シカゴにピアノの調律師は何人いる?【フェルミ推定】後編

シカゴにピアノの調律師は何人いる?【フェルミ推定】前編
から続く
https://note.com/tanaka4040/n/n3f56291ea3f3

推定と統計 ~ 世の中は「大体コーだろう」で出来ている

なぜ、フェルミ推定の真偽にこだわるか?というと、推定は、マーケティングリサーチにおける定量分析の目的であることが一つ。

もう一つは、推定(を導き出す考え方)が、クリティカル シンキングに並ぶ
思考法のロジカル シンキングだから(だと筆者は考えるから)です。

要するに「蟻は1京」という数字と双翼で「なぜ?」という論拠が必要不可欠だからです。

もしも「何故ならば…」がなくても良いのであれば、100億匹だろうと100兆匹だろうと、当てずっぽうでイイわけですからね。

エクセル等を使って、定量調査の集計値を分析した経験がある方ならば、実感なさったことがあると思いますが、

定量分析を突き詰めていくと、統計(統計学)に行きつき、統計を突き詰めていくと、推定にたどりつきます。

ぶっちゃけ、「大体コーだべ」という数字(推定値)を求めるための定量調査であり、分析であり、統計なんですよ。

ほとんどが推計

あなたが常識だと思っている統計の数々にしたって、ほとんどが、推計です。

世界の人口は70億人? 数えたんですか?

東北大震災の震源の深さは24km? 掘って測ったんですか?

内閣支持率は34%? 有権者一億人に訊いたんですか?

ぜーんぶ、推定ですよね?(しかも、フェルミ教授は無関係)

こうした推定値を目的として、いろいろな推定法 ※ や分析法があります。

※(推定法の一部)
最尤推定法
ベイズ推定法
簡易推定法
MAP推定法
差異推定法
パラメーター推定法
比率推定法
マグニチュード推定法
直接推定法
間接推定法
最小二乗推定法

決してフェルミ推定だけが推定法ではありません(分析法の例示は、主題から逸れるのと、あまりにも種類が多いため、割愛させて頂きますが)

ひとつだけ分析例を。定量調査で、基本となる分析が、クロス集計です。

なので、フェルミ推定の奇問と解答が、フェルミ教授による出題と解答なのか、

その真偽に筆者はこだわってきたわけです。マーケティングで飯を食ってきたはしくれとして。

フェルミ教授の出題「シカゴにピアノの調律師は何人いる?」

では、フェルミ教授が出題したフェルミ推定とは、どんな難問でしょう?

米国シカゴ大学の教え子たちに出題した、

「シカゴに、ピアノの調律師は、何人いる?」

という問題が有名です。

解答するために4つのデータを調べます(暗記している人なんているのかしらん)

1.シカゴの人口は2,695,598人

2.世帯数は105,000世帯

3.一世帯あたり2.5人(人口÷世帯数)

4.平均的な収入は38,625米ドル

以上4つの定量データを、自らが考案した仮定(~とする)にあてはめます。

・シカゴの人口は300万人とする

・世帯数は10万世帯。1世帯あたり親子3人とする

・4万ドルの収入があり、1人の子供がいれば、1世帯に1台はピアノを保有しているとする

以下は、調律師に聞いてみれば、近似値が出るでしょう。再度、リサーチです。

・年に1回はピアノを調律する必要がある(本当です、調べてみて下さい)

・調律師が1日に調律できるピアノは、3台まで

・調律師は、週休二日制

・休日は、年間110日(250日間労働)

こうした仮定に基づいて推計しますと、

・シカゴにおけるピアノの総数は(1世帯1台につき、10万世帯で)10万台

・ピアノを調律する件数は(10万台×年1回=)年間10万件

・一人の調律師が、一日に3台を調律し、年間250日働いて調律できるピアノの台数は(3台×250日=)年間750台

・一人750台なので、10万件の調律には(10万件/750台=)133.333人が必要

以上の論拠により、

【質問】シカゴに、ピアノの調律師は、何人いる?

【解答】130人

という人数を推定できます。

数字は 未来への道しるべ【フェルミ推定】前編
へ続く
https://note.com/tanaka4040/n/n877fb56d3020

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