フォローアップカード

Follow-up Card(フォローアップカード:FUC)を一言で括れば、ハガキのこと。

たとえば、時間を割いて面談してもらったり、来店してもらったお礼として、
「せめて、ハガキくらい送って、御礼しましょう」
との主旨。

時期的にタイミングが合えば、年賀状で御礼しても構わないので、FUCに年賀状、暑中見舞、クリスマスカードなどのグリーティングカード(GC)含まれる。

メッセージカードやギフトカードもFUCに含まれるが、細末な話は抜きしてFUC=ハガキだと思ってもらって構わない。

FUCの効果については、クライアントが、合宿の夜に語ってくれた。


「FUCを送ってみたんですよ。そしたら、久しぶりに連絡を取り合う良機会になって、けっこう大きなビジネスに発展しそうなんです。
これが正い接触ということなんですねえ。本で読んだ話がスッキリと腑に落ちまた」

その通り。挨拶は人道の基本。普通の社会人なら、誰で交わす常識。

その暑中見舞を、私のところへも送ってくれたクライアントさんの顔が思わず脳裏に浮かんで微笑ましくなるような、夏休みの日記風であった。

たった一枚の暑中見舞(金額にして¥50)で、大きなビジネスになろうとはクライアントご自身、夢にも思わなかったであろう。

ただし、「そうか!」とばかりに、滅多矢鱈とFUCやGCを送れば上手くいくものではなく、クライアントは、細かい部分に気を配っている。


年賀状を送る時も、家族の写真を載せたプライベートな年賀状を、ビジネス用の年賀状へ転用しようと考えた。そのとき、疑問が湧き、

「どの程度の付き合いまでなら、家族の写真つき年賀状を送っても構わないでしょうか?」

との質問がクライアントから寄せられたため、私は、

「ここまでは、通り一遍の年賀状。ここから先は、プライベートモードの年賀状にすると良いでしょう。最低でも二種類の年賀状を用意して、使い分けてみて下さい」

と答えた。その通りにしたかどうかは分らないが、後から、

「すべての宛先へ、プライベートモードの年賀状を送らなくて良かったですよ」

との話を聞いた。
年明け、会社へ届いた年賀状を見ていたクライアントの同僚が、他から送られてきたプライベートモードの年賀状を眺めつつ、

「誰だ?こいつ。知らんぞ」

と、笑っていたらしい。おそらく、馴れ馴れしく近づいてくる売り臭に閉口して失笑したのではないだろうか。


確かに、名刺交換したくらいの関係で、顔も覚えていない相手から、家族の写真つき年賀状が届いたとしたら、かえって薄気味悪くなることもある。

そういう使い方をしている人は、FUCの本質が分っていない。

御礼状であり、案内状であり、挨拶状であり、近況報告であるFUCやGCはコミュニケーション・ツールなのだ。

コミュニケーションツールは、当然、コミュニティへ宛てて差し出すものである。内容は、コミュニティ内における自分と相手の立ち位置によって決まる。

遠ければ薄くなるし、近ければ濃くなる。

よって、内容は、一様で済むはずがない。少なくとも、プライベートとビジネスを混合させる場合は、内容を二分しなければならない。


それを考慮せずに、内々な内容のFUCを、誰かれ構わず送れば、しつこい印象を与える危険性がある。

濃い(プライベートな)内容にしたければ、それを送る前に、距離感を縮める努力が要る。

つまり、GCを送る前に、御礼状としてのFULを送る。その、たった一工程を面倒がって、突然に距離感のないGCを送るから、気味悪がられるのだ。

GCは、社会通念として認められている挨拶状につき、ビジネス臭を無くして送付できる。要するに、送る理由の必要ない、便利で強力な武器である。

理由が要らないので、¥50切手とハガキがあれば、どんなビジネスパーソンでも送ることができる。送っていないとしたら、送る気が無いだけの話である。

挨拶は、人の道。 無気力は、人生の敵。 億劫は、ビジネスの敵。

細かい部分に神が宿っていることを夢お忘れなく

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