スヌーズレンとの出会い

スヌーズレンを実際に体験して1か月。絶対に自分の施設でも活用したいと思いながらも、予算のない現実と戦っていました。
ただ「スヌーズレンを利用しよう」の本を読み進めるうちに、予算がなくてもできるのでは?と。毎月使える施設のお金から数千円、もともとあった物(毛布やクッション)も使って、今日!初めて療育に取り入れることに成功しました。

重度知的障害のあるAくん。
正月一発目の療育は、気持ちが乗らないままの来所。
玄関のピンポンを押すまではいつものパターンでやれたものの、
玄関ドアが開いた瞬間に寝転んで動かなくなる始末。
身体がお正月明けを拒んでいる気持ちは、こちらもわかる。
深い理解を示しながらもなんとか中へ誘導したいが、「ばいばい」と。
やっと言葉が出始めたAくんの思いは痛いほど伝わってくる。
何とかかんとか(抱っこで連行。車道が近くて危ないんだよー。)玄関までは入ってくれたので、少し気持ちを落ち着けてもらう時間を取りました。
なかなか持ち上がらない情緒のなか私の髪を引っ張ろうとします。わかってるよー、行きたくないって言ってるじゃんってことだよね、と思いつつ、他害行為は助長させたくないので距離を取ります。しばらく待つと気持ちが落ち着いたので療育スタート。
ただ動き始めてもいつもよりも刺激をただ求める姿です。ブランコをして回転刺激をいれながらも、よだれ遊びが止まらず自己刺激が多め。

そんなAくんに、今日はとっておきの活動だよ、と。
いつもつかう個室へ案内。
室内はまっくらにしておいて、光る電飾とふかふかの毛布。
Aくんの大好きな感触遊びから、お米を選んで蓄光ストーンと一緒にケースに。
移し替えも大好きなAくんなので、お皿やコップも用意しておきました。

部屋に入るとすぐに、光る電飾の動きをじっと見ます。
お米も自ら触り、手を沈めたり、数粒つまんでぱらぱらと落としたり。
比較的に感触遊びはダイナミックに遊ぶのに、薄暗い雰囲気からか
なんとも集中して遊ぶ姿が印象的でした。
情緒も落ち着き、自己刺激行動のよだれ遊びも一切見られず、
毛布をみて「ねんね」と言ったり、「ぎゅー」と埋めた手の上を押さえてほしいことを求めたり、なんともリラックスして遊ぶのです。
さっきまでの情緒不安定、荒ぶる気持ち、正月明けばかやろーという姿はどこに行ってしまったのでしょうか。

ああ、これがスヌーズレンか。
実際に自分の担当の子どもと一緒に体験してみて、よりその素晴らしさを感じました。
日々、感覚統合療育というはある程度こちらが求めるものがり、それにこたえる形で動く子どもの姿があります。相互の同意のもとに療育に取り組んでいますが、スヌーズレンは全く別。子ども自身が感覚刺激を受け止め、その中での気づきに寄り添い、受け止めるのです。プレッシャーのない中で、のびのびと出る発語。ゆったりとした情緒。
ああ、こういう療育もいいなと。お互いにふっと休まるような時間の中で通わせられる気持ちってあるよなと。

決してこれまでの療育を否定するわけでなく。バランスだと思うのです。
子どもだって大人だって、毎日毎日頑張れないよ、と。
かといって、毎日ゆったりばかりもしていられないし、それでは成長できないことも事実。だから、取り入れ方、バランスだと思うです。

〇〇療育、とうたう施設が増えるなかで、比較的自由に、なんでもさせてくれる我が施設。ここで働けてよかったなと、今日そう思ったのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?