質の高い会議にするためのスパイス
『悪魔の代弁者』って聞いたことありますか?
よく会議運営テクニックなんかとして紹介されることが多いんですが、まぁ意識してなかったら、なかなか出会うことのない言葉だと思います。
どんなものかっていうと、会議の中にあえて批判的な意見だけを述べる人を配置して、参加者全員が見落としていたポイントや視点を浮き彫りにさせようってモノなんですね。
なので、悪魔の代弁者を活用してうまくいけば、普段じゃ思いつかないような側面が見えてくるようになります。
そもそも人というのは、自分の中で結論が固まると、全ての事象をその結論に行き着くように見てしまうものです。
例えば、いつも使っている腕時計の電池が切れたとします。本来であれば電池を変えれば、またいつも通り使えますよね。
でも、長年使っていたことから飽きがきていると、ちょっと新しい腕時計が欲しくなったりします。
とはいえ、もちろん電池を変えるのと新しい腕時計を買うのとでは、かかる値段が全く違うってのはわかりきっています。ですが、興味本位でチラッと見た雑誌で、めっちゃカッコいい腕時計を発見します。
しかも、そんなに手が届かないというような価格じゃありません。なので、「その腕時計が欲しい」という気持ちが、日に日に大きくなってきました。
となってくると人は、その日から遭遇する腕時計に関する出来事の全てを、「腕時計を変えるための情報」として処理してしまうようになるんですね。
・最近、疲れが抜けないけど腕時計を買ったら解放される
・今までの腕時計はなんとなく自分に似合わないと思ってた
・長年使ってくたびれてるから、電池変えてもすぐ消耗するだろう
こんな感じで、どんな事象に対しても「腕時計を新しく買うべき理由」として処理してしまうようになるんです。
こういうのを専門用語では確証バイアスと言ったりするんですが、その確証バイアスによって会議が出来レースになることを阻止するために、悪魔の代弁者を配置するテクニックがあるというわけなんですね。
でも、その悪魔の代弁者。注意すべきは、誰をその役にするかという部分があります。
あまりにも発言力があって、組織への影響が強い人がそれをやると、鶴の一声として一気に流れが変わってしまう可能性があります。
とはいえ、新人といった背景情報を知らない人を配置すると、会議の参加者の中には「何も知らんくせに口を出すんじゃねぇよ」という意見を持ってしまう人も出てくるかもしれません。
なので、悪魔の代弁者というテクニック名称がありますが、テクニックだからといって安易に配置するんじゃなくて、その目的を考慮して今回の議案にあった人を適時選任していく必要があるんですね。
どんなテクニックも一長一短です。
自分がどんな目的で使うのか?をハッキリさせておかないと、どれも薬にもなり毒にもなり得るということですね!
田辺輝恭