見出し画像

デザインで振り返るWordCamp Niigata 2019 Part①

こんにちは、たなべです。
なにげに自分のnoteでは初の投稿になります。
せっかくあるんだから使うべきだよね! ということで、今回はタイトルの通り先日開催された「WordCamp Niigata 2019」について振り返ってみようと思います。

WordCamp(ワードキャンプ )とは?
Webサイトの管理システムであるWordPress(ワードプレス)のカンファレンスイベント。
世界各国で開催されていて、Webに携わる人にとって役立つ最新情報や楽しすぎるスポンサーブース、カフェやスタンプラリーなどの催しが所狭しと集まっている。人がめっちゃ集まる。

世のWordCampファンからはブログを書くまでがWordCampとも言われているそうなので、これはもう携わった身としては半分義務なのではと!

と言っても、コアメンバーの中に入れていただいたものの基本は主催の方々におまかせでデザインを担当していた私。なので当日は普通に受付とかしたりその辺うろうろしたり会社の仕事したりしていまして…!
デザイナーなのは特に主張してなかったので、探して見つけてくださった方々ありがとうございました! 生で感想いただけるの嬉しすぎです。

画像10Photo by Shusei Toda

ですので、本当は本番よりも前に語っておけよ! というWordCamp Niigata 2019のデザイン、もう開催後ですしせっかくならコンセプトや制作の裏側について今さらながら語らせてもらえればと思います。
他のWordCampのデザイナーさんや、今回実際に参加された方々デザインの裏側が知りたい! といった方に読んでもらえたら嬉しいです。

すごく長い文になったうえにまさかの2部構成になりましたが、実際はこの10倍くらい紆余曲折あったり色々あって、自分ごとながら「デザインてほんと大変なんだな」という感想でいっぱいです。
興味あるとこだけ読むといいよ!


1. デザインを頼まれた経緯

今回主催の小杉聖さんと知り合いで同じ新潟県長岡市在住だったこともありお声がけしてもらったのがきっかけです。
もっとたくさん他にいらっしゃるだろうになぜ私に白羽の矢が…!? とそのときは戦々恐々でしたが、相方おぐろがWordCampに行った経験もあることから迷いつつも即「やる〜!」と気軽にOK。

このときは本当にどんなわぷーになるのか全く考えていなかったんですが、せっかく舞い降りたチャンスだしなんか楽しそうだしそれに混ぜて欲しかった私は「オラわくわくすっぞ!!」という気持ちだったのを覚えています。

2. デザインの方向性

コアメンバーに入れてもらってしばらくして、新潟は今回初開催だけどどんなテーマでいく? という話題に。

正直、新潟県は全体的にWebに疎い…そしてそもそもWordCampはおろかWordPressを知らない人・会社さんも多いのでは。
そしてそんな新潟の人にもっとWebの知識やWordPressを知ってもらいたい! 地元開催なら気軽に来てくれて新潟の底上げに繋がるのでは! と。
そんな地域性を考慮して、初開催なこともあり初心者に優しいイベントになろう! という方向性となりました。

WordPressを使いはじめた人、使っているつもりになっている人、毎日のように使っている人たちが、対等に交流しながら仲間になれる場をつくる。
キャッチコピー:「みんなで楽しくワードプレス」

デザインはそれを感じられるようにデザインラインを考えねばなりません。
Web=難しいの図式を払拭すべく、まず面白そうだな〜行ってみたいな〜と思ってもらえるようなビジュアルにするのが目標です。
そもそも新潟にはWebはおろかWordCamp、デジタルっぽさのイメージがまるでない! ならば開き直っていもくさく行くか…!?
そんな感じでいろいろ相談しながら決めて行ったのはこんな感じです。

目標①:レベル差や立場関係なく教えあったり交流できる
    わいわいにぎやかな場にしよう
    =「パーティー感
目標②:今までやってきた人にも大きな収穫が、
    これから始める人も種を分けてもらえるような場にしよう
    =「収穫
その他:長岡や新潟らしさを出せるようなシンボルを追加
    =「」「田んぼ」「和風なハーベスト(収穫祭)

あとは米といえば稲作のシーズン的にテーマカラーは黄色にしようとか。
いっときメンバーの話し合いで初心者=フレッシュ=プリキュア…? とか出て、わぷーおよび新潟開催どうなるんだっていう場面もあったんですが、なんとか新潟らしい方向性にまとまってよかったです。笑

来た人にとって実りある1日になりますように! という願いをこめて収穫祭になったのはらしくていいなぁ〜〜と今でもしみじみ思います。

3. わぷーのデザイン

新潟だとシンボルみたいなの少ないからわぷーのデザインどうなるかなーと思っていましたが、無事裏テーマは収穫祭に決まり、わぷーのデザインにはもちろん米入れるぞ〜! と意気込みました。でも普通にわぷーに米持たせてもつまらないよね…

ならばわぷーを農家にしよう」byおぐろ

ええ〜!? そんないもっぽさMAXのわぷー許されるの〜!?!?

わぷー案

おばあちゃん農業帽を被せたら思いのほかしっくりかぶれた…。笑
そこからは試行錯誤しながらも順調に2案に絞れて、無事案が出せました。
さすがに全部野良着だと農家100%になるのでほどほどに調整しつつ、新潟県の特産物をもりもり入れてみました。

そもそもわぷーってどういう体型してるんだ?? という素朴な疑問もあり、ざっくり三面図も描いてみたり。
こういうとき「オタクやっててよかったな〜」と心から思います。キャラデザやってたり、アニメの図録の設定画とかよく見てた影響が色濃い。

メンバー内ではほぼほぼむすびわぷーで決定して、米粒つけるのあざとくていいね〜〜と高評価をいただけました。

…でもね、こんなに書き込んでおいてなんですが、みなさんはベースのわぷー知ってます? こんななんですけど。

画像2

明らかにむすびわぷーの書き込み具合と主線の太さがネックになる。
デザインやっている人ならわかると思うのですが、この書き込みだと基本わぷーの主線の太さにしたら明らかに絵が潰れるんですね。大ピンチです。

画像4

実際にデータに起こして確認してみました。予想通りやっぱり絵が潰れるので苦し紛れに線があったりなかったり…色々試してみるものの、これだ! というものにならずしっくりこない。
あとテクスチャと太い線が馴染まず微妙ですね。それに太い線でパキっとした色合いはなんか主張が強くて初心者向けデザインには不向きなのでは?
そんなこんなを考えているうちに、そもそも我のあるデザイナーには人のテイストに合わせるというのが難しいのでは…とか色々考えるようになりました(正直考えすぎて疲れてきていた)。

だんだん「線の太さをちょっと細めにしたりしても許されるのでは…?」と思ってきました。
いもっぽいわぷーにしている段階で線の太さなんて些事では…?
そんな細かいわぷーの設定で悩んでいると、

主線なんてなくしちゃえ!」byおぐろ

しゅ、主線をなくす〜〜!??
これまでのわぷーはみんなこのテイストなのに〜〜〜!?!?
相変わらず横から適当でクレイジーなアドバイス言ってくれるぜ…!!笑
ならばやってやろう、加えてこのぱきっとした雰囲気は収穫祭には合わないからそれすらも根底から変えてくれるわ…!!

画像4

そんなわけで線なし・テクスチャもりもりのわぷーに。
うん、かわいい。かわいいぞ大丈夫そう。初心者にも優しそうなわぷーだ。だいたいこの方向性でまとまっているだろうと思い一安心です。
その後メンバーに確認してもらい、微調整をして無事完成となりました。

よそのWordCampはこんなにわぷーのデザインで戦ってるのか?? と疑問でしたが、完成した後に見つけたわぷーのアーカイブであっさり主線なしのわぷーを発見しました。何だったんだあの葛藤は

そして2019年は新潟の他にも東京で開催される「WordCamp Tokyo 2019」と大阪で開催される「WordCamp Osaka 2019」が予定されていて、わぷーできた〜! と思ったとたんに2開催のわぷーが発表に。
わぷーってめっちゃ自由じゃん…
これまでの開催地のわぷー基本デザイン縛りはなんだったんだ?? というくらいにテイストが違う! 東京は思いっきり主線ないし、大阪はベースのわぷー使いません! あとわぷー増やします! という自由っぷり。
どれもかわいい!! よしわかった、わぷーは自由! 
これからデザインされる方は気にせずやっちゃってください。

なんだこれ最初のわぷーだけですでに超山場みたいな文字数だけど
まだ続きます。Part①はメインビジュアルができるまで語ります。

4. ロゴ&メインビジュアル

WordCampはもちろん各開催地の象徴とも言えるご当地わぷーも大事ですが、ロゴマークとメインビジュアルもそれに付随してもちろん大事になってきます。

これはアーカイブが見つからなかったので興味ある人はググって欲しいところですが、どこの開催地もみんなオリジナリティがあって年々パワーアップしている印象です。

なぜこんなにロゴやメインビジュアルまでがんばるのか?
それはもちろん、イベントのイメージを伝えたり期待値を上げてるためにデザインというものはあるからです。イベントが何度も開催されているところなら「今年は一味違うぜ!」とか、「今年はさらにグレードアップしたよ!」とかが伴ってきます。そういったことを伝えるためにも必然的にデザインはパワーアップしていくというものです。
そして気に入らないものを作ろうものならそれでも問答無用で各種グッズに使われまくるのがイベントというものです。だからデザイナーはがんばる。そのループもあるでしょうね(個人の見解です)。

わぷーがテクスチャだらけだったりやわらかいタッチなので、背景もそれに合わせた新潟らしい田園風景を予定していました。
ひとまずどんなパーツで収穫祭っぽさを出すのか、それに合わせたロゴはどんなものなのかのプロトタイプを提案。背景は時間がかかるぶんまずこういったイメージボードを出して意見を聞いて固めていきます。
ロゴはわりと最初から基本はできていたので一気に仕上げて一発OKでした。

画像5

画像6

イラレで作業中のアートボードがこちらです。ごっちゃごちゃです。
背景はイメージに近いフリー素材で試しに配置してみてイメージを確認してみます。個人的には背景を描き込んである方がもちろん素敵なのですが、デザインコンセプトとして設定した初心者向けで楽しそうなパーティー感を出すとなると、初心者向けに描き込みが多い背景は要素が多い=難しそうなイメージがして合わない…。
色々試した結果、真横から見たデフォルメチックな山と田園風景に決定しました。
わぷーとロゴ周辺に細々と描き込んだので背景はあくまでシンプルに。そのぶんテクスチャを使ってシンプルすぎないように配慮します。

画像7

同時にグッズ用に1色パターンも作成して、無理があるところがないか確認しつつデザインしていきます。
ロゴは1色にしてもシンプルですし横長になった場合も容易に変えられる形なので一安心です。このときは時間がなくてまだ作ってませんが…!
わぷーもグッズで多用されることが予想されるので、1色パターンを作るにあたってあれほど嫌がった主線を投入しました。
フルカラーだと不可能ですが1色でも工夫すれば主線ありも問題ない感じ。

画像8

そんな感じで調整したらこんなビジュアルで落ち着きました。
新潟県民のみなさんならこんなシンプルな風景でも「あ〜こういう田んぼある風景見たことある〜」と思ってくれるのでは。
あと周囲にライスシャワー降らせることでとことん米推しに。

こうして見ると細々したものや曲線、テクスチャ、色合いが多いのでどこかで引き締めなきゃなんだよな〜と制作途中の私は考えていました。
思いっきりユルいイベントなわけでもなくWebのカンファレンスがメインなので、ロゴのフォントはDINを使いカチッとした要素を入れました。
でもそこだけ固すぎても浮いちゃうので色々テクスチャ加えて背景になじむようにバランス取っています。

DINとは
ドイツの工業製品で統一規格として使われていた欧文フォント。
どの文字を入力しても、元が整っているので入力しただけでそれっぽくかっこよくなる且つ流行に流されず使える最強のベーシックフォント。
いかにもドイツっぽい。シュッとしててかっこいい。
たなべが大好きな欧文フォント第1位。
有名どころでは五輪2020のロゴやUNIQLOはDINがベース。

画像9

そんなわけで、メインビジュアルが完成したらあとはひたすら広報物に展開!! まずはWebやSNSに展開されていきました。
小杉さんやWeb・SNS担当の卯田さんが元データからいろんなパターンを作ってくださり、一般向けのほか、スタッフ内部用で一般公開されていない箇所にもたくさん使われていったメインビジュアルなのでした。

だがしかし、多用されるあまりに「もっと違うパターン作っておけばよかった…!!!」と後悔することになるのでした。
それはまたグッズ編で!

Part② グッズ編へ続く(準備中)

読んでいただきありがとうございます!とても励みになります!普段あれこれ考えながらデザインに取り組んでいますので、もし声がけしていただけることがあれば嬉しいです。