積極より消極を優先するネガティビティ バイアス
お待ちかねのランチタイム。連れ立って食事へ出かけるとしましょう。
「何、食べる?」
と、訊ねることはあっても、
「何、食べない?」
とは訊きませんよね?
何故でしょう?
積極的に食べようとするから「何を食べる?」と訊くのではありませんか?
また、メニューが未決、あるいは、決まっていながら一旦は伏せる場合、連れに、
「何が食べたい?」
と質問します。相談という形でも構いません。
ところが、答える側にとって、フリーアンサー(自由回答形式)の質問は答えにくいもの。
FA(フリーアンサー)が答えにくい理由は、専門的に、深く掘り下げたほうがわかりやすいので、後に譲るとして、
あれが食べたいという肯定的な意見より、あれは食べたくないという否定的な意見のほうが答えやすくなります。
何故でしょう?
積極的に食べようとしているにもかかわらず、矛盾していませんか?
好機より危機を優先して感知し、安全を確保する本能(危機管理能力)
「何が食べたい?」
ではなく、
「何が食べたくない?」
なんて日常会話で有り得ませんよね(笑)、マーケティングリサーチならではの技法です。
人は、食べたい物より食べたくない物、やりたいことより、やりたくないこと、肯定より、否定を選びがち。
「え?食べなくないもの?」
「そーねー。昨日はチャーハンだったから、コメ料理はパスかなあ」
「お店は中華でいいけど、ラーメンは無いな。そういえば、麺類じゃないな」
と、消去法で考えていくうち、「あ、ハンバーガー気分かな~」と閃く。
ポジティブ(積極的)な情報よりも、ネガティブ(消極的)な情報を優先する、ネガティビティ バイアス(Negativity Bias)です。
期待より恐怖、好機より危機、利益より損失を優先して感知し、安全を確保し、生き延びようとするのは、人間のみならず、動物も然り。
本能(第一次欲求)です。肯定より否定しがちなのは、本能の為せる技。
投票率を伸ばしたかったら、楽しい選挙にすること
食べもの以外の角度から検証してみましょう。本日7月4日は都議選ですね?
投票する時、候補者や政党を、積極的に選んでいるようで、
「この候補Aは、無いなあ」
「候補Bの政党はダメだな」
と考えていくうち、
「候補Cに入れるか」
と、ネガティブ(消極的)に、消去法で決めたことありませんか?
もし、あなたが、消去法で、投票先を決めたとしたら、それは、
ポジティブ(積極的)な情報よりも、ネガティブ(消極的)な情報を優先する、
ネガティビティ バイアス(Negativity Bias)がかかっています。
人は皆、否定に傾く、ネガティビティ バイアスが、かかっています。
もちろん筆者もバイアスかかっています。
自己分析してみますと、まず、情報量。
確かに、選管がポスティングしてくれる選挙公報は読みますが、情報少な過ぎ。
情報が少ないと、アクションにつながりにくいのは、AIDAの法則の通り。
だからといって、積極的に情報を集めません。東京ローカルのメディアは一切見ません。
情報が少なく、興味もないため、ポジティブ(積極的)に候補者を選ぶのではなく、投票 し な い 候補者を消す。
そうして、残った候補者に投票する流れ。
もちろん何にでも例外はあり、
・組合員ならば〇〇党の推薦候補、
・〇〇会の会員ならば〇〇党の公認候補
という属性、しがらみで投票先が決まるのは、組織の一員なら仕方ありません、さぞかし積極的に投票活動するでしょう。
いずれにしても、良し悪しは別にして、積極的に選んでいないことは確か。
なので、ライバル候補(や他社商品)を貶めるネガティブキャンペーンが奏功するのでしょう。
これだもの、衆院選にしろ何選にしろ、投票率が低迷するのは当り前でしょう?
意識が高い方は別にして、みんな、楽しくないんですよ、投票所へ行ったって。
たった、それだけの理由。18歳と19歳の投票率を見れば歴然。
・興味がないから投票所へ行かない、
・楽しくないから投票所へ行かない、
・行きなくないから投票所へ行かない
・雨が降っているから投票所へ行かない
というネガティビティ バイアスで投票行動するとしたら、せっかくの権利が
もったいないと思いますが、
人は、理屈のみならず、喜怒哀楽の感情で動くのは事実。森前総理が、
「雨が降れば、投票率は下がる。組織票が多い自民党は、有利になる」
と口を滑らせたように、大人でさえ、雨模様で、投票するかどうか決めているのですから。
選挙は主権者の意思表示だとか、公民は義務教育で習う事とか、机上の空論は放っておいて、
もし本気で、投票率を伸ばしたかったら、投票所へ行きたくなる楽しい選挙にすることです。
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