PCを組み立てた

医療系の研究施設で働いている。暮している場所は田舎だ。休日出勤はおろか残業も無いのでプライベートは充実している。草野球チームを運営したりドライブも好きだが、基本的にはインドア派だ。お家大好きである。料理もするが、もっぱら家での楽しみはゲームだ。徹夜はしない代わりに朝の3時からスタートすることもしばしば。歴も長い。そろそろPCゲームにも手を出したいところである。

そう、PCがほしいのだ。今あるノートタイプでは古いこともあり、スペック不足は否めない。ゲームをするなら尚更だ。家に据え置くのでノートタイプである必要もない。デスクトップのゲーミングPCがほしいのである。

だがしかしだ、僕は3Dグラフィックゴリゴリのゲームには興味がない。シミュレーション的なゲームが好きだ。故に高価なグラフィックボードは必要ない。そこそこのものであればいい。一方で最近始めた写真のためにも、CPUとメモリはいいものを積んでおきたいのである。

所属している草野球チームの選手層は厚い。PCに詳しい者もいる。彼に相談してみることにした。「自作するといいよ」。断る理由は無かった。手伝ってもくれるそう。彼にはその経験もあった。なによりおもしろそう。好奇心も擽られたのだ。

さっそくパーツを集めて彼の自宅で組み立てを開始する。とはいえ僕はサポート係に徹した。まずはケースに電源とマザーボードを取り付ける。安物のケースを選んでしまったので、すこし苦戦した。CPUとメモリも取り付ける。SSDも取り付けた。GPUを取り付けるとパーツの全ては収まった。あとは配線。これもすこし苦労したが上手くいった。オールクリアである。

モニタを繋げて電源を入れるとBIOSが立ち上がる。そしてOSをインストールすると見慣れた画面が現れた。自作PCの完成だ。

呆気なく終わった。想像では細かい技術がいると思っていたが、実際はガンプラよりも簡単だったのかもしれない。けれども不具合が起きたのは3日後だった。

電源が入らないのである。原因は分からない。助けを求めても、そこは田舎。すぐには彼も来れない。電話ではわからず。とりあえずOSを再インストールしてみた。上手くいったが、翌日になるとやはり電源は入らなくなった。

自分でなんとかするしかない。そう思いスマホで検索しまくった。どうやらマザーボードの初期不良らしい。返品と再注文で問題は解決した。併せてパーテーションの設定も自分好みのものにした。BIOSの設定もすこし変えておいた。

なんとか使えるようになった自作PC。自分でいろいろと調べた結果、教えてくれた彼の知識は甘かったように思える。けれども恨みはない。僕が空気を読めていなかった可能性があるからだ。話の流れで組み立てをお願いしたが、あれは”ノリ”だったのかもしれない。本当に頼んではいけなかった。そう、僕は彼を追い込んでいたのだ。断るに断れなかったのだろう。ごめん。

それでも僕の自作PCは快調だ。マインクラフトもさくさく動く。フィルム写真のスキャンも好調だ。8Kサイズでも遅延は無い。なにより僕のPCスキルが上がった。多少のトラブルは対処できるようになっていた。OSの再インストールの分だけスキルは上がる。誰かがそう言っていたが、まさにそうだった。

何ごとも挑戦だ。失敗してもいい。むしろ失敗の数だけ上達する。上達は自信に繋がる。次の挑戦もしやすくなる。どんと来い。まだまだ世界にはおもしろいものがいっぱいだ。躊躇している時間はないのである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?