接触論>第一次接触

初回接触

お金を払ってくれるのはお客さんである。お客さんは、人間である

ということは、そのお客さんと初めて出会う瞬間が必ずある。

では、いつ、出会うのだろうか?

既存顧客は、前任から後任への引継ぎという、紹介で初めて出会う。

新規顧客は、広告なり、電話アポイントなり、入店で初めて出会う。

そのような初めて会う機会が、いくつあるか、あなたはご存知だろうか?

「ん?」と思ったかもしれない。

当たり前すぎて気づかないことが、往々してある。初回の接触機会も当たり前すぎて気づかないかも知れない。

個人ではなく法人の場合、初回の接触機会は、10も20もありそうで、実は案外少ない。

接触機会は七つ。新規の顧客を増やすには、この七つを駆使する他ない。

七つの初回接触

初回七つの接触機会は次の通り。

1 面会…紹介・セミナー・展示会・アポイント・集会で初めて会う

2 電話回線…インバウンド・アウトバウンド・FAX・電報で接触する

3 電波媒体…テレビ・ラジオを通じて初めて接触する

4 活字媒体…新聞・雑誌を通じて初めて接触する

5 運輸…郵便や宅配便に託して接触する

6 光回線…ホームページ・Eメール・メールマガジン等々Webで接触する

7 場所…ポスターや看板。チラシの場合はダイレクトハンドする場所

以上の七つ。これ以外にあったら教えて頂きたい。

“面会”と“電話回線”“場所”は説明を要しないであろう。今も昔もオーソドックスな新規開拓の営業方法である。


“電波媒体”と“活字媒体”を、“媒体”と一括りにせずに分けたのは、電波は無料、活字は有料だからである。(無料のタウン誌や企業広報誌は除く)

ここでは(主題から逸れるため)メディアの特性は割愛するが、電波媒体と活字媒体は分けて考えなければならない。“運輸”の代表格はダイレクトメール。

接触戦術

つまり、新しいお客さんを増やすには、

              1 面会
              2 電話回線
              3 電波媒体
              4 活字媒体
              5 運輸
              6 光回線
              7 場所

いずれかの方法を採ることになる。これ以外に、ない。

BtoBを例に挙げよう。

企業間取引の新規開拓は、電話をかけ(アウトバウンド)、面会し、商談する、電話と面会の混合戦術が多い。

どのように電話するか?が戦法。戦法が決まったら、受話器を握って電話する戦闘へ移る。アポイントが取れたら、槍ならぬ鞄を持って、攻城戦へ赴く。

しかし、戦闘で連戦連敗。アポイントが取れないのだから、攻城へ赴くことも侭ならない。これで悩んでいる新人営業マンが多い。


なぜ悩む?
上司が教えてくれないからである(笑)。教えてくれないのも当然。会社は義務教育ではない。または上司が知らない、もしくは暗黙知にあるというのもある。

そういうときは、どうして、電話と面会の混合戦術なのか?それ以外に戦術はないのか振り返ってみるといい。その戦術を採るなりの理由があるはず。

たとえば、なぜ、運輸と面会の混合戦術ではないのか?たとえば、なぜ、活字媒体と面会ではないのか?なぜ、いきなり面会を求める飛び込みなのか?等々を検証してみると、電話と面会の混合戦術が最適かどうか判別できよう。

理由が無いとしたら、勘と経験と根性でセールスしているに過ぎない。それは当たって砕ける旧来の営業方法であって、マーケティングではない。

接触戦法

戦法にしても然り。
「わたくし○○会社の○○と申しまして、このたび、商品○○のご紹介に電話しました。ご担当者様はいらっしゃいますでしょうか?」
と電話して、

「おおおう!商品○○!首を長くして待っていたよ!ぜひ説明してくれたまえ」
となるだろうか?
そうなると、電話という戦術が適していないのか、戦法が練られていない他に考えられない。

まずは戦術を練り、戦術に則った戦法(電話ならば何をオファーするか)を練り、戦闘へ挑むことだ。

しかし、戦略が確立されていないと、たった一度のアポイントで終ってしまうであろう。一回きりのアポ後、接触を継続しないなら、広告のほうが効果的。


告知機能しか持ち得ない営業マンに何百万円も年収を支払うくらいなら、広告料金のほうが、媒体によっては安く、広く告知できる。

(言い換えるなら、営業職である以上、告知機能の他にも多機能が求められる
ということだ。厳しいようだが、それを磨くのは、本人の意識に因る)

となると、電話と面会の混合戦術よりも、活字媒体と面会の混合戦術が適していることになるかも知れない。

このように、戦略次第で、戦術と戦法は変わる。

現地現場のマーケティングは、戦略から戦術へ、戦法へ、戦闘へと落とし込む垂直落下式になって初めて一貫する。

その皮切りになるのが“七つの第一次接触”である。

少ない予算で広告を出す三原則

意外と見落とされがちなのが、広告。とくに、活字媒体である。

広告というと「高い買い物をさせる気か?」と警戒されがちだが(苦笑)、広告はお客さんのほうから接触してくるため、話が早く、受注に結びつきやすい。

とはいえ、そのような抽象的な内容は、あちこちのサイトやメルマガに書いてあると思うので、ひとつ、具体的に媒体を紹介しよう。

マスコミ電話帳である。

プロモーション系のBtoBビジネスに向いている。
BtoCには向かない。
BtoBであっても、マーケティングとは無関係のビジネスには向かない。


一番小さな枠で12万円(一番小さな枠で充分)。年刊につき、月で割れば毎月一万円の広告費になる。PPC広告より安いが、PPCより効果抜群。

「月に一万円なんて、安い!」と思った方々が多いことだろう。

なぜ、広告費の安い媒体を推薦するかというと、できるだけ低額な媒体を選ぶのが“少ない予算で広告を出す三原則”の一つだからである。

逆に、高額な媒体だからといって、効果があるとは限らない。よって、できるだけ低額な媒体で、リスクを避ける。

広告代理店のセールストークに「スペースの大きなほうが注意を引く」という決まり文句がある。スペースが広ければ広告料金が高くなる=取引額が大きくなるからだ。


が、それは当たり前の話で、乗せられてはいけない。

予算がふんだんあるなら広いスペースで構わないにしても、プロモーションは最終的には値引きと同じにつき、プロモーション費は最小限に抑えなければならない。
(プロモーション費を「かけない」という経営者もいるが、「かけない」のと「抑える」のは異なる。必要な投資には惜しむことなく投資するのが商売)

つまり、できるだけ安い=小さなスペースに留め、注目度が下がるデメリットは戦法で補う。要するに、知恵と工夫でカバーする。

これが“少ない予算で広告を出す三原則”の一つである。

垂直落下式プロモーション

ただし、効果抜群といっても、もともと安い媒体につき、高望みしないほうが無難。月に一万円のモトは取れるかな?くらいに思っておいたほうが良い

とはいえ、企業間取引は、ロング・スパンで受発注が継続するため、長い目で見れば、激安で効果大な媒体といえる。

広告業界よりも、意外と、企業のマーケティング・セクションから、問い合せや発注がある。

当社でマーケティング業務を請け負っていた頃、この媒体を見て電話をくれた会社があった。知らない人のいない上場企業だった。詳しいことは書けないが毎月のルーティンで、数年間、かなりの受注量になった。もちろん、実績にもなった。

お断りしておくが、筆者は媒体元とは何の利害関係も無い。知り合いもいない。効果があったものを紹介しているに過ぎないことをご理解いただきたい。


あなたも、あなたの商品に適した媒体を探しておくと良い。広告は、人海戦術では不可能な反応を得られる。

当社の例でいえば、通常の野外営業活動だけでは、その上場企業と取引は発生
しなかったであろう。先方みずから「必要が生じて探した」「探した先に当社の広告があった」のが功を奏した。

ただし(言わでものことだが)、広告は戦術の一つである。広告さえ出せば万事うまくいくということはない。

戦略と戦術と戦法と戦闘が一貫したとき、広告は効果を発揮する。アポイント電話にしても、ダイレクトメールにしても、垂直落下が貫いたときに奏功する。

プロモーションを現場で活かすには、垂直落下式で考えると良い。


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