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メルカリへ6年越しの最後のラブレター

2015年2月、まだ雑居ビルの1室に70人くらいだったメルカリに、はじめての女性プロダクトマネージャー(PdM)としてはいりました。

今はメルカリというと、グローバルで1700人も社員がいて、六本木ヒルズという印象(退職エントリとか)ですが、私にとっては大きな会社というより、学校の部活のようにわいわいしながら、高校三年生の最後の試合のような目標や夢に向かって、切磋琢磨する仲間たちがいる場みたいな印象です。

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ソウゾウの初アプリ「メルカリ アッテ」ローンチのお祝い!

約6年間で、メルカリJPとUS、子会社のソウゾウの立ち上げから解散、メルペイまで、貴重な経験や大事な仲間ができたことに本当感謝でいっぱいです。

そんな大好きなメルカリを卒業することにしました。

あっという間だったけど、大きくかわった6年間

今はたくさんの方に知られているメルカリも、6年前はほとんどの友達からは「メルカリ?何してる会社?」と聞かれたり、知っている人でも「中古とか着ないんだ〜」と言われる時代でした。

5年前の同窓会、友達の何人かが「メルカリ使ってるよ」って言ってくれました。
4年前の同窓会、ほとんどの友達が使ってくれてました。
3年前の同窓会、子供がいる友達も増えて「子供服の写真の撮り方のこつ」や「価格設定の仕方」とか私よりも詳しい友達ばかりになりました。
2年前実家に帰ると、私がプレゼントしたけど使いこなせなかったタブレットを使って、母親がメルカリの服を着て楽しそうにメルカリで買った孫への服や本の話をしてくれました。
先日、実家に帰ると、母親がメルカリを使いたくてスマートフォンにしていました。そして、ついにメルペイを使い始めていました!

使わないものが誰かにとっては価値のあるものになる。
たくさんの人がメルカリで売ることを前提にものを買う。
メルカリを軸にした新しいサービスがどんどん出来ていく。

そう実現すると信じてはいたけど、本当に想像通りの世界が実現されていき、身近な環境まで変わっていく様子は、どこか実感がわかず、映画を見ているような感覚が今だにあります(笑)

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100人以上からの寄せ書きとメルカリが作ったアプリたち💓


2015年2月 メルカリ入社

「今更ですみません!」不安よりも好奇心が打ち勝った入社

7年前、転職先を迷っていた時に、せっかくメルカリの代表の進太郎さんから声をかけてもらったのにも関わらず「メルカリは優秀な人ばかりだから無理だと思う」と断ってしまいました。
どんどんメルカリが伸びているのを横目でみながら、その約1年後の進太郎さんの結婚式の2次会でメルカリの人にあって、その印象がとてもよくて「雰囲気のいい会社だなー。一緒に働いてみたいな。」と思ったのを覚えています。

そして、時期を同じくして、大学で同じクラスだった 今はメルカリのCINOの濱田さんがメルカリに入社し、声をかけてくれ、「100年に一度あるかないかの企業だと思う」という言葉に惹かれ、六本木交差点の星乃珈琲で今はアントラーズの社長の小泉さん(@koizumi)と濱田さんの前で「今更ですみません!やっぱりメルカリで働きたい!」とい言って入社させてもらいました。

自分がやっていけるかの不安よりも好奇心が打ち勝った、そんな感じでした。

はじめての関わったサービス「らくらくメルカリ便」
まだ入社直後で馴染みきれてない私に「時間あるなら、サービスの名前一緒に考えようぜー」と軽く声をかけてくれたのが、小泉さんでした。
匿名で配送できる機能がリリースが近くリリースされる予定で、そのサービスの名前をブレストするMTGでした。そこで、私の出した案が「らくらくメルカリ便」でした。サービスの特徴がシンプルに伝わる。そんな思いで提案しました。そして、この担当PdMだった山本さん(@hisatomo)の「メルカリらくらく便」をおしのけ、私の案が採用されました(笑)。

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らくらくメルカリ便の名前を考えた時の思い出のメモ

メルカリカルチャーの凄さ

オープンなカルチャーでバリューを体現した人しかいない。本当に驚きました。たぶん、1ヶ月後にこの会社のバリューをあててといわれたら、ほとんど当てられるだろうというくらいでした。
どんなに人が足りなくても、バリューにあわなければとらないという方針の中、新しくはいった人が、既存メンバーから自然とメルカリらしいバリューの解釈の仕方が波及されていく、そんな感じでした。
当時は珍しかったリファラル採用も、とても組織作りに重要だったようにみえました。主導していた、当時HRの石黒さん(@ishiguro)の採用方針や、社員全員がどんどんいい人をつれてくるような組織の巻き込み方は本当すごかったです。

メルカリ初のPdMオフサイト

入社後は、主にキャンペーン系などグロース系の機能を担当していました。そして、数ヶ月後、メルカリの初PdMオフサイトがありました。

1日中人生を大きく変えた3つのエピソードを1人30分かけ、みんなで深掘りするのをみんなでやったりしました。「USでの事業がうまくいかなかった経験」「他の役員に裏切られた話」などあまりにもみんなの話が濃く、本がだせそうなくらいの内容がいっぱいでした(笑)。その後も、メルカリのチームオフサイトではエピソードトークが定番のテーマになっています!

初合宿

PdMオフサイトでのエピソードトーク中のバス

そんな中、当時一緒にプロジェクトをやっていたりょうすけさん(@ryomats)が代表となり、一緒にメルカリの子会社のソウゾウの立ち上げをやらせてもらえることになりました!

●2015年10月 ソウゾウの立ち上げ

ソウゾウのミッション決定!

当時、メルカリは株式会社コウゾウと言う名前でした。新規サービスを作っていく子会社としてソウゾウが立ち上がりました。名前は当時インターンだったやっしー(@kana846)の発案でした。

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進太郎さんがとってくれたソウゾウ初期のオフィス写真

設立後は、すぐにソウゾウのミッションを考えました。

「身近」「みんなが使える」「生活の一部になる」などのキーワードがあがりました。

メルカリのような、誰も実現できてなかったけど後から考えると誰でも考えつきそうで、誰にとってもあたり前になるような「なさそうでなかった」ものではなく「ありそうでなかった」というようなサービスを作りたい。
そんな思いをこめて提案したのが「ありそうでなかったをソウゾウする」でした。そして、これがソウゾウのミッションになりました。

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大人のスタートアップ
CEOのりょうすけさんの元、メルカリの初期メンバーだったiOSエンジニアの大庭さん(@ooba)と、ソウゾウCTOの鶴岡さん、デザイナーとしてGuyさん、優秀なインターンだった浅香くん(@asaka)、やっしー、すぎちゃん(@tamiki)たちとメルカリアッテを立ち上げました。

制度など社内の仕組みがレベルで整っていて働きやすい一方で、意思決定のスピードはとても早く、風通しもよい、そんな環境でした。

1.スピード重視でトライ&エラーを繰り返す
2.メルカリではできない技術的挑戦を行う

を初期のソウゾウは意識していました。
プロダクトはMVPを意識して、スプリントではやくPDCAを回す方法を取っていました。

「数年後にはGolangやSwiftが主流になるし、自分が数ヶ月で使えるようになったので、技術挑戦が好きで優秀なエンジニアがとれると思う」
と言って、GolangやSwiftを採用した、当時ソウゾウのCTOの鶴岡さんの采配は予想通りで、本当に優秀でプロダクトが好きなエンジニアさんたちが集まりました。

まさに、ドリームチームでした。

そして、なんでも募集できる地域コミュニティ「メルカリ アッテ」が誕生しました。アッテは、モノやサービスを販売でき、モノは手渡しできたり、地域コミュニティー機能などがありました。

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アッテは、本当はソフトローンチでこっそりストアにあげるつもりだったけど、みなさんの目についてしまい「この流れにのろう!」と急遽一気に立ち上げとなりました(笑)

そんな急な立ち上がりの中でも、アッテもメルカリの大事にしていたことを引き継ぎたいと思い、お客さまサポートを重視していました。
お客さまからのコメントでも、「メルカリのサポートがあれば安心です」と言ってもらえるのが嬉しかったのを覚えています。

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メルカリ アッテのリリースの様子

どんどん改善や新規機能がリリースされました。
当時、PdMでコミュニティマネージャーが得意なkumamiさん(@kumami)がオーナーをしていたお客さまとのイベント、アッテカフェ。はじめは1人しかきてくれずキャラクターの「ニャッテ」と「吉田さん」のぬいぐるみを置いていたのが、最後はたくさんの人が集まって、大盛況なイベントになりました!

1周年、2周年と時を重ねて、メルカリ カウル、メゾンズ、teacha、NOWなどのサービスが出て、仲間が増え、たくさんお祝いもしました。

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合宿でみんなで熱く未来について語り明かした夜もありました。

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2018年3月 メルカリ アッテ終了が決定
今まで複数サービスに関わってきて、はじめてのサービスクローズでした。詳細は当時の記事に書いてありますが、マイルストンとしての一定のKPIはあったものの、撤退基準が特に設けられていないところでのサービス終了の決定でした。

撤退基準がないことによりよいプロダクトづくりに注力できる一方、想定通りの成長であることに私個人は焦りを感じていました。
役員とも話を重ね、あえてチームの縮小基準を作ってもらい、その目標を達成することで、グローススピードをあげたりもしてきました。
そんな漠然とした危機感の中だったので、マネージャーとプロダクトオーナーの両方をやる大変さで「もうつらい。」と当時ソウゾウ役員だった藤崎さんに泣きついたこともありました。たくさん改善策を出してくれて、実行してくれてありがとうございました。

今思い返すと、組織もプロダクトもメルカリみたいになりたいという思いの空回りだったと思います。

ソウゾウらしい良さがあって、独自のMove Fastというバリューをつくって自分たちらしいよさがあると気づいたのはその少し後でした。そして、今、思い返すとすごく良い組織で、元ソウゾウメンバーからもそう言われることも多いなぁと感じています。

そして、「新規機能がグロースしてきたので、自分が知見のあるサービスカテゴリのオーナーを現場に入り込んでグロースのアクセルを踏みたい。」といって、アッテのオーナーをやめさせてもらい、サービスカテゴリーの担当として志半ばの数ヶ月後、リソース集中のためのサービス終了が決まりました。

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サービス終了の説明があったメルカリグループ全体の定例で「Nice Tryでした!拍手を」と進太郎さんに言われて、自分が至らなかった悔しさやたくさんのお客さまやメンバーとの嬉しい思い出が吹き出し、色んな思いがこみ上げたのを覚えています。

ソウゾウの立ち上げ時に誘っていただいたりょうすけさんにも本当感謝です。

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ソウゾウメンバーでの最後の合宿

2018年4月 メルペイ

メルペイ絶賛立ち上げ中にjoin

メルペイでは、新サービスの検討のなかでグロースのキーになるという観点から、クーポン機能の立ち上げをしました。
その後、ECサイトなどから使えるネット決済をナポリ(@napoli)と立ち上げ、ずっとプロダクトオーナーをさせてもらいました。

ネット決済の立ち上げの時から計画にいれていた、メルペイで買った商品がかんたんにメルカリに出品できる「出品連携機能」もメルカリ-メルペイの連携案件としてリリースされました!
六本木ヒルズのまんぷくに、原田さん(@daisaku)をランチに呼び出し「一緒に進めよう」といって走り出したプロジェクトでした。念願のメルカリとの連携にひときわ思い入れがありました!

ネット決済チームはやっていきなメンバーも多く、mercanで紹介されたメルカリ内のカフェの注文や決済をslackからできるようにしちゃったり、他のチームと連携して顔認証決済でも注文できるような取り組みもしました。

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メルカフェProjectのメインメンバー(Napoliにやけてるw)

メルカリ寄付がリリースされましたが、まだ出ていないものなどこれからも楽しみなリリースが多くて待ちどうしいです!

そして、私たちのネット決済を売ってくれるOnline Sales(現Bizdev)やOMO salesチームも最高でした。Salesと開発がうまくいかない組織はよくありますが、開発の大変さも理解してくれた上で、面白い案件や加盟店さまの要望を的確に主張してくれる本当Be a ProでAll for oneな最高のメンバーでした!こんな頼もしいsalesの方がいなければ、ネット決済のここまでのグロースはなかったと思います!

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他にも関係するプロダクトチームやセキュリティチームやリーガルなど書き尽くせないほどチームに支えられていました。

ネット決済以外にも、DashboardチームやGrowthなどかなり幅広く担当させてもらい、メルペイのグロースを支える愚直で一生懸命なたくさんのメンバーや、メルペイのUXを担うDashboardでの経験させてもらい、UX ResearchのメンバーとのBe a Proにアプリクオリティをあげる凄さを目の当たりにしました。メルカリで経験できてよかったことの一つに、UX Researchのメンバーと働けたことがあります。

PdMになってよかったと思え、こんないい仲間と働けて、大好きなサービスに携われたことは、感謝しかありません。

マネージャーとしても、インターンや新卒メンバーなど若手を20人も担当させてもらい、みんなが社内でも転職先でも活躍している姿がとても嬉しく、誇らしいです!そして、自分も成長させてもらいました。

ただ、高校の部活も、ずっとこのメンバーでやっていきたいと思っていても、成長とともに卒業します。一方で、新入生が入ってきて、よかった伝統をのこし新しい風を吹かせてくれたと思います。

メルカリも、私より早く新しいチャレンジをするために卒業したメンバーもいます。一方で、新しい仲間も増え、新しいチャレンジがたくさんできるようになりました。そして、たくさんの経験をさせてもらった、今、私も新しいチャレンジがしたいと思い、卒業することを決めました!

「辞めるのはわかったから、1月入社でどうか」と辞めると決めた後も、最後までわたしのキャリアを考え面白いポジションを提案してくれた、メルペイCPOの伊豫さん(@takeo)にはとても感謝しています。

最後に

マネージャーをさせてもらっていたtatsukenに瀧本哲二さんの「2020年6月30日にまたここで会おう」という本を「2025年11月20日にまた会おう」といって迷惑そうでしたが渡しましたw。(余談ですが、tatsukenのOKRだった「信頼されるPMとは」の記事がよいのでぜひ読んでみてください)

そこの最終章に「ボン・ヴォヤージュ(Bon Voyage)」という言葉について書いてあります。

この言葉は、もともとは船長同士の挨拶で、自分の船を持つ船長意思決定をする立場にある者同士でしかできない挨拶です。

たとえば、船が古い、荒波が多い海に向かったりすることがわかっていても、互いに自分の判断でリスクを取って航海していることに対する敬意があるため、余計なことは言わずに「ボン・ヴォヤージュ」とだけいう。そんな話でした。

わたしもメルカリでの貴重な経験を糧に、次の船出をしようと思います。

ボン・ヴォヤージュ!

ありがとう、メルカリ。

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入社当時のオフィスの入り口


新しいチャレンジについては、自分でサービスを作ってみたり、少ない人数のスタートアップで、C向けのサービスに携わりたいなーと思っています!

すでに10数社お声がけいただいていて、考える時間がほしいとわがままをいって待っていただいているところ恐縮ですが、フリーランス・就職するかを問わず、いろんな可能性を探っているところで、もしかしたらここの会社よさそう!とかあればご連絡いただけると嬉しいです!

たくさんのプレゼントもありがとうございました!

プレゼント2

プレンゼント1

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