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言葉とイメージの狭間で

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ヨーロッパ文化史に関する話題を中心的に扱いながら、人間がいかに考え、行動するのか?を、言葉とイメージという2大思考ツールの狭間で考える日々の思考実験場
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2021年8月の記事一覧

言葉と物

バーバラ・マリア・スタフォードの『実体への旅 1760年―1840年における美術、科学、自然と絵入り旅行記』を読んでいて、ちょっと興味をそそる記述を見つけた。 こんなものだ。 ジョン・イーヴリンには『煤煙対策論』(1661)があって、英国産瀝青炭を燃した指すだらけの蜘蛛がいかに「いつも空を圧す」かを論じていた。イーヴリンに言わせれば、ロンドンはエトナ山、鍛治神ウルカヌスの仕事場、ストロンボリカザンそっくりだ。地獄というのもこんなふうなのだろう。「怖ろしい煙霧」はこうして、