性(たとえば女性)の前で異性(女性)を褒める場合は要注意。
一方、あなたが褒めたいターゲット(Aさん)と、知人(Bさん)が見知らぬ同士の場合は、詳細に褒めてください。
Aさん(ターゲット)の情報を細かくBさん(知人)へ伝えて、Aさん(ターゲット)の良さを理解してもらいましょう。
たとえば、結婚相手を親に紹介する前の予備知識として。
たとえば、友人と友人を引き合わせる前の予備知識として。
たとえば、仕事の取引先を紹介する前の予備知識として。
いい雰囲気で初対面の場を迎えるためにも、良い部分を細かく伝えておきましょう。
細かい部分に神が宿ります。
これをバズ(buzz)マーケティングとかリファーラル(referral)マーケティングといいます。
平たくいえば、口コミのこと。第三者を介して情報を伝えるほうが効果的なケースもあるわけです。
直接褒められると嬉しいものですが、間接的に褒められると胸に響きます。
一対一で褒めにくいときは、褒口を使って、間接的にストロークしましょう。
あなたがメディエイター(mediator:媒介者)になれば、褒口は、あなたへ間接的に幸せを運んできます。
マイナスのトライアングル・ストローク
マイナスのトライアングル・ストロークで典型的なのが、陰口です。
ひとくちに陰口といっても、陰口には、
プラス(善意)の陰口と、
マイナス(悪意)の陰口と、
ゼロ(善意も悪意もない)陰口
の三つがあります。
いずれの場合も、何かを非難するマイナスのストロークに変わりありませが、時と場合によって、プラスの陰口だけは許されます。
プラスの陰口とは、アンチ巨人や非自民、反米といった、大勢に抵抗すべく結集を促す少数派の主張。
「我々はマイナーだけど、我々のほうが正しい」
「そうだ!そうだ!」
と、シュプレヒコールを挙げるようなもの。
はたまた、赤提灯で一杯ひっかけながら
「課長のヤロー」
と毒づくことで、部下達の結束が強まっていくようなものです。
それで団結心が高まり、部下達のストレスが発散されるのであれば、ストライキなどの実害がない限り、プラスの陰口は許されます。
いわゆる、ガス抜き。
あなたが、大勢に与しない少数派として、マイナーなグループの一員として迎え入れられたいときに有効です。
次に、ゼロの陰口とは、陰口の対象となる本人にとって悪口になる内容を、事情を知らず、
本人がいない所で、単なる事実として話している場合です。
民法でいうところの、善意の第三者。
結果的に誹謗中傷になっているのですが、悪意がないだけに罰するのは難しい。
これがゼロのバックバイト(backbite:陰口)。
ゼロの陰口を聞いたら、「へえ、そうなんだ~」と軽く聞き流す程度にしておきましょう。
くれぐれも、メディエイター(mediator:媒介者)になって流布しないようオススメします。
許されざるはマイナスのバックバイト(陰口)。
人を陥れようとする悪意が込められています。意気地のない小心者に限って、性別年齢を問わず、ヒソヒソと悪意の陰口を叩き、用意周到に人を陥れ、良好な何かを引き裂こうとします。
インターネットの掲示板などに登場する「荒らし」が好例です。
マイナスのバックバイター(backbiter:陰口を叩く人)にとって、自分が関与していない良好な関係は嫉妬の対象でしかありませんから、
陰口というマイナスのストロークを放つことで
「自分の意見も認めてくれ」
と主張します。認めて欲しかったら、正々堂々と主張すれば良いのですが、その勇気も気力も根性も持ち合わせていない。
これは陰湿で厄介です。
また、マイナスのバックバイター(backbiter:陰口を叩く人)は、敵味方の見境なく、「羨ましい。妬ましい」と、グチグチ陰で攻撃します。
陰口に同意して、仲間になってしまうと、とても危険です。共食いも有り得る屍食鬼ですから、仲間だからといって安心できません。
一度でも加担してしまったら、今ある獲物が尽きたとき、次に狙われる獲物は、あなたになります。
そして、あなたへの攻撃は、あなたと屍食鬼の関係が途切れても続きます。屍食鬼たちは、あなたのことを
「ひどい奴がいた」
「ああ、あいつナ」
と、いつまでも、陰惨な思い出話として、槍玉にあげ続けます。
マイナスのバックバイター(backbiter:陰口を叩く人)は、陥れる獲物を常に探している典型的なマイナスのストローカーですから、決して加担してはなりません。
一緒になって誰かの陰口を叩くのは厳禁です。
マイナスのバックバイター(backbiter:陰口を叩く人)が近寄ってきて、陰口を叩き出したら、肯定も否定もせずに、ゼロ・ストロークで軽く受け流し、決して仲間に入らないように避けて下さい。
陰湿な陰口を叩いていると、何より、あなた自身が惨(みじ)めになります。そうして、あなたのストローク・バンクに、マイナスのストロークが貯まっていきます。そして、あなたにマイナスのストロークがハネ返ってきて、あなたを滅ぼしてしまうことでしょう。
だから、意識して陰口を封じ、褒口で称えるようにして下さい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?