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第11週/ Appleが自然エネルギーに注目する理由 / なぜ地方銀行はデジタル化が急務なのか / 国家間のデータセキュリティが強化されている/ (2020/08/16-08/23)

こんにちは。今週もよろしくお願いします。

アメリカでは最高気温は54.4度を記録したようです(記事)。コロナで人類の活動量が低下して、地球環境が改善されたというニュースもありましたけど、猛暑とはあまり関係がないんでしょうか。

今週も気になった記事がいくつかありました。単なるキュレーション記事にはしないことを心がけて、少しでも自分の考察を加えられそうな記事だけをピックアップしていきます。

自然エネルギーへ転換の流れ。

どうして世界は再生エネルギーに力を入れているのか。

二酸化炭素の排出量削減もあるが、最も大きな理由は、太陽光発電や、風力発電電力生成のコストが劇的に下がり、将来は原子力発電所より効率的な電力が、ほぼ限界費用ゼロとなる可能性があるからだろう。

Appleも長期計画では、AI等の先端技術ではなく再生エネルギーへの施策を掲げる。

テスラは、米国ガス大手のPG&Eと組んで大規模や蓄電施設の着工。再生エネルギー移行の先触れとなっているとのこと。

石油の市場価格の大きな下落は記憶に新しいが、長期的にはエネルギーが多様化され、それにチャンスを見た企業がエネルギー産業へ進出を試みているのかもしれない。

2019年より石油産出国1位となっているアメリカでは2020年より減産。
(ただし石油市場下落やコロナによる、短期的な減産の可能性もある)

米国石油業界を取り巻く最近の市場動向(JETRO)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/covid-19/us/video/20200514Webinar_Chicago_Kamimura.pdf

日本国内のデジタルバンク状況について。増島先生の記事がとても勉強になった。

日本の銀行が抱える問題は、少子高齢化とこれに伴う人口減少を背景にした、リテール部門における銀行サービスに対する需要減少という人口動態的なマクロ理由。そして、銀行同士の統廃合が進まず市場の銀行の数が多すぎる、オーババンキングと呼ばれる業界構造問題。つまりデジタルバンクというのは各社生き残り策としては、検討せざる問題とのこと。

特に地方銀行はその問題は顕著で、収益低下がサービスの質の低下の要因ともなる悪循環へ突入してる。

重要なポイントは1) 顧客接点のリデザイン。他業種とのコラボにより既存の顧客接点を活かす 2) また顧客目線でどのようにリデザインするか。

ブロックチェーンも含めフィンテックはテクノロジーに目が行きがちであるが、それと並行して、現在の銀行資産の開放(法律整備も含む)と、良い顧客体験を開発することが本質なのだろう。これはフィンテック業界に限らず、様々なデジタル化が進んでいない業界やサービスも同じだ。デジタルは手段である。

テクノロジーの提供企業も、顧客体験と継続して運営可能なビジネスサービス設計まで入り込まなけばいけないだろう。開発費用やライセンス費用をもらっただけで、利を得るようなビジネスは、特に経済が疲弊する、地方では成立しない。だからといって無視するわけにはいかない。そこには社会問題がある。

問題山積な領域である。既存事業の常識では解決の糸口が発見されないのかもしれない。つまり、それは他業種も含め事業側も参入チャンスがあるということだ。

アメリカが香港へ直接のデータ提供を禁止

Googleが中国が香港へ施行した「香港国家安全維持法」の影響による制限。
米中冷戦の影響は、クローバルでデータを流通させるIT企業まで本格的に及んでいる。

中国系デジタル企業の中国政府への情報提供疑惑が払拭されない限り、生活インフラに関わる中国製機器やソフトウェアの排除は、国家や企業のリスク管理の観点から強まる。

他国のデータ流出施策が増えれば、日本でも国防の観点からの、企業のデータセキュリティの議論が高まっていくだろう。

人間は人間であるが故にミスを犯す。属人的な意思で決まるルールで危険だ。過去の不幸な戦争は、軍部(当時のナチス軍や日本軍)が情報を都合よく利用し、結果的にはそれに翻弄された多くの市民を死に追いやられた。データをコントロールする組織は、中枢の権力者に依存しない、透明性の高い民主的なルール化が理想だ。

国家がデータを持つことに対して嫌悪感を持つ人は多いと思う。しかしデータは有事では重要なリソースである。太平洋戦争下で大本営情報参謀 堀栄三氏の本には、情報を軽視した当時の日本政府の姿を垣間見ることができて、非常に面白いのでお勧めしたい(何度か読んだ)。戦時での情報とは何か?ということを考えさせてくれる。

下記引用。

百パーセントに満たない空白の部分を、どのようにして解明し、処理していくか、これが情報の任に携る者の最重要な仕事である。それが出来るか否かが、戦場で敵情を判断するカギであり、その結果のいかんが勝敗を 岐 けることになる
敵情を知るには人材や金銭を惜しんではいけない、これを惜しむような人間は、将帥でもなく、幕僚でもなく、勝利の 主 になることは出来ないという意味で、情報を事前に収集するには、最優秀の人材とあり余る金を使え、

その他気になったニュース

アフリカ南東部の島国であるモーリシャスの沖合で座礁した「わかしお」。下記は有償記事なのでご注意を。

てっきり賠償先は、海運会社の「商船三井」だと思っていたけれども、どうやら、国際条約上、賠償先は船を保有する(船主会社)「長鋪汽船」とのこと。造船会社、海運会社、船主会社、そして金融機関。「商船三井」は、事故の規模から、社会から大企業としての人道的責任を追われているようだ。

ベラルーシ大統領選挙結果のデモが加熱。
デジタル化により国営テレビ、新聞などの伝統的なプロパガンダ手段とソーシャルメディアとの戦いについての考察。

ベラルーシもデジタル技術は某大国のように、市民の弾圧のために利用していくのか。

おまけ。自分のこと。

最近の久々に、中村文則さんの「逃亡者」ハードカバーの小説を読んだ。

買うつもりはなかったのですが、本屋に行くたびに毎回手に取ってしまうので、これは観念しないとな、という感じ。

500ページ夜更かししながらも数日で読み終える程、のめり込んだ。

戦争や宗教を中心に展開される物語で勉強になった。現在の風潮と照らし合わせた表現もあり、今読むからこそ実感が湧きやすい。長崎を舞台にした隠れキリシタンの弾圧と受難、太平洋戦争で兵士を鼓舞したトランペットを持ちながら敵から、必死で逃げる主人公とそれに関わる人達の悲運な歴史。難解な部分もあるが、それほど難しい言葉を使っている話でもなく、それはそれでミステリアスで良かった。ねっとりと重苦しい内容だが、お時間がある方は是非。久々に浦上天主堂に行きたくなりました。

今週は長くなってしまいました。
ここまで読んでくれ方にはお礼します。

それでは来週もお願いします。

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